総裁選3度目の挑戦となった高市氏は、ほかの立候補者とともに東京・秋葉原駅前で街頭演説をした(2025年9月写真撮影:小川裕夫)

総裁選3度目の挑戦となった高市氏は、ほかの立候補者とともに東京・秋葉原駅前で街頭演説をした(2025年9月写真撮影:小川裕夫)

保守勢力の受け皿としての役割が消える維新

 自民党にとって、かつて連立のパートナーだった公明党とは基本理念も政策も大きく異なる一方で、選挙区調整が容易だったことから選挙戦でかちあうことが少なかった。

 他方、自民党と維新は大阪府の選挙区でバチバチ火花を散らす仇敵で、とても選挙区調整をできるような関係になっていない。それは、関西地区で維新が勢力を拡大してきた経緯を振り返ると分かりやすい。

 維新の母体となる大阪維新の会は、2008年に大阪府知事選に当選した橋下徹氏と、自民党府議を務めていた松井一郎氏によって2010年に設立された。2011年には、大阪府知事を辞任して橋下氏が大阪市長選に出馬するという前代未聞の選挙戦に突入。代わって、大阪府知事選には松井氏が立候補した。そして大阪府知事選・市長選のW選挙を制し、維新は大阪で敵なし状態に突入する。

 維新の勢いはW選挙勝利にとどまらなかった。2021年の衆院選では大阪で公明党と選挙で協力関係を築き、大阪府の小選挙区で自民党が全敗するほどの力をつけた。そして今度は公明党との関係を解消し、2024年の衆院選では公明党が牙城にしていた大阪3区・5区・6区・16区でも維新が公明党の候補を破った。

 自民党が大阪で退潮した原因をひとつに絞ることは難しいが、いずれにしても大阪自民が消滅しかねない状態まで追い込まれていることは疑いようがない。今は維新に奪われた有権者を取り戻すところから始めなければならないが、自民党が高市内閣の誕生を強力にアシストしてくれた維新を邪険に扱うことはできない。大阪府連は板挟み状態に悩まされている。

 では、維新はずっと自民党と対決状態にあるのかというと、そうとも言えない。橋下・松井両氏がツートップを務めた頃の維新は、安倍晋三・菅義偉元首相と強固な関係にあり、大阪自民よりも自民党に近い関係と見られることもあった。

 その一方、先の衆院選では政治とカネの問題を徹底追求し、「自民党と一緒にやっていくなんて不可能」というポスター・パンフレットを作成。自民党に対抗できる勢力であることを打ち出し、元自民党支持者の受け皿になる保守政党という立ち位置を明確化した。

 高市内閣で閣外協力という関係ではあるものの、自民党が安倍氏以来の保守政治家をトップに据えたことで、保守層の受け皿としての役割を終える可能性が見えてきた。自民党と組むなら、わざわざ維新に投票する必要がなくなるからだ。

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