国内

「宅配業者を装って射殺」六代目山口組弘道会が池田組に銃口を向けた背景 「ラーメン組長」射殺事件の復讐か

司忍・六代目山口組組長(
時事通信フォト)

司忍・六代目山口組組長( 時事通信フォト)

 今年の8月で10年目に突入した山口組分裂抗争。今年に入って抗争事件が激減し、小康状態とみられていたが、9月9日、再び銃声が鳴った。六代目山口組の司忍組長、髙山清司若頭の出身母体である弘道会系の組員が、分裂抗争相手の指定暴力団「池田組」傘下組織事務所にて発砲。銃撃された組員1人が死亡した。平穏な住宅街に響いた突然の銃声——暴力団取材の第一人者であるフリーライターの鈴木智彦氏が事件の背景を最速レポートする。

***

 山口組分裂抗争の最終章が始まった。

  六代目山口組は暴力団らしく、力で相手をねじ伏せ、殺し、十年戦争を終息させるつもりのようだ。暴力団は殺してなんぼという弱肉強食の掟から逃れられない。社会規範を守り、物わかりがよく、暴力を行使しない暴力団なら、東映映画のピラニア軍団と変わらない。事件で世論が沸騰、取り締まりが激化し、自分の首を絞めるのは覚悟の上だろう。

 9月9日午後3時30分頃、宮崎市田代町にある池田組傘下組織・志龍会の事務所に、ひとりの訪問者があった。年配の男はインターホンを押すと宅配業者を名乗り、手に小さめの段ボール箱を持っていた。事務所のドアが開き、留守番の幹部が箱を受け取ろうとした瞬間、男は持っていた拳銃を幹部の胸をめがけて発砲した。近隣の住民は複数回の発砲音を聞いている。

 銃撃の衝撃なのか、撃たれた被害者はもちろん、ヒットマンも後方にはね飛ばされたように見えた。まるで見てきたかのように語れるのは、暴力団間のLINEで、防犯カメラの動画が回ったからだ。報道によると、犯人は作業着姿ということだったが、映像では上半身しか確認できず、ヒットマンは白いシャツを着ていた。銃口から被害者までの距離は30センチ程度で、強い殺意がうかがえる。

「銃撃後、犯人は現場から逃走せず、現場にとどまっていたらしい。志龍会本部付近で警戒中のパトカーが到着すると、両手を上げて自らパトカーに乗り込み、警察官に殺人未遂容疑で現行犯逮捕されたようだ」(警察関係者)

 被害者は市内の病院に運ばれ、その後、死亡が確認された。容疑は殺人に切り替わったが、警察は認否を明らかにしていない。とはいえ、ここまで腹をくくった犯行だ。弁明する気はないだろう。

 ヒットマンが業者を装うのは襲撃の定番である。昭和には、警察官が張り付き警戒中の事務所に、中華屋の出前を装って訪問、岡持ちに隠した拳銃で殺害した事件もあった。最近でもビールを運んできたふりをして来訪し、応対の組員に正体を見破られ、玄関先に瓶を投げ捨てて逃げたヒットマンがいる。

 現場付近の路上では、2016年8月にも暴力団による刺殺事件があった。現場の幹線道路は交通量こそ多く賑やかだが、志龍会本部の周辺は静かな住宅街だ。当時も、そして今回も、住民はひどく驚き、恐怖しただろう。

 犯人の素性はすぐに分かった。

  六代目山口組の中核組織である弘道会の傘下組織・稲葉地一家に所属する63歳の組員だった。容疑者の所属を聞いて筋書きが見えた。本件はまるで暴力団のお手本のような抗争事件である。実際、なにからなにまで、昭和の暴力団抗争を彷彿させる。

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
皇室に関する悪質なショート動画が拡散 悠仁さまについての陰謀論、佳子さまのAI生成動画…相次ぐデマ投稿 宮内庁は新たな広報室長を起用し、毅然とした対応へ
女性セブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
2人は互いの楽曲や演技に刺激をもらっている
羽生結弦、Mrs. GREEN APPLE大森元貴との深い共鳴 絶対王者に刺さった“孤独に寄り添う歌詞” 互いに楽曲や演技で刺激を受け合う関係に
女性セブン
「情報商材ビジネス」のNGフレーズとは…(elutas/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」は“訴えれば勝てる可能性が高い”と思った》 「情報商材ビジネス」のNGフレーズは「絶対成功する」「3日で誰でもできる」
NEWSポストセブン
入団テストを経て巨人と支配下選手契約を結んだ乙坂智
元DeNA・乙坂智“マルチお持ち帰り”報道から4年…巨人入りまでの厳しい“武者修行”、「収入は命に直結する」と目の前の1試合を命がけで戦ったベネズエラ時代
週刊ポスト
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン