石破茂首相は解散総選挙に打って出るのか
コメ値下げをめぐる連日の“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まった。本誌・週刊ポストが入手した参院選の情勢調査では、自民党勝利が予測されている。その結果が、自民党内に大きな影響を与え、石破茂首相を解散総選挙へと向かわせているという──。【全3回の第2回。第1回から読む】
調査結果が「減税派潰し」に
本誌・週刊ポストは自民党が5月に行なった参院選の情勢調査を入手した。〈参議院選挙の情勢調査の概要〉と題する報告書では、「自民党49議席、公明党12議席」で与党合計61議席を獲得。自公ともに現有議席からは減るものの、非改選(自公で75議席)を合わせると136議席となり、過半数を12議席上回ると予測している。
この調査報告書は与野党やメディアにも流出して永田町に広がっている。これほど詳細な自民党の選挙情勢調査のデータがそのようにして広まった例はないだろう。
選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏は「意図的なリーク」と見る。野上氏は本誌4月7日発売号のダブル選挙予測で、自公が衆参過半数割れに追い込まれると分析していた。同氏はこう指摘する。
「今でこそ進次郎劇場の効果で自民への逆風が追い風に変わりつつあるが、自民党調査の時期(5月16~18日)は、まだ進次郎氏が農相に就任する前で、コメの価格が下がらないことに国民の不満が高まっていた。
同時期に行なった毎日新聞、共同通信、時事通信、FNN産経新聞の世論調査ではいずれも内閣支持率が下がっている。あのタイミングの調査にしては、自民党調査は楽観的すぎる内容で違和感がある。自民党内は参院選前に石破おろしが始まりかねない情勢だっただけに、官邸や党執行部サイドが党内の批判をかわすために、政治的意図をもって“参院選は大丈夫”という調査を流出させた可能性がある」
確かに、自民党調査が行なわれた5月中旬は「石破では選挙に勝てない」(西田昌司・参院議員)と石破おろしの危機が表面化していた時期だった。
野党各党がこぞって「消費税減税」を参院選公約に掲げ、国民の間に減税を求める声が高まると、公明党まで消費税減税論に転換。
自民党でも改選組の参院議員たちが「食料品の消費税率を2年程度、ゼロ%にする」ことを柱とした意見書を森山幹事長に提出し、参院選の公約に盛り込むように石破首相を突き上げた。執行部は、「私どもは財政規律を守りながら、経済の後押しをしていく」(小野寺五典・政調会長)と火消しに追われた。