社会人4年目の主人公ゆい(26歳)に飼い猫のミーコが解説する(厚生労働省のHP「いっしょに検証!公的年金」より)

社会人4年目の主人公ゆい(26歳)に飼い猫のミーコが解説する(厚生労働省のHP「いっしょに検証!公的年金」より)

「公的年金(ピース)も大きくなるニャン」

 最後に【3】の「所得再分配機能」だが、これも厚労省の資料「公的年金制度の所得再分配機能」から引く。

〈厚生年金保険では、社会全体で高齢者等を支えるという助け合いの制度であることに加え、公的年金は、社会保障制度として所得に応じた負担を求めるとともに、必要性に配慮した給付を行うことにより、所得再分配機能を果たしている〉

 これが今回の「国民年金のみの高齢者の受給額を上げるために厚生年金被保険者である現役の支払い分を活用する」の根拠のひとつである。まさに「相互扶助」は錦の御旗だ。

 厚労省は『いっしょに検証! 公的年金 ~年金の仕組みと将来~』という漫画で主人公の「ゆい」、友人の「ともちゃん」、そしてしゃべる猫の「ミーコ」のやり取りでこう表現している。※一部抜粋

〈ゆい「てっきり自分の年金を貯めてると思ってたのに…」

ともちゃん「きちんと保険料を払って支え合いに貢献したからこそ、将来年金を受け取れるんじゃないかな?」

ミーコ「長く働くことはより若い世代と一緒に高齢化した社会を支えていくためにも重要なんだニャ、これまでより働く人が増えて日本経済が成長すればそもそものパイのサイズが大きくなるニャン、そうすれば切り分けられる公的年金(ピース)も大きくなるニャン」〉

 なにがニャンだこの野郎、とうっかり筆が滑ってしまうが、実のところ政府も官僚も年金に関してまったく反省していないのだと思う。自賠責保険の積立金同様、所詮はときの政府と官僚、つまるところ財務省のお金、という感覚なのだろう。

 国民年金加入者の納付率は上がっているように見えて免除・猶予は596万人(2024年)で納付率の計算から除外されている実態がある。足りないなら黙ってても取れる巨額の厚生年金から、サラリーマンなどから給料天引きで確実に取れる厚生年金に「社会的扶養」を目的とした「国民の共同連帯」による「所得再分配機能」による「相互扶助」に頼ろうというのが今回の年金制度改革法案の真意ということか。

 この自民党内の一部案がそのまま国会へ提出されるかは不透明だが、確実に厚生年金は狙われている。

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