1981年2月、テレビドラマ『将軍 SHOGUN』(1980年)でヒロインのまり子を演じ、ゴールデン・グローブ賞テレビドラマシリーズ部門・女優賞を受賞し帰国した女優の島田陽子さん(時事通信フォト)

1981年2月、テレビドラマ『将軍 SHOGUN』(1980年)でヒロインのまり子を演じ、ゴールデン・グローブ賞テレビドラマシリーズ部門・女優賞を受賞し帰国した女優の島田陽子さん(時事通信フォト)

 ドラマの原作はジェームズ・クラベルの小説『SHOGUN』(1975年)で、1980年に『将軍 SHOGUN』として一度映像化された。真田さんが演じた吉井虎長を三船一郎さん、アンナ・サワイが演じた鞠子を島田陽子さんが演じた。製作はもちろんハリウッドで、豪華絢爛さやスケールの大きさが話題になったが、映像のあちこちには外国人が見たい日本、外国人が思い浮かべる日本の姿がみられた。

 だが『SHOGUN将軍』では、立ち居振る舞いや所作、話し方、衣装や小道具、大広間の襖、庭の造作に至るまで、本物へのこだわりがすごいと評されているだけに、へんてこ日本やなんちゃって日本のようなところはみられない。海外で作られた日本の時代劇によくあるおかしな日本語や変な衣装や小道具が気になって、ドラマを見る気が失せることもない。おかしな日本への思い込みを本物志向の映像で修正していく。『SHOGUN将軍』は新たな「真実性の錯覚」を作るきっかけになるのではないか。

 言葉でも同じことがいえる。海外の映画やドラマを字幕で見るのに慣れた日本と違い、米国人は映画を英語字幕で見ることになじみが薄いそうだが、そこをあえて日本語にしている。映像の約7割が日本語で、その言葉に違和感はない。派手なチャンバラや迫力のある合のシーンはないが、戦略的な駆け引きを中心に重々しくじっくりと進んでいくドラマを日本語で楽しめた。

 もちろん、『SHOGUN将軍』で描かれていることは、史実をモデルにしたフィクションだ。その本物志向によって生じ始める錯覚によって、過去の思い込みが修正され、おかしな日本イメージが少しずつ変わっていくのだろう。

 海外に拠点を移して20年という真田さんが、オーセンティックを求めて闘ってきた日々のドキュメンタリー映像が見てみたい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン