国際情報一覧/4ページ

国際情報を集めたページです。韓国、北朝鮮、中国などの最新動向や、世界各国のニュースの背景を深く分析。国際社会における日本の今が見えてきます。

ハネムーンに密着
『愛の不時着』ヒョンビン&ソン・イェジン 結婚式と新婚旅行を振り返る
 2019年冬に韓国で放送されてから約2年半。大ヒットドラマ『愛の不時着』で共演したヒョンビン(39才)とソン・イェジン(40才)が、プライベートでも真実の愛を見つけた。ロマンチックすぎる結婚式から、米国でのハネムーンまで、甘い日々をおすそわけしよう! 韓国俳優のヒョンビンとソン・イェジンが、17日間の新婚旅行を終えて帰国したのは4月28日のことだった。「ふたりは3月31日に、ソウル屈指の高級ホテル『グランド ウォーカーヒル ソウル』で結婚式を挙げた後、4月11日にロサンゼルスとニューヨークへの新婚旅行に旅立ちました」(韓国の芸能関係者) いま、世界中で最も注目されている新婚カップルだけに、向けられる視線の数も尋常ではなかった。「海を渡っても、連日のように目撃情報が相次ぎました。ふたりも隠れようなんて思っていなかったんだと思います。ニューヨークでは仲よく腕を組んで歩く姿や飲食店で友人と食事をする姿が目撃されたほか、バスケットボールの試合観戦中のふたりがテレビに映り込むハプニングもありました(笑い)」(前出・韓国の芸能関係者) 各地での“神対応”も世界中のファンを喜ばせた。 ロサンゼルスの空港では、サインの求めに応じ、花束やプレゼントを受け取った。さらに、帰国後の仁川国際空港では、取材陣やファンの撮影要請に応じて、ヒョンビンがイェジンの肩をぐっと抱き寄せるシーンも。 ラブラブぶりを隠さないことで、ますますファンを魅了したようだ。ヒョンビンとソン・イェジンのハネムーン【3月3日 結婚式】 ソウル市内にある高級ホテル「グランド ウォーカーヒル ソウル」での結婚式には、コン・ユやチャン・ドンゴンなど親交のある大スターが多数出席。コース料理のメニューにはふたりの名前にちなんで「JIN&BIN」と書かれていた。【4月11日 For L.A.】 イェジンはホワイトジャケットに「ヴァレンティノ」のキャンバスバッグと「レイチェルコックス」のサンダルを合わせた華やかなスタイルで登場。現在、「ヴァレンティノ」には「イェジンと同じバッグが欲しい」という問い合わせが多数あるという。 ロサンゼルスに到着。イェジンの手荷物カートが床に引っかかると、ヒョンビンが即座にサポートするなど、キュンとする場面も。しかしその後トラブルが発生。事前に手配していた現地ガイドと合流できず、30分近く空港で待ち続けた。【4月24日 N.Y.】 ミシュランガイドで二つ星を獲得した高級韓国レストラン「アトミックス」で食事を楽しんだ。BTSのジョングクとV(ヴィ)も2021年9月にこのレストランを訪れている。お揃いのスニーカーを履き、腕を組んで密着しながらニューヨークの街を歩いた。【4月26日 Brooklyn】 米プロバスケットボールリーグ(NBA)の競技場で、ブルックリン・ネッツ対ボストン・セルティックスの試合を観戦。現地のテレビ中継にも、ふたりの姿が映り込んだ。【4月28日 Korea】 キャップ&スニーカーという“ペアルック”で帰国。ヒョンビンは黒の「ヴァンズ」のスニーカー。イェジンはソールや靴ひもがカラフルな「ステラマッカートニー」のスニーカーを履いていた。※女性セブン2022年5月26日号
2022.05.13 07:00
女性セブン
(写真/アフロ)
「イルカ兵器」の供給元はどこか 日本からロシアへ「生きたイルカ」の輸出も
 水族館で目にするイルカは、愛らしい姿で私たちを楽しませてくれる。大海原を泳ぐイルカは、神秘的なムードを醸し出す。それでは果たして、戦地にいるイルカはどんな役割を担わせられているのか。侵攻が続くロシア近海で確認された「イルカの軍事利用」と日本の関係について、ジャーナリストの竹中明洋氏がレポートする。 * * * ロシアがウクライナに軍事侵攻して2か月あまり。当初は“軍事大国”のロシアが圧倒するとみられたが、西側各国の支援を得たウクライナとの衝突は終わりが見えず、市民の犠牲は増えるばかりだ。 憲法において、戦争および武力の放棄を掲げている日本は、避難民の受け入れや防衛装備品の供与など、あくまで「後方支援」という形でウクライナを支援してきた。 だが、日本由来のものが“軍事利用”されているとしたら──。 4月30日、米CNNテレビが、ロシア黒海艦隊が拠点を置くクリミア半島の要衝・セバストポリ港の入り口に、「イルカ用の囲い」が設置されていることを報じ、世界的に大きなニュースになった。衛星写真の解析から、設置されたのはロシアの軍事侵攻が始まった2月頃だという。 水族館のショーでお馴染みの愛くるしいイルカだが、体重に占める脳の割合がヒトに次いで大きいとされ、知能の高さはよく知られている。