和久井被告のSNSには、愛車との別れを惜しむ投稿が散見される
シャンパンタワー1600万円の行方
同年の年末にAさんはキャバクラ店をオープンさせ、その運営にBさんも裏方として関わっていた。同店への被告人の訪問は、週に数回ほどと以前よりも多くなっていた。
そのころから、被告人は店内で大声を出す、暴れる、ビンを割るなどの行動を起こすようになった。警察からは被害届を出すことを勧められたが、表沙汰にすることで被告人を刺激してしまうことを恐れ、届けは出さなかった。同じく、AさんはBさんと復縁したことも、和久井被告に伏せ続けていた。
Bさんは、被告人が店内で暴れた回数は「数えきれないくらい」と言い、来店しない日には店やマンションで待ち伏せするようになったと話す。和久井被告からAさんに送られたLINEでは「殺してやる」といった趣旨の文言も届くようになり、Aさんは心身ともに不安定となり、少しの物音で目覚める、従業員に厳しくあたるなどするようになったという。
BさんはAさんが被告人とどう接しているか、詳細には把握していなかったという。穏便に済ませるべく、言い分を聞こうとBさんは被告人と電話したこともあった。その際に被告人は「Aとの関係を良好にしたい。ならないなら、金銭を返還して欲しい」と要望したという。
和久井被告はAさんにシャンパンタワー費用の前金として、1600万円を支払っていた。驚きの額であるが、Bさんは「発注して来ない客もいる」ことなどを挙げ、前金として支払うのが通例であるとし、また1度で使い切るものでなく、この支払い分から後に利用した額が徐々に引かれていくシステムであったと説明した。
その一方、被告人が店内でトラブルを起こすこともあるような状況だったので、残金を返金してAさんとの関係性を清算する話も出た。しかし被告人が、Aさんとの関係を続けたいという意向を示したという。
Bさんが証言するには、高額を支払う客の目的は「女性を応援したい」、「他の客への優越感に浸りたい」などがあるという。Aさんは「関西コレクション」というファッションショーに出たいとよく話していた。そのスポンサー社のシャンパンを大量に発注することで、出演に近づくという噂があり、そのためにAさんが積極的に卸しており、被告人はそれを応援していたようだ。そうして店に通ううち、被告人は先述の1600万円を使い切ったと、Bさんは主張した。