「70歳すぎて仕事が増えるなんて思いもよらなかった」
「こういうことがしたい」と自分から言って何かの仕事を始めたことがほとんどない、とエッセイの中で阿川さんは書いている。テレビの仕事、インタビューの仕事、エッセイの仕事、小説、翻訳、今回のイラストもそうで、阿川さんの多忙さにはますます拍車がかかる。
「『よしやるぞ』なんて思ったことは生涯に一度もないんですよ。『引き受けちゃったから何とかしなきゃ』って小さな責任感だけでやってきて、何とかやり終えて、褒められると嬉しいんですけどね。この新聞連載エッセイも70歳の時に始まったものですけど、70歳すぎて仕事が増えるなんて思いもよらないことでしたね」
横から小島さんが、「何でこんなに忙しくしてるのかなと思って。いまが一番忙しいんじゃないですか」と言う。
阿川「じゃあ、この連載を止める?」
小島「うちはダメですよ。○○とか××とかはもういいんじゃないですか」
阿川「もう勝手なんだから」
漫才のようなかけあいがしばらく続いた。
【プロフィール】
阿川佐和子(あがわ・さわこ)/1953年東京生まれ。慶應義塾大学卒。1999年に『ああ言えばこう食う』(檀ふみさんとの共著)で講談社エッセイ賞、2000年『ウメ子』で坪田譲治文学賞、2008年『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。2012年『聞く力 ─心をひらく35のヒント』は大ベストセラーに。2014年菊池寛賞受賞。近著に『老人初心者の青春』『阿川佐和子のきものチンプンカンプン』などがある。テレビ番組『日曜マイチョイス』『ビートたけしのTVタックル』(いずれもテレビ朝日系)に出演中。
取材・構成/佐久間文子
※女性セブン2025年8月21・28日号