“身体も戸籍も女性になった現在”(本人のインスタグラムより)
──改めて、当時をどう感じますか。
「10年経ったいま振り返ると、いい意味でも悪い意味でも、時の人って“幻”なんだなって。なんか、あれって本当に起きてたことなのかなって思うぐらい、テレビにめちゃめちゃ出ていた2〜3年ぐらいの記憶がほとんどなくて、思い出せるものが10個もない。緊張で口が渇くからずっとワセリン塗ってたとか、手汗がすごかったとか、大変だったって記憶しかない。だから幻だったな、って思います」
──GENKING.さんにとって、一心不乱で駆け抜けた日々だったかと思います。当時は、「ユニセックスキャラ」として活躍されていましたが、自身のキャラクターについて、どういう思いで臨まれていたのですか?
「『私、ユニセックスじゃないのに』って」
──メディアに出るためのキャラクターを演じていた、と言うことですか?
「演じてたというか、本来の自分を出すのが怖かったし、マネージャーさんに『こうして』みたいに言われると断れなくて。今でこそ、スカートを履いてテレビに出られるけど、昔はダメだったの。マネージャーさんから『絶対パンツスタイルで爪も短くするな』って言われてた。だから私はテレビで『朝起きた気分で男か女か決めるんだよね』とか、意味わかんないこと言ってました。本当はそんなわけないじゃん。でも、そう言うしかなかった」
──なるほど、演出だったんですね。
「だって当時から私は本来の自分を隠して生きていて、本当は心も中身も女の子だって言うこともできない。テレビで『やーよ!』ってユニセックスキャラで出ちゃってるから、『もうどっちも取るしかないんだ!』みたいな。もう葛藤でしたね」