水中を移動する能力も抜群で、時速50kmで泳ぎ、300mの深海に10分間も潜ることができる。 なぜロシアの軍港にイルカがいるのか。実は、ロシアは軍事目的でイルカを操っているのだ。 そうした軍用イルカの“供給元”は、ロシア近海で捕獲されたものだけではない。 日本の財務省の貿易統計に「くじら目、海牛目及び鰭脚下目」がどれだけ国外に輸出されているかという項目がある。それによると、ロシアへの輸出数は、2016年に25頭、2013年に15頭。すべて生きたまま輸出されている。大型のクジラや、ジュゴンなどに代表される海牛目が生体で輸出されることはないため、この数字はそのまま「生きたイルカ」の輸出数と考えられる。 また、野生動物の国際取引に関する条約であるワシントン条約のデータベースによると、2018年にカマイルカが4頭、ハンドウイルカが3頭、日本からロシアに輸出されている。イルカを待ち受ける過酷な訓練 イルカが軍事目的で利用されるようになったのは、約60年前にさかのぼる。アメリカに始まり、ソ連、さらにロシアで進められてきた。 アメリカで研究が始まったのは、1962年のことだ。1960年代後半にはベトナム戦争にイルカを派遣している。当初は海中に落ちた人や物を捜したり、潜水中のダイバーに物を届けたりする作業が中心だったという。1990年代の湾岸戦争や2000年代のイラク戦争では、港湾や水路にばらまかれた機雷(水中の設置爆弾)の探索や、水中での破壊工作を行う敵ダイバー(フロッグマン)が停泊中の軍艦艇に接近・攻撃しないよう、警戒に使われた。 米軍のイルカの訓練所は、カリフォルニア州のサンディエゴやフロリダ、ハワイにあり、一時は100頭を超えるイルカが飼育・訓練されていたという。動物愛護団体から「虐待だ」との激しい抗議運動もあり、現在では米軍によるイルカの軍事利用は大幅に縮小したとみられる。 一方のソ連では、軍事利用に向けた研究は’66年にスタートした。初期にはイルカの脳に電極を埋め込んだり、バクテリアに汚染された水中でサバイバルさせたり、果ては北極海にパラシュートで降下させたりと、“過酷な訓練”が行われたこともあったという。 ソ連のイルカ部隊の拠点は前出の黒海セバストポリ港。およそ50頭のイルカが飼育されていた。イルカの鼻先に金属製のマスクを取りつけ、刀剣や偵察用の小型カメラなどを装着して活動させたこともあったという。 なお、イルカを使っての敵への攻撃は米軍も行っており、ベトナム戦争中の1968年には、米軍の拠点に海から潜入しようとしたベトナム兵58人を殺害した記録があるという。 イルカの特徴的な能力に、潜水艦のアクティブ・ソナー(音波発信探知機)と同じように、鼻の奥の器官から超音波を出し、その跳ね返りをキャッチして海中の対象物の位置や形などを特定するというものがある。自然界ではエサや仲間を発見するためだが、訓練次第では金属製のものだけを選り分けて見つけることもできるようになるらしい。 この能力が存分に発揮されたのが、1997年7月にセバストポリで行われたイルカによる探索活動だ。このときすでにソ連は崩壊しており、イルカ部隊はウクライナに引き継がれていた。ロシアのインタファクス通信などの報道によると、ウクライナがイルカを使って港周辺の海中を探索させたところ、水深7~20mの海底に、9個のコンテナが沈んでいるのを見つけたという。第二次大戦中に投棄されたもので、なかには化学兵器が大量に保存されており、腐食が進めば、甚大な環境汚染が起きかねなかった。 その後、2014年にロシアがクリミア半島に侵攻して一方的に併合した際に、このイルカ部隊もロシア軍に組み込まれたそうだ。 2019年4月、ノルウェーの北極海沖で、やたらと人懐こいシロイルカが発見された。胴体にハーネスが巻かれ、小型のカメラを設置できるホルダーが取りつけられていたという。ホルダーにはロシアの大都市「サンクトペテルブルク」の刻印があったため、「ロシアが軍事用に訓練して、人に慣れたイルカだろう」とみられている。 今回、米CNNテレビが報じたセバストポリ港の入り口に設置されたイルカの囲いは、港への侵入者を発見するためだろう。ロシアの黒海艦隊は、3月に大型揚陸艦が破壊され、4月にも旗艦の「モスクワ」がウクライナ軍の対艦ミサイルの攻撃によるものとみられる爆発で沈没した。 これ以上艦船を失わないために警戒にあたっているとみられるイルカ兵器の供給源が、実は、日本なのではないかとの指摘があるのだ。日本産イルカは信用が高い 和歌山県の太地町は、イルカ漁の町だ。この町で行われるイルカの追い込み漁は、2009年公開のドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』によって世界中に知られ、反捕鯨活動家が大挙して押し掛けてきた時期もあった。 ここで捕獲されるイルカの大半は食用にされるが、一部は生きたまま海外へと輸出されていることはあまり知られていない。