一年生議員ながら、玉木氏は事業仕分け終了後の囲み取材に応じていた(2010年10月撮影:小川裕夫)
もちろん、そこには国民民主党が実直に訴え続けてきた”対決より解決””手取りを増やす”という政策が評価された面もある。ただ、それ以上に玉木代表の立ち回り方が巧みだったことが大きいと言わざるを得ない。
「なぜか目立つところにいる」天性の才能
筆者は玉木代表が1年生議員だった2009年から氏を取材してきたが、玉木氏はよく言えば「スター性がある」、悪く言えば「キョロ充」といった印象を強く抱かせる政治家だった。
その一端を初めて感じたのは、2010年10月に実施された事業仕分け第3弾のときだった。事業仕分けで報道陣がカメラを向けたのは枝野幸男議員や蓮舫議員(当時)だったが、一年生議員だった玉木氏も仕分け人として議論に参加し作業後のカコミ取材などを積極的にこなしていた。
当時の玉木氏は一年生議員ということもあり、テレビ・新聞の扱いは大きくない。カコミ取材において、テレビクルーが取り囲むようなことはなく、写真もペン記者がついでといった感じで手持ちのコンパクトカメラで撮影するぐらいだった。
そんな注目されていない玉木氏を、筆者は間近で撮り続けた。距離の近さを警戒されたのか、元テレビプロデューサーだった玉木事務所の公設秘書に呼び止められて「まだ(玉木は)大物じゃないですから、お手柔らかに」と軽く牽制されている。
蛇足になるが、後に民進党の政調会長として時の人となり、今夏の参院選では国民民主党から出馬報道が出ている山尾(菅野)志桜里氏も2010年10月に実施された事業仕分けに参加している。しかし、玉木氏のようにカコミ取材を受けることはなかった。
玉木氏は一年生議員の頃から、「なぜか目立つところにいる」という天性の才能を発揮した。もしかしたら本人は無自覚なのかもしれないし、綿密な計算に基づいているのかもしれない。どちらなのかは筆者には計りかねるところだが、いずれにしても目立つ場所にいるという嗅覚によって国民民主党の存在感が周知されようになっている。
