使途が公開されない「官房機密費」の資金の流れ

使途が公開されない「官房機密費」の資金の流れ

 機密費の予算は、毎月1億円とされる。「官房長官が不在の時に長官室の金庫に補填された」(平野氏)という。

「ざっくりとした内訳を話すと、官邸の日々の固定的な支払いに使われた分が2000万~3000万円。政策に使えたのは残りの7000万円ぐらいだった。

 特に大きいのは情報収集にかかる費用で、たとえば拉致問題が絡む北朝鮮については多チャネルで情報を得る必要があった。記者が詰めている官邸では会えないし、ホテルなど外で会えばお金がかかります。国会対応にも使いました。ただ、法案を通してもらうための支出であって、政党には出さなかった。

 選挙への支出は党勢拡大の費用だから筋が違うでしょうが、官房長官だった時(2009年9月~2010年6月)は選挙がなかったからね。実際にあったらどうだったか」

 2010年3月の年度末、平野氏は使い切らなかった機密費3000万円を国庫に返納したものの、その3か月後にわずか9か月の短命で内閣は退陣し、検証はできずに終わった。

 具体的な使途を公開することについて現在、どう考えているのか。

「全面公開は情報収集が難しくなるから反対です。ただ、検証を重ねれば公開できる支出が見えてくる可能性はある。そういう部分の費用は、機密費でなく、担当部局の予算に組み込むという考えもあるかもしれません」

※週刊ポスト2024年6月7・14日号

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