大阪都構想の2度目の住民投票が否決され、松井氏(右)は記者会見で辞意を表明。吉村氏(左)は口数が少ないまま会場を後にした(2020年11月写真撮影:小川裕夫)

大阪都構想の2度目の住民投票が否決され、松井氏(右)は記者会見で辞意を表明。吉村氏(左)は口数が少ないまま会場を後にした(2020年11月写真撮影:小川裕夫)

 前述したように維新は大阪府議を務めていた松井氏が自民党を飛び出して立ち上げた政党だ。それにも関わらず自民党をアシストする役割を担えば自民党との差別化は難しくなり、維新という政党の存在意義が問われることにもなる。

 それは維新側も承知しているようで、代表の吉村洋文氏は自民党と組むことで党が消滅するリスクに言及。維新で参議院議員を務めた音喜多駿氏も党消滅確率を90パーセントと予測している。

保守政党と自民党との関係

 安倍路線を継承する高市総裁が誕生し、高市内閣が発足したことで、自民党以外の保守政党は存在意義を大幅に希釈された。その結果、党消滅の危機に晒されているのは維新ばかりではない。河村たかし氏・竹上裕子氏の離党によるドタバタ劇で党勢が停滞している日本保守党はひとまずおくとして、参議院選で躍進した参政党も維新の成り行きを他人事として受け止めることはできないだろう。

 参政党は安倍元首相と理念や政策が近く、保守色が薄くなった自民党に愛想を尽かした支持層を上手に取り込んだ。再び高市自民党が保守色を強めれば、維新と同じように支持層が自民へ回帰する可能性が高い。その一方で、世界情勢に合わせ、与党としてリベラル寄りの政策をすすめざるを得なかった自民党が、保守へと急転換できるのかという現実の問題が待ち構えている。

 筆者は月刊誌のインタビューで自民党政調会長に就任したばかりの高市氏に単独インタビューをしているし、第2次安倍改造内閣で総務大臣に就任した際にも、そして首相の新任会見にも足を運んだ。

 総務会長から総務大臣時代、そして首相に就任した直後の新任会見を比べると高市氏の発言は明らかに歯切れがよくなっているという印象を抱く。しかし、それに反して保守的な内容を表面に打ち出さなくなったとも感じた。

 こうした高市氏の変化は微々たるものかもしれない。しかし、その小さな変化を受け入れられない保守層もいるのではないかと思ったが、それでも保守層からの支持は相変わらず厚く、高市内閣発足直後の世論調査で各社は揃って60から70パーセント台と高い数字を出している。これらの世論調査からは、30パーセント前後いると推定されている岩盤保守層から堅実に支持を集めるとともに無党派層にも支持が浸透していることが読み取れる。

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