2025年7月の参院選で兵庫選挙区から立候補し、82万票超えという、選挙区候補としては全国最多得票で当選

超党派の機運を高める「裏方で汗をかく」

──そのためにまず、「犯罪被害者等基本法」を改正していく動きを超党派で作りたい、と。

 20年前の衆議院議員時代、私はいくつもの議員立法に関わらせてもらいました。その一つが、2005年にスタートした「犯罪被害者等基本法」です。弁護士時代に犯罪被害者が置き去りにされている現実に愕然としました。その時の宿題に取り組むという思いで法案作成に関わらせてもらった。

 法案を取りまとめていた当時、時代の変化に応じてバージョンアップさせていくことを想定して、今後の法改正のための方向づけをかなり丁寧に書き込むことを心がけました。そして実際に、その後も徐々に拡充は進み、現在、全国47都道府県すべてに被害者支援条例が制定されるところまで来ている。

 ではそれで十分かというと、まだまだまったく不十分です。先述のとおり、被害者が加害者からの賠償金を受け取れない場合にヨーロッパの国々の多くは何らかの形で政府が補償をしているというのに、日本は国としてそうした制度は何もありません。

 明石市長時代に、国に先駆けて賠償金の立て替えや二次被害防止のための取り組みを実現させたのは、2005年の議員立法の際に積み残した課題に対し、明石市で突破口を開きたいと思ったからです。

──犯罪被害者は過酷な状況に置かれているのですね。

 たとえ裁判で「加害者は遺族に◯千万円を支払え」というような判決を得られたとしても、実際に、加害者から賠償金の支払いをきちんと受けられている被害者などほとんどいません。

 なぜ国が補償する諸外国のような取り組みが日本で実現しないのかというと、そもそも犯罪が起きたことに対する国の姿勢の違いが根底にあると思います。市民の安全を守ることは国の責務であり、市民を守りきれなかったことに対して責任を負うべきだと考える国々は、当然ながら政府が補償を肩代わりしようとする。一方の日本は、加害者個人の責任として片付けてしまうどころか、被害者にも何らかの落ち度があったのではないかというような考え方すらあります。

 しかし、不幸にしていきなり犯罪に巻き込まれてしまった遺族に対し、市民の安心と安全に責任を負うべき行政が「個人の責任」で片付けていいはずがない。少なくとも賠償金に関しては国が責任を持つので、1日も早く平穏な日常を取り戻してください、という姿勢を示す。そして国が責任をもって加害者から取り立てていけばいいのです。

──確かに、その法改正であれば世論の支持を得られそうです。

 今年はちょうど「犯罪被害者等支援法」施行から20年の節目です。当時の議員立法の経緯も踏まえて、支援を拡充させるための法改正を超党派で実現させたい。加えて言うと、養育費の立て替えについても同様のことを考えています。明石市では、別居中の親と子どもとの面会交流(親子交流)などを後押しして双方の親に目配りをしながら、別居している親が養育費をきちんと支払わない場合に明石市が立て替えるという制度を実現させてきた実績があります。
 
 これらの制度を国にも取り入れていきたい。その意味では、犯罪被害者に対するメディアからの二次被害の防止など、超党派で動かしていきたいテーマはいくつもあります。

 そのためにも、多くの人の賛同が得られるようなテーマでの法改正で、超党派でつながる機運を高めていきたい。今は、多党化の流れが加速して野党同士の連携も非常に取りづらくなっていると感じています。そうした流れに風穴を開けるためにも、新人議員も巻き込んで政党間の争いを避けながら動きをつくっていきたい。私は裏方で汗をかきます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン