日本を取り囲む各国の核保有の状況
佐藤氏は特別法制定の前に次のような項目について整理が必要だと指摘する。
【1】核保有の国家戦略として、安全保障上、日本はどのような核をどのくらい保有し、どう運用していくのか。
【2】自ら研究・開発・生産するのか、あるいは核保有国から提供を受けるのか。
【3】研究機関、管理機関、実施機関はどこか。
【4】核の輸送手段、保管・貯蔵体制はどうするのか。
【5】発射手段は何か。ICBMか、SLBMか、巡航ミサイルか。
「どこまでを核の射程に入れるかによって長距離の弾道ミサイルに搭載するか、中距離の巡航ミサイルにするかの選択になるし、核弾頭を何発保有するかによっても計画は大きく違ってくる。
保管や貯蔵についても、自衛隊の弾薬庫は弾薬の種類や近隣住民との距離によって、保管する種類や火力が制限されると火薬類取締法や自衛隊法などで定められている。
核となれば火力がケタ違い。核の保管場所になればそれこそ周辺何キロの住人に強制移転してもらわなければならないといった議論になる。ICBMであれば、ミサイルの保管庫をどこに置くのか、核弾頭を潜水艦に搭載、保管するのであれば、そのための法制度も議論しなければなりません」(同前)
これまでの核保有の議論は、せいぜい他国とのパワーバランス上必要かどうかの机上の空論にとどまっているという。
「こうした課題を一つ一つ検討していくのが本来あるべき核保有の議論です。当然、核保有となれば国民にも様々な制約、負担が生じることは間違いない」(同前)
それでも必要であるという政治家は、国民を説得するためのしっかりした核保有戦略を示す責任があり、一方、反対するメディアや野党にはその是非を正面から議論する責任があるはずなのだ。
(第3回に続く)
※週刊ポスト2026年1月16・23日号
