ワンコインといえば今や500円を指すことが多い(イメージ)
強い円は2000年代に入っても続いた。2011年10月には1ドル75円を記録、G7が介入するほどの事態となった。
すべてが円高の影響ではないが「デフレではないか」という状態が続いた。デフレがデフレを呼ぶデフレスパイラルともされた。
100円ショップ店主は当時をこう振り返る。
「中国や韓国で作ったほうが安かったからね、とくに中国はまだまだ発展途上だったし、労働者の賃金もいまに比べればずっと安かった。安い労働者がたくさんいる中国で作って日本に持ってくる、まあ、円高のおかげは間違いない。東アジアだけじゃなくアメリカやEU相手にも有利だった」
その時代、マクドナルドの100円ハンバーガーに代表されたような「ワンコイン」は、やがて500円のことを呼ぶそれに変わり、いまや500円を遥かに超える。
スリコの愛称で知られる3COINSも500円とかそれ以上の価格展開が増え、無印良品500も500円で「ワンコイン」ながら3割以上が500円を超える。
今は昔の百均という時代、その呪縛のままのデフレマインド――しかし、それを許してはくれない原材料高、エネルギー価格や物流費の高騰による物価高と円高がデフレ勝ち組(後述)100円ショップすら変容させた。
「昔みたいに100円で全部は無理だ。大手チェーンで無理なんだからうちなんか絶対無理。その100円の商品すら、他の100円以上の雑貨を買ってもらってトントンって感じかな、本当に厳しい」(100円ショップ店主)
華やかで生活に便利な100円ショップだが、その裏では熾烈な「100円の呪縛」と闘っているということか。それまで多く100円だったものがそうではないとなれば客足は遠のく、セリアのように100円を堅持するチェーンもある。残存者利益が一巡したら他者を追随するしかないという業界筋の声もあるが、いずれにせよ「呪縛」と言う他無い。
「客の頭の中が100円だから100円にするしかないんだ。一度100円と思い込まれたものを値上げするってのは難しいんだ」(100円ショップ店主)
