試合前に話し込む、現役時代の藤川球児と和田豊元監督(2012年、時事通信フォト)
コーチ陣が機能していなかった
今季の戦いぶりを振り返って、阪神OBのひとりはこう話す。
「藤川政権の1年目はコーチ陣が機能していなかった。チーフコーチ制を敷いて、その集約を藤本(敦士)総合コーチがやっていたが、結局は藤川監督が投手起用はじめ、攻撃の作戦面から一軍二軍の入れ替えまでほとんどの指示を出していた。ほとんどのコーチが微妙に45歳の藤川監督より年上。年上のコーチとのコミュニケーションがうまくいっていたとは言い難い。藤本総合コーチの上に和田ヘッドを置くことで、緩衝材の役割を期待しているのでしょう」
このオフにはコーチの退任や配置転換もあった。前出・阪神OBが続ける。
「なかなかうまくいかなかったところを配置換えなどしたのでしょう。退任した投手コーチの金村暁氏(49歳)に代わって二軍から藤川監督と同学年の江草(仁貴=45歳)を二軍から引き上げ、一軍バッテリコーチの野村克則(52歳)を二軍に配置換え。日高剛(48歳)を引き上げた。ペナント終盤は藤川監督が先発を金村氏や野村氏には伝えなかったという話も聞きます。
和田ヘッドは監督に進言するタイプではないが、忠実に物事を進められる。フロントにもいた人で、フロントと現場のパイプ役になれる。球団はそこに期待しているのではないか」
和田氏は阪神の監督を4年間務め、就任1年目は現役だった藤川監督が投手キャプテンとしてストッパーで活躍したが、チームは5位に低迷。オフに海外FAを行使してメジャーに移籍している。そうした経緯を踏まえて前出の在阪のスポーツ紙デスクはこう言う。
「藤川監督が和田ヘッドの采配を評価しているとは思えません。和田体制の2年目以降は2位、2位、3位とAクラスだったが、優勝が狙える選手を抱えながら優勝が1度もない。特に2014年は首位打者(マートン)、打点王(ゴメス)、最多賞(メッセンジャー)、最多セーブ(呉)、最優秀中継(福原忍)、最多奪三振(メッセンジャー)などタイトルホルダーやベストナイン、ゴールデングローブなど多く抱えながら巨人に7ゲーム差の2位だった」