輸出の仲介業者の話だ。「生け捕りにしたイルカは特殊なコンテナで空輸されます。その数は年間に数十頭から100頭を超えることも。捕獲されてから輸出するまでの期間にイルカにストレスがかからないよう生け簀で飼育し、しかも人間に慣れさせるトレーニングを施すノウハウがあるのは世界において太地町だけです。 動物検疫体制がしっかりしている日本からなら病気を持った個体を買わされる心配もなく、世界の業者からの信用も高い」 太地町から輸出されるイルカの大半はアジアや中東の新興国の水族館向けだというが、なかには軍事利用されるものもいるというのは、業者の間ではよく知られた話だ。 2016年3月のロシアメディアの報道によると、ロシア国防省はセバストポリに配置するためのイルカ5頭を購入する計画を明らかにしたという。皮膚や歯に損傷がないことなどが条件とされたそうだ。そして、前述した通りその年、日本からロシアへ25頭のイルカが輸出された。 ロシア軍港で、プーチン大統領の野望を果たすために毎日必死で泳ぐイルカが日本から運ばれたものだとしたら──なんともやりきれない思いが募るばかりだ。※女性セブン2022年5月26日号
2022.05.12 07:00
女性セブン
ゼレンスキー大統領(写真/AFLO)
プーチン「イメージ戦略」の敗戦【後編】チャップリン研究者が読み解くウクライナ侵攻
 ロシアによるウクライナ侵略は、軍事的な戦いであると同時に、自国への支持を広げるためにインターネット上で映像などを拡散する「イメージ」の闘いでもある。その点が“新しい戦争”などと表現されるが、プーチン大統領とゼレンスキー大統領のイメージ戦略の衝突は、80年以上前の「独裁者」と「喜劇王」の闘いと重なる──そう指摘するのは『チャップリンとヒトラー』(岩波書店刊)の著者である脚本家の大野裕之氏だ。チャップリン研究の専門家として国際的に活動する大野氏が、ウクライナ侵攻を読み解く。【前後編の後編。前編を読む】ゼレンスキーという“役者” そして今、チャップリンとヒトラーの「イメージの戦争」を想起させるのが、プーチンとゼレンスキーです。 今回の侵略前まで、プーチンは筋骨隆々の上半身を誇示し、ヒトラー的なマッチョのアピールをしていました。ソ連崩壊後のロシアを立て直した強いリーダーを印象づけていたのです。しかし、そのイメージはもう微塵もありません。 西側諸国では“プーチンは悪”というイメージが定着し、ロシア軍の残酷さが次々に報じられます。ロシア側は「ウクライナのネオナチを倒す」と自分たちの絶対的な善性をアピールしますが、聞く耳を持たれません。 ひとえに、プーチンがイメージ戦略でゼレンスキーに敗れたからです。 ヒトラーやプーチンがアピールする強いリーダー像は、恐怖や憧れの対象になることはあっても、共感や同情の対象にはなりません。 片やチャップリンは弱者の側に立ち、大衆の象徴というイメージとともにある。奇しくも「元喜劇俳優」という経歴を持つゼレンスキーも同様です。大衆的で、同情や共感の対象になりやすい。 ゼレンスキーはTシャツ1枚でメディアに登場し、全世界に自分たちの苦境を訴えました。もちろん、戦時下で本当に大変な状況にあったのでしょうが、イメージ戦略として非常に有効でした。 世界各国の国会でのオンライン演説もそうです。国ごとに内容を変え、日本向けには誰も傷つかない内容にするなど、各国の国民性を精緻に分析していました。 現代において「政治家」と「役者」の親和性は非常に高いと思いますが、プーチンとゼレンスキーも政治家であり、かつ役者であると見ることができます。そして、ゼレンスキーのほうが“役者として一枚上手”という印象が強い。チャップリンもヒトラーを「最高の役者」と評したことがありました。 映画『独裁者』のラストには、ヒンケルと間違われたユダヤ人の床屋が大群衆に向かって6分間にわたり演説し、民衆の手で平和を掴むことを訴えるという映画史に残る名場面がある。このシーンにも、現代に通じる部分があると大野氏は言う。『独裁者』のラストの演説は、当時の映画制作の常識を覆すものでした。 実は、ナチスが制作したヒトラーの演説映像のほうが“正統的な映画”の文法に則っていました。ヒトラーが演説する最中に、大群衆の喝采や尊崇の眼差しを向ける兵士の表情のカットが挟まれています。このような“切り返しのショット”を入れることで、演説者を神格化したのです。 プーチンの手法はこれと近く、ウクライナ侵略後、モスクワに20万人を集めて行なった演説で同様の演出が取られました。彼一人で演説するのではなく、同等に彼を崇める大観衆を配置して、自らの神格化を試みました。 対してチャップリンは『独裁者』のラストを飾る演説で切り返しショットを用いず、6分間にわたってカメラをまっすぐ見据えて語り続けました。演者がカメラに向かって延々と語る映画は稀です。チャップリンは斬新な手法で、観客にダイレクトに演説の内容を届けようとしたのです。 