110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士(時事通信フォト)

110年ぶりの新入幕優勝を果たした尊富士(時事通信フォト)

 板挟みになるのが「つがる旭富士ジュニアクラブ」に通っていた中学時代から、照ノ富士を尊敬してきた尊富士だ。青森出身ながら高校は照ノ富士の母校である鳥取城北に相撲留学。その後、日大に進学している。

「本来、この『鳥取城北→日大』のラインは白鵬が新弟子供給源として太いパイプを持つが、怪我で学生時代のタイトルと無縁だった尊富士を評価しなかった。一度、素質がないと見限られているうえに、尊敬する照ノ富士の仇敵にあたる白鵬から稽古指導を受けても、素直に聞けるとは思えない。転籍にプラス要素は見当たらず、むしろ宮城野部屋で部屋頭として大きな顔をしていた伯桜鵬(20)が、尊富士から見ると鳥取城北の4年後輩といった複雑な人間関係が生まれるなど、マイナス要素が大きい」(若手親方)

将来の理事長候補だけに…

 一方、新入幕から2場所連続11勝で新三役となり、順風満帆と思われた大の里にも問題が起きた。未成年力士との飲酒が発覚し、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里、37)とともに協会から厳重注意処分を受けたのだ。

「その後、『週刊新潮』で酒を飲ませた未成年力士へのいじめ疑惑も報じられた。ただ、大の里は番付発表の会見にも出てきて、“勝つ姿を土俵で見せたい”と話し、なかなかの神経の太さを見せた」(前出・ベテラン記者)

 その大の里については、「さらなる成長のために、師匠の稀勢の里が管理能力を発揮できるかが焦点」と協会関係者が言う。

「稀勢の里の地元である茨城・牛久の隣町(阿見町)にある二所ノ関部屋は、1800坪の広大な敷地がある。施設の充実など先進的な環境と評価される一方、親方とおかみさんが住む住居部分と力士が生活する大広間や稽古場は別棟。どうしても師匠の目が行き届かないところが出てくる」

 未成年飲酒問題も含め、どこまで弟子の状況を細かく把握できていたか不安視されているわけだ。

「しかも、大の里は典型的な相撲エリート。新潟の相撲強豪校・海洋高から日体大に進み、挫折を知らない。部屋では友風(29)、嘉陽(24)、宮城(25)、和氣の里(30)や部屋付きの中村親方(元関脇・嘉風、42)が日体大の先輩だし、中高大と1学年違いで一緒の十両・白熊(24)もいて、上から睨まれることはゼロ。のびのびやれているが、己をどこまで厳しく律せるかが問われてくる」(同前)

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