三田寛子『駆けてきた処女(おとめ)』(1982年)
おそらく、三田さんは完璧主義もしくはパブリックイメージより性格がキツいのだと思いますが、こういうタイプのお姑さんに有効な方法は「甘える」ことだと思います。もし能條さんが歌舞伎俳優のお嬢さんでなまじ知識があると、人には言えない苦労に耐えて歌舞伎界を代表する賢夫人となった三田さんと「うちにはうちのやり方がある」とぶつかってしまう可能性もあるでしょう。しかし、「何も知らないので教えてください、学ばせてください」と素直に頭を下げられたら、なんせ完璧主義ですから、私がこの嫁を立派な梨園妻に育てあげてみせるとファイトがわくのではないでしょうか。能條さんと三田さんで成駒屋をもりあげることができれば、能條さんにも注目が集まり、彼女の芸能活動にもプラスとなるでしょう。
おそらく、三田さんも能條さんも歌舞伎俳優と結婚するとは思ってもみなかったと思いますが、これがご縁というもの。映画「国宝」の大ヒットで、歌舞伎に注目が集まっている今日この頃、2人の元アイドルによって、ますます成駒屋は盛り上がっていくのではないでしょうか。
◇仁科友里/フリーライター。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ』(主婦と生活社)。
