反石破勢力も黙っていない(時事通信フォト)
「コメ価格を引き下げた救世主」として一躍脚光を浴びている小泉進次郎・農相だが、支持率低迷に喘いでいた石破茂・首相や自民党執行部、そして財務省までもがその人気を利用しようとしており、ついには「進次郎首相待望論」も浮上。“備蓄米バーゲン”は、石破茂首相から進次郎氏への政権禅譲の布石なのではないかとの見方もある。少し前まで与党が惨敗するとみられていた夏の参院選だが、“令和の小泉劇場”が始まったことで、景色は大きく変わりつつあるのだ。【全3回の第3回。第1回から読む】
石破首相から進次郎氏への禅譲計画に財務省も一枚噛んでいる。
備蓄米の随意契約には会計法を所管する財務省の同意が必要で、輸送費まで国が出せば財政負担になる。だが、財務省は反対することなく、進次郎氏の方針を丸飲みした。
「小泉農相は野党が求める消費税減税に慎重で、『低所得者には現金給付をするべきだ』と減税より給付という立場。財務省にとっては、減税論者の玉木氏が首相になるより、小泉首相のほうが都合がいい」(財務省OB)
実際、それまで国民の関心は「消費税減税」だったが、進次郎氏のコメ劇場で減税への関心が薄れている。財務省にとっては“進次郎様様”だろう。
だが、自民党内の情勢はすんなり「進次郎後継」とはいきそうにはない。
政治評論家の木下厚氏はこう見る。
「石破首相が進次郎後継カードを切ろうとすれば、麻生太郎・元首相をはじめ反石破勢力が黙っていない。総裁選になれば、高市早苗氏や小林鷹之氏らを動かして対立軸をつくるはずです。ひそかに再登板を狙っているとされる岸田文雄・前首相にとっても、進次郎氏への世代交代は好ましくないでしょう。それらが進次郎阻止に回る」