そのスタイルを想起させるのがゼレンスキーの演説です。各国の国会で流れたのは、カメラを見つめて真摯に話をする彼の姿でした。まるで『独裁者』のシーンが蘇ったかのような演説は、世界中の人たちにダイレクトに響いたのでしょう。 さらに言えば、最終的に採用されなかったものの、『独裁者』のラストシーンの草稿には、「(チャップリンが)各国に向けて演説し、聞いた人たちが敵味方を超えて踊り出す」というバージョンもあった。ゼレンスキーの戦略との符合に驚かされるとともに、チャップリンという天才の先見性を改めて実感させられます。映像には“毒”がある〈『独裁者』の公開でヒトラーのイメージが一変したように、ウクライナ侵略後にプーチンのイメージは一変した。ただし、大野氏は「これは正義が悪に勝ったのではなく、イメージがイメージに勝ったということ」だと指摘する。そして、「毎日悲惨な映像が流れる今こそ、冷静に見る目を持ちたい」と語る。〉 今回の戦争は情報戦を組み合わせた“ハイブリッド戦争”で、21世紀の新しい戦争のかたちだという指摘もありますが、僕はそうは思いません。映像メディアを駆使した戦争の原型はヒトラーが作り、プーチンもゼレンスキーも、そのフォーマットで戦っているように見えます。 そうしたなかでは、チャップリンの言葉が改めて響きます。 戦後、日本では1960年代になって『独裁者』が公開され、それとともにヒトラーのドキュメンタリーフィルムがヒットしました。戦争を知らない若者たちのなかには、「ヒトラーは悪くない」「ヒトラーはカッコいい」といったブームが起きます。その現象について来日時にコメントを求められたチャップリンは、「映像には毒が入っている」と喝破しました。 独裁者ヒトラーという毒を、より強い「笑い」という毒で制したチャップリンは、あらゆる映像に何らかの“意図”が含まれる危険性に自覚的でした。公平で公正なメディアなどありません。毒が含まれているという前提で映像を見て、一人ひとりが信念を持って考える。チャップリンは今も、その大切さを呼びかけているように感じます。(了)【プロフィール】大野裕之(おおの・ひろゆき)/1974年大阪府生まれ。脚本家、日本チャップリン協会会長。京都大学大学院人間・環境学研究科後期博士課程所定単位取得。専攻は映画・演劇・英米文化史。著書『チャップリンとヒトラー』でサントリー学芸賞芸術・文学部門受賞。脚本・製作を担当した映画『太秦ライムライト』で、第18回ファンタジア国際映画祭最優秀作品賞。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.11 11:01
週刊ポスト
プーチン大統領のイメージ戦略をチャップリン研究者が分析(写真/AFLO)
プーチン「イメージ戦略」の敗戦【前編】チャップリン研究者が読み解くウクライナ侵攻
 ロシアによるウクライナ侵略は、軍事的な戦いであると同時に、自国への支持を広げるためにインターネット上で映像などを拡散する「イメージ」の闘いでもある。その点が“新しい戦争”などと表現されるが、プーチン大統領とゼレンスキー大統領のイメージ戦略の衝突は、80年以上前の「独裁者」と「喜劇王」の闘いと重なる──そう指摘するのは『チャップリンとヒトラー』(岩波書店刊)の著者である脚本家の大野裕之氏だ。【前後編の前編】 * * * 端的に言って今回の戦争において、すでにプーチンは負けている。僕はそう思っています。 軍事的には大国・ロシアがまだ勝てるのかもしれません。しかし、とりわけ西側諸国では“プーチンは独裁者で悪者である”という「イメージ」が定着して、名だたるグローバル企業がロシアから引き揚げました。 仮に武力の戦いに勝利したところで、ロシアは今後、何十年も「負のイメージ」を引きずることになります。そういう意味で、ロシアはすでに負けている。太平洋戦争での「侵略のイメージ」から戦後77年経っても逃れられない日本人は、それを理解できるはずです。 対するゼレンスキーはSNSなどを駆使して世界中から同情と共感を集めています。イメージ戦略において、完全にプーチンを上回っていると言えるでしょう。〈そう語るのは、チャップリン研究の専門家として国際的に活動する大野裕之氏(日本チャップリン協会会長)だ。自身は「国際政治の専門家ではない」と前置きしつつも、ロシアのウクライナ侵略について鋭い考察を述べていく。今回の戦争は、第二次世界大戦当時の独裁者・ヒトラーと、喜劇王・チャップリンが「メディアという戦場」において「イメージという武器」で争った歴史と重なる部分が多くあるというのだ。〉 チャールズ・チャップリンは1889年4月16日、英国・ロンドンの貧民街に生まれました。アドルフ・ヒトラーがオーストリアで生まれたのはそのわずか4日後のこと。この2人は、メディアという戦場で闘いを繰り広げます。まずはそのことを振り返りましょう。 