自民党は1人区「20勝12敗」と予測
自民党調査資料が流出したのはそんな石破政権にとって不穏なタイミングだった。
しかも、調査結果をよく見ると、決して自民党が優勢とは言えない。1人区で「20勝12敗」の大勝を予測しているものの、そのうち7選挙区は次点と接戦。報告書でも、岐阜、滋賀、奈良、和歌山は「野党共闘が実施されると厳しくなる選挙区」とされ、福島、山梨、長崎、鹿児島は「共産党が候補者を下ろすと厳しくなる選挙区」と指摘している。とても当選安全圏と言える情勢ではない。
それでも、流出の効果はてきめんだった。
自民党の“善戦”という調査結果が伝わると、燃え広がりそうだった参院自民党の減税要求はいつのまにか尻すぼみとなり、自民党税調インナーで増税派の森山幹事長は6月2日の講演で「参院選で消費税を下げるような公約はどんなことがあってもできない。政治生命をかけて対応したい」と断言。石破首相も6月11日の党首討論で消費税減税に「賛同しかねる」と言い切った。
公明党も態度を変えた。
参院選公約の重点政策の原案に「食料品の消費税率を現在の8%から5%へ恒久的に引き下げることを目指す」と明記していたが、6月6日に発表した公約では消費税減税が削除された。
「森山幹事長が参院選の情勢をもとに消費減税を公約に盛り込まないように公明党を説得した」(自民党ベテラン)とされる。自民党の参院選調査は「減税派潰し」に巧みに利用されたのだ。