Aさんの店舗は2023年1月に閉店(インスタグラムより)
「この女に人生狂わされたんだ」
事件の1年前に接近禁止命令は解けたが、マンション付近に向かうことはなかったという。しかし、AさんがSNSを更新していないことは把握していた。
事件の3ヵ月前にAさんがSNSの発信を再開し、ライブ配信にも参加した。それまでのアカウントはAさんにブロックされていたため、別のアカウントで入った。そこでは、被告人のあだ名や本名を出しながら、悪口を発信していた。
事件の前日、夜10時半ごろにAさんが住むマンション付近に着く。その日のライブ配信で、コンビニに行くと言っていたのを聞いたためだ。
金を返してもらう話し合いのためで、凶器となる果物ナイフを持っていたのは脅してでも返してもらうつもりのためだった。2本のナイフを持参したのは、落としたり、相手に奪われる場合を想定してのことだったと主張する。
弁護人「Aさんと会ったらどうしようと思っていたんですか」
被告人「『騒ぐな』と話しかけようと」
弁護人「ナイフはどうするつもりでしたか?」
被告人「見せながら言えば、騒がないと」
弁護人「それでどうなると思ったんですか」
被告人「大人しくして、部屋に行き、ネットバンキングで振り込ませようと」
しかし当然、想定通りにはいかない。被告人に対峙したAさんは、大きな声で「助けて」と叫びながら走って逃げていき、被告人はそれを追いかけた。転んだAさんに追いつき、人気のない場所まで引きずっていく。この時点で、すでに周囲から注目を浴びてしまっていた。
なおも叫び続けるAさんを静かにさせようと腕を数回切る。しかし、静かになることはなく、切れないナイフかと思い、右腕、右足、脇腹、腹部を1回ずつ刺したという。
弁護人「そこまでいくと、もう話し合いとか取り返す目的から超えてしまってる気がするんですか」
被告人「人が集まって来てパニックになってしまって」
弁護人「切りつけないとどうなると思った」
被告人「自分だけ逮捕され、Aさんは何も変わらない。また配信で『ストーカー野郎が襲ってきた』とか、あることないこと言うんだろうなと思って」