両者は映画というメディアを通じて世界を席巻した人物と言えます。 1921年にチャップリンが制作した映画『キッド』は、全世界でほぼ同時に上映されました。世界中の人が「動いている人物のイメージ」を共有したのは、この作品のチャップリンが初めてです。つまり初めての世界的な大スターでした。 一方のヒトラーは地域政党の政治家から、演説の上手さでのし上がります。その際に大きな役割を果たしたのが、彼の弁舌の巧みさを大衆に伝える「トーキー映画」でした。ちょうど「サイレント映画」から時代が変わるタイミングで、イメージと宣伝の力でドイツの最高指導者となり、一時は世界を恐怖に陥れるほどの力を握りました。ヒトラーの演説を激減させた ヒトラーには、政策面での功績がほとんどありません。よく例に出される高速道路アウトバーンの整備も前政権時代からの引き継ぎですし、「大きな雇用創出効果があった」というのも俗説です。 それでも支持を集めたのは“この人なら何かを変えてくれる”という期待を持たせ続けたから。険しい表情でまくし立てる演説が“ドイツの自信を回復させてくれそうだ”と大衆に受け入れられました。当時の新興メディアであるトーキー映画を利用したヒトラーは、今風に言えば、“YouTubeでバズったインフルエンサー”といったところでしょうか。 そのヒトラーが早くから脅威として捉えていたのが、喜劇王・チャップリンです。 ナチスドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まるのは1939年9月のことですが、メディアを舞台にしたヒトラーとチャップリンの闘いは1920年代半ばから始まっていました。 ナチスはチャップリンはユダヤ人であるとの疑いをかけ、バッシングを展開。1936年にはすべてのチャップリン作品を国内で上映禁止にしました。 一方のチャップリンも新しいリーダーとして人気を博したヒトラーの危うさに、いち早く気づいていました。「この男を笑いものにしなくてはならない」 そう確信して、映画制作に取り組むのです。〈2人の闘いのクライマックスが、1940年の映画『独裁者』の公開だった。チャップリンは、独裁者ヒンケルとユダヤ人の床屋の2役を演じ、第二次大戦下における独裁者の狂気とユダヤ人の苦境を生々しくもユーモラスに描いた。〉 ヒトラーを模した映画制作の噂を聞きつけたナチスは強く反発し、当時はまだ対独参戦に反対の世論が強かった米国内でも逆風が吹きました。 圧力や妨害のなか、『独裁者』を制作したチャップリンは、映画のなかでヒトラーを徹底してパロディ化します。 鮮烈な印象を残すのが、「デタラメ演説」のシーンです。チャップリンはデタラメなドイツ語を駆使して、独裁者のスピーチを徹底的に面白おかしく演出しました。映画は世界的な大ヒットとなり、それまで“強くてカッコいいもの”だったヒトラーの演説のイメージが、“笑えるもの”に塗り替えられたのです。 極貧地区に育ったチャップリンが生きる糧としたのが「笑い」です。 映画の制作過程の全フイルムを確認すると、チャップリンは何度も撮り直し、ギャグや笑いを洗練させています。「狂気の時代においては、笑いこそが安全弁になる」との確固たる思いを胸に、全世界をひとり残らず笑わせようとしたのです。 チャップリンは信念を貫き、「笑い」の力でヒトラーとの闘いを制します。『独裁者』が公開された後、それまで大観衆を前に1日に3回も4回も演説を行なっていたヒトラーがスピーチする回数は激減します。部下ゲッベルスの日記によると、戦況が悪化するなかでヒトラーは「演説する内容がない」と言って引きこもったそうです。そもそもユダヤ人を迫害することには何の正当性もなく、「イメージ」という武器を奪われると、ヒトラーの演説には何も中身がなかったわけです。 1945年4月にヒトラーは自殺し、ナチスドイツは降伏します。しかし、それよりも前に映画『独裁者』で世界中の笑いものにされ、ヒトラーはリアルな戦場の敗北に先んじて、メディアという戦場から撤退させられたのです。「チャップリンの作り出したイメージ」は強力でした。現在、私たちはヒトラーに対して“チョビ髭の小男”というイメージを持っていますが、実物は身長175cm、晩年は体重100kgを超えた大男。チャップリンによって、イメージが塗り替えられているのです。(後編につづく)【プロフィール】大野裕之(おおの・ひろゆき)/1974年大阪府生まれ。脚本家、日本チャップリン協会会長。京都大学大学院人間・環境学研究科後期博士課程所定単位取得。専攻は映画・演劇・英米文化史。著書『チャップリンとヒトラー』でサントリー学芸賞芸術・文学部門受賞。脚本・製作を担当した映画『太秦ライムライト』で、第18回ファンタジア国際映画祭最優秀作品賞。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.11 11:00
週刊ポスト
空母を6隻体制にする目的は?
