キャリアの後半から晩年は「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」を設立
「楽しみは週に1回、フグを食べること」
ジャンボの門下生は女子プロの活躍ばかり目立つが、当初、ジャンボは「男子ゴルファーしか指導しない」と明言していたという。
「才能があるということで芹沢名人(元たけし軍団)から紹介されたのが原英莉花だった。その高いポテンシャルを見抜いて、女子は教えないという信念を変えて女子門下生第1号として預かった」(ゴルフジャーナリスト)
その後、原との縁で佐久間朱莉が門下生となり、『ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー』を設立後はセレクションを経て西郷真央らが加わった。最近はセレクションで選ばれるのは女子の割合が多くなっているが、その理由をジャンボはこう語っていた。
「女子の取り組む姿勢が違う。向上心が強いというか、自分の目標をしっかり持っている。男子よりもはるかに前向きだ。ライバル意識をしっかり持ち、あの子ができるなら私もできると頑張る。男子にはそれが欠ける。本当は蹴飛ばしてでもやらせたいが、今の時代はできないからね(苦笑)。厳しい言葉をかけているよ」
目標については「オレはないよ。できるだけいい環境で子供たちに練習をしてもらいたというだけ。他はないね。楽しみは週に1回、フグを食べることだよ。他に楽しみがないんだから、週に1回ぐらいおいしいのを食べさせてくれよ」と語っていたジャンボだが、体調を壊すまでは早朝にカートで敷地内をひと回りして、コース内の芝の状態を見るのが1日の始まりだったという。
早朝練習している門下生がいれば遠くから黙って見たうえで、気が付いたことがあれば一言だけアドバイスするのだという。基本的に教えるのではなく気づかせる。時間があれば作業場に籠って門下生が使う練習器具を、ひとりひとりに合わせて手作りをしていたというジャンボ。愛情を込めて育ててきた門下生の中から、第2、第3の西郷や佐久間が出現することを期待したい。合掌。
◆鵜飼克郎(ジャーナリスト)
