眉毛やまつ毛への使用をうたった染色剤や脱色剤には注意が必要(写真/イメージマート)
眉毛やまつ毛への使用をうたった染色剤や脱色剤には注意が必要だ。
2025年6月、韓国食品医薬品安全処(MFDS)が、オンライン上に出回る「眉毛染色剤」や「まつ毛脱色剤」などの表現を含む広告66件が化粧品法に違反していたとして摘発したことを発表した。
目元への使用は角膜炎のリスクも
・眉毛・まつ毛への使用禁止の表示が義務:染毛剤や脱色剤を眉毛やまつ毛に使うと、角膜炎や皮膚アレルギーなどのリスクがあり、使用禁止の明記が義務付けられている。
・違法広告66件を摘発:MFDSは、髪専用の製品を眉毛・まつ毛用と誤認させる広告66件を違法として摘発した。
・誤解を生む宣伝が拡散:SNSや通販サイトで誤解を生む効能をうたう宣伝が多く見られ、当局は接続遮断や行政処分、啓発活動を実施する方針を示した。
眉毛やまつ毛は顔の中でも特に皮膚が薄くデリケートな部位で、化粧品や薬の影響を受けやすい。
染毛剤や脱色剤をこうした部位に使うと、薬が目に入り、角膜炎や強い刺激症状を引き起こすリスクがあるほか、皮膚アレルギーや発赤、かゆみなどの皮膚トラブルにつながる恐れもある。
韓国では、ヘアカラー剤や脱色剤などの製品に対して、「眉毛・まつ毛には使用しないこと」や「頭髪以外には使わないこと」といった注意書きを義務づけている。
今回、MFDSでは、オンライン上で「眉毛染色」や「まつ毛脱色」などとうたう66件の広告が法律に違反しているとして摘発した。これらの製品は、実際には髪の毛専用として承認された染色剤や脱色剤だといい、眉毛やまつ毛に使用することは明確に禁止されているという。
発表によれば、製品の多くがSNSや通販サイトを通じて広まり、実際の効能や効果を超えた宣伝表現が使われていた。MFDSは違反広告を摘発するとともに、表示内容と異なる使用法を助長する広告を排除するため、ネットからの接続の遮断や行政処分の手続きを進めたと説明している。さらに被害者の発生を防ぐための啓発活動も行う方針だ。
日本でも「眉毛やまつ毛への使用できない」の表示は必要
・日本でも使用禁止が明記:日本では厚労省の通知により、染毛剤・脱色剤には「眉毛・まつ毛に使用しないこと」の表示が義務付けられている。
・セルフ使用は自己責任:ネットでは眉毛・まつ毛用として見える製品も出回っており、セルフ使用での健康被害は自己責任とされる可能性が高い。
・韓国の事例は参考に:韓国での違法広告摘発や注意喚起は、日本でも同様のリスクを考える上で参考になる。
日本でも、染色剤には、眉毛やまつ毛への使用はできないと記載することが義務付けられている。
厚生労働省は2021年6月に発出した通知「薬生安発0628第11号」において、染毛剤や脱色剤、脱染剤について、「眉毛、まつ毛に使用しないこと」と明記するよう製造販売業者に義務付けている。
韓国と同様に、染色剤などの目や目元の肌などへの安全性を踏まえたルールとなる。
一方で、ネットで、眉毛やまつ毛の染色剤を検索すると、複数の製品がヒットしてくる。セルフの染色剤として扱われていると見られ、これで被害を起こしても自己責任となる可能性が高い。自己責任でやらせて、被害が起きても自分のせいとなって救済されないセルフエステやセルフホワイトニングと共通した問題をはらんでいると考えられる。
韓国での注意喚起を参考に、日本でも注意しておくと良さそうだ。
参考文献
眉毛の太さを決める遺伝子を新たに発見、明らかになった遺伝子は7つに
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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