ロシアのウクライナ侵攻遅滞を受け中国が台湾侵攻作戦変更か より迅速化へ
 ロシア軍がウクライナに侵攻してからすでに3カ月目に突入した。当初の予想とは異なり、欧米諸国の強力な軍事的支援を受けたウクライナが驚異的な粘りを見せ、頑強に抵抗し、逆にロシア軍が劣勢に立つ局面も出ているとの分析も伝えられる。このような状況のなか、米国の軍事専門家は「中国はロシアの稚拙な軍事作戦を教訓にして、今後、台湾侵攻作戦を実行する場合、その攻撃はより電撃的で、より激烈で、かつ破滅的な破壊を行うだろう」との見方を明らかにした。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。 米国はトランプ前政権時代から中国の軍事侵攻に備えて、秘密裏に海兵隊部隊を台湾に送り、実戦形式で台湾軍を訓練してきた。 その基本的な戦略は中国の奇襲作戦をいかにして防ぐかということだという。中国が台湾への侵攻を開始する場合、まず海上から台湾封鎖線を敷き、サイバー攻撃で外部との通信を遮断して、ミサイルや爆撃機による空爆で重要施設を破壊。次に台湾の防空網にミサイル攻撃をして制空権を確保したあと、上陸して兵力を台湾本土に送り、地上戦で首都台北など重要都市を攻撃するというシナリオをとる、と米側は予測してきた。 この作戦は地上戦と島嶼攻撃との違いはあるものの、ロシア軍の対ウクライナ軍事作戦と基本的には同じ発想だといってもよい。 ところが、中国軍内部ではロシアが当初の計画ほど迅速に戦争に勝利できなかったことに驚きが広がっており、米国や他の外部勢力が介入する前に勝利を得るために、より迅速かつ強烈に攻撃しなければならないと考えるようになっていると米国の一部の軍事専門家は考えているという。 米空軍の上級戦略顧問であるエリック・チャン氏はVOAに対して「ロシアのウクライナ侵攻が迅速な軍事行動によってウクライナ占領という『既成事実』を作ることを目的としていたように、中国も迅速な軍事行動によって台湾占領の既成事実を作ることを望んでいた。しかし、ウクライナ戦争が長引いていることで、中国の最高指導部は、これまでの作戦よりもさらに迅速で破滅的な戦略が必要だと考えるようになっている」と指摘している。 つまり、艦船を多数遊弋させ時間をかけて台湾封鎖を実行する余裕はなく、いきなり台北などの台湾本土の重要都市へのミサイル攻撃や空爆、艦船による艦砲射撃などで主導権を奪い、米国などの外国勢力の支援が入る前に、多数の空挺部隊などを台湾に上陸させて、台北や高雄などの重要都市を占領し、1週間程度で中国の制圧下に置くという作戦だ。 ある専門家は「そのために、台湾の物資、指導部、通信施設など、開戦当初はより強力に台湾を叩くことを検討するのではないか」と予測する。 そのうえで、「中国は台湾に対する『法戦』を強化し、『台湾は中国の一部』であり、この戦いは『中国の内政問題』であることを国際的に強調し、米国やその他の国がウクライナと同じように台湾を援助することを警告・抑止する方式をとり、より長い時間をかけて、台湾の中国化を既成事実化するだろう」と指摘している。
2022.05.11 07:00
NEWSポストセブン
ロシア経済の凋落で、プーチン政権も窮地に陥る可能性(写真/EPA=時事)
ロシアを襲う「経済崩壊の危機」 北方領土を取り戻す最大の好機到来か
「ウクライナ戦争の転換点になる」と言われてきた5月9日──ロシアにとって重要な対独戦勝記念日を迎え、プーチン大統領の暴走はどこへ向かうのか。新たなステージに突入した戦争の展開について、筑波学院大学教授の中村逸郎氏に話を聞いた。 * * * ウクライナ侵攻に対する経済制裁で、ロシア・プーチン政権が窮地に陥るのは明白だ。そうしたなかで私は「北方領土を取り戻す最大の好機」が訪れると考えている。 北方領土返還については、過去にもチャンスはあった。1991年のソ連崩壊直後には、ルーブル紙幣が紙くず同然となり、ロシア・エリツィン政権は日本の経済支援を歓迎して「二島返還」に前向きな姿勢を見せていた。1994年の北海道東方沖地震では北方四島も大きな被害を受けたが、この時の日本からの人道支援も有効だったはずだ。 橋本龍太郎首相とエリツィン大統領によるクラスノヤルスク会談(1997年)では“2000年までに領土問題を解決する”との合意がなされ、返還への機運がこれまでにない高まりを見せた。しかし、「四島一括返還」にこだわる日本政府は、千載一遇のチャンスを逸してしまった。 その後、強力なリーダーシップでロシアをエネルギー大国として復活させたプーチン大統領は、森喜朗元首相や小泉純一郎元首相らを相手に一進一退の交渉を続けてきた。 なかでも安倍晋三元首相は「ファーストネームで呼び合う仲」だとプーチン氏との親密さをアピールし、日本国内でも返還の期待が高まった。だが、プーチン氏は北方領土を返す気などさらさらなかったと思われる。 プーチン氏は(北方領土問題を)日本から様々な支援や妥協を引き出すための「交渉材料」と判断した可能性が高い。ある時は強硬姿勢を見せ、またある時は二島返還の妥協的な素振りを見せた。実際、日本政府はロシアとの平和条約交渉に向けた経済協力費として2016年から6年間で約200億円を投じてきたが、今年3月、ロシア外務省は平和条約締結交渉の一方的な停止を発表した。プーチン氏からすれば、日本を交渉で手玉にとってきただけなのだと思う。 しかし、プーチン政権が窮地に陥り、状況が一変する可能性がある。今後、プーチン政権が崩壊すればロシア各地で分離独立運動が激しくなり、ロシア連邦は多数の国家に分割されるだろう。 そうなった時、北方領土に住む約2万人のロシア人島民は食料品などの生活必需品の調達もままならず、孤立状態に陥ることが予想される。その後は日本に支援を求めてくる可能性が極めて高い。 日本が人道支援名目で北方領土に介入すれば、ロシア人島民は日本の支援なしで生活できなくなる。“ロシア離れ”が進んだ島民たちによる住民投票で独立宣言がなされれば、あとは独立した北方領土を日本が受け入れるかたちで返還が実現──これが、私の考えるシナリオだ。 経済制裁の影響ですでに北方領土に住むロシア人の生活が破綻寸前であり、この返還シナリオは決して机上の空論ではないだろう。(談)【プロフィール】中村逸郎(なかむら・いつろう)/1956年生まれ。学習院大学大学院政治学研究科博士課程単位取得退学。モスクワ国立大、ソ連科学アカデミーに留学。ロシア研究のエキスパート。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.10 11:00
週刊ポスト
花を売るハリナさん(写真撮影/水谷竹秀氏)
キーウで営業再開の花を売る女性「ミサイル当たったら運命、怖いという気持ちない」
 長引くロシアによるウクライナ侵攻。ミサイル攻撃を受けた首都キーウはどうなっているのか。現地からノンフィクションライターの水谷竹秀氏がレポートする。 * * * 高層アパートの3階部分までが大破していた。道路に面した窓側一面は吹き飛んで空洞と化し、鉄筋はぐにゃぐにゃに折れ曲がっている。爆風の影響で、周辺のアパートの窓ガラスも粉々に砕け散っていた。ロシア軍によって4月28日夜、ミサイルが撃ち込まれたウクライナ首都キーウの現場だ。翌日夕方に訪れてみると、規制線の中にはまだ警察官2人が残っていた。 報道によると、このミサイルで、アパートの住人ら10人が負傷、1人が死亡した。キーウでは28日、国連のグテーレス事務総長とゼレンスキー大統領の会談が行なわれていた。 キーウ中心部はここ最近、歩行者の数が多くなり、飲食店も次々と営業を再開している。まさしく日常が戻りつつある中でのミサイル攻撃だった。現場は地下鉄のルキアナフスカ駅に近く、付近は3月半ばにもミサイルが撃ち込まれた。にもかかわらず路上では、頭巾をかぶったおばさんたちが、色とりどりの花々や野菜を売っていた。 戦争勃発後、孫のアパートに一時避難していたというハリナさん(68)は、3月上旬から花を売り始めた。路上には真っ赤なチューリップや白い水仙などが並ぶ。「花畑のオーナーに頼まれてここで売っています。戦争だから花がなかなか売れないみたい。この周りは知り合いばかりだから働きやすいわよ。一般の客だけでなく、兵士も買いに来てくれます。階級の高そうな兵士がまとめ買いしてくれることもありました」 ハリナさんの1日の売り上げは300~600フリヴニャ(約1300~2600円)。商売をしている期間、ミサイル攻撃は直接的には目撃していない。いずれも営業時間外だったためだ。「だからそんなに怖いという気持ちはないかな。まさか命までは狙われないでしょう。私は年も取っているから、もしミサイルが当たったら運命だと思うわよ。運命からは逃げられないからね」 そう語るハリナさんは、顔をくしゃくしゃにして笑った。 近くの市場で野菜や果物を売っているソヴェトラーナさん(48)も、定休日以外、戦争の影響で休日にしたことはないといい、どっしり構えている。27歳と22歳の息子2人は軍に所属し、黒海に面した南部のオデーサ州に駐留している。「2人の息子を誇りに思っています。家にいると息子のことが心配になりますから、仕事しているほうが気はまぎれますね」 脅威と共に生きるしかない庶民たちの表情には、不安よりもむしろ、たくましさが感じられた。【プロフィール】水谷竹秀(みずたに・たけひで)/1975年生まれ。上智大学外国語学部卒業。2011年『日本を捨てた男たち』で開高健ノンフィクション賞を受賞。現在ウクライナで取材中※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.10 07:00
週刊ポスト
開戦当時はロシア国内で激しいデモが起こった(写真=NurPhot/kyodo)
ロシア治安当局、国民を「愛国者」と「裏切り者」に分け“密告社会”再び
「ウクライナ戦争の転換点になる」と言われてきた5月9日──ロシアにとって重要な対独戦勝記念日を迎え、プーチン大統領の暴走はどこへ向かうのか。新たなステージに突入した戦争の展開について、大和大学社会学部教授の佐々木正明氏に話を聞いた。 * * * 戦勝記念日のプーチン大統領の演説は、当初のシナリオとしてはウクライナへの「特別軍事作戦」での戦果の報告だった。しかし、その目論見は大きく外れた。 それでも、「情報の鎖国」状態にあるロシアでは、プーチン氏の高支持率は今後も続くものと思われる。ロシア国民にとって、ソ連崩壊後に祖国の国力を失墜させてきたのはアメリカであり、“欧米の圧力からロシアを守るプーチン氏”は、まだ多くの国民から英雄視されている。 プーチン氏のウクライナ侵攻を支持しているのは、「ソ連時代を知っている」「情報を国営メディアに頼っている」「現在のウクライナを知らない」という3つの層だ。 ソ連崩壊が実体験としてある30代後半以上の人は、経済的に疲弊したロシアを立て直したプーチン氏の指導力を見てきた。情報ソースを国営メディアに頼っている地方在住者や高齢者は政府の統制した情報ばかり目にしている。そして、1991年の独立後に民主主義路線を取ったウクライナがロシアとは全く異なる価値観を持つ国だと理解していない人たちもいる。 反対にスマホで外国の情報に触れ、国際的感覚のある都市部の若者層は不満を募らせている。“情報の鎖国の外”にいる彼らは欧米との関係を絶たれ、留学やビジネスの停止により自分たちの未来への希望を奪われたという気持ちがある。そこから反プーチン運動が再燃する可能性はある。 ただし、そういった反乱の萌芽を治安当局は見逃さず、ロシアでは「浄化」を進めようとしている。国民を「愛国者」か「裏切り者」かに分け、反政府的な裏切り者には刑罰が科され、社会からも抹殺されかねないという恐怖を植え付けている。国民は反体制の意志をからめとられており、開戦直後に反戦を訴えていた勢力が極端に減ったのは人々が恐れをなしている証拠だと言える。 現地のロシア人に話を聞くと、今回の侵攻で国内が“ソ連時代に逆戻りする”と心配する声がある。その意味するところは、経済が破綻し、国内が大混乱した90年代初めのようになるという懸念ではなく、「密告社会の80年代に戻る」ことを危惧しているのだ。国内に40万人以上いるといわれる大統領直属の「国家親衛隊」が徹底した弾圧を行ない、恐怖と力が支配する時代が戻ってくることを恐れている。 一方、3月に英タイムズ紙が、FSB(ロシア連邦保安局)によるクーデター説を伝えた。こうした報道は、プーチン氏に近く、今回の戦争に反発しているクレムリン内部の内通者が英国の諜報機関にリークし、それがメディアに伝わったと考えられる。 政権内部にも反発があることは窺える。戦争の長期化で国民の不満がマグマのように噴出する可能性はあるだろう。【プロフィール】佐々木正明(ささき・まさあき)/1971年生まれ。大阪外国語大学卒業後、産経新聞入社。社会部、外信部などを経てモスクワ支局長などを歴任。2021年より現職。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.09 19:00
週刊ポスト
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
中朝国境の丹東市で北朝鮮派遣労働者のコロナ感染拡大 中朝の鉄路貿易も再中断
 北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市の衣料工場で、北朝鮮からの女性労働者800人のうち20人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたとして、工場が閉鎖となり、丹東市の一部地域が都市封鎖(ロックダウン)に入っていることが明らかになった。しかし、市政府と北朝鮮総領事館は市民の北朝鮮感情に留意して、この事実を隠蔽し、「単なる咽喉炎」だと発表しているという。この工場では医療従事者が着用する医療用の防護服を製造しており、24時間の勤務体制を敷くなど感染対策には極めて重要な工場だったことからも、市政府は北朝鮮労働者のコロナ感染を隠しているとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 丹東市では4月中旬から感染者が増えており、この工場でも4月27日に北朝鮮労働者800人全員がPCR検査を受けた結果、20人の感染が確認されたことから、直ちに工場閉鎖の措置がとられた。 RFAの取材に対して、工場側は「単なる咽喉炎であり、新型コロナウイルスではない」などと答えているが、情報筋は「中国側は、国連の対北朝鮮制裁に違反して、北朝鮮籍の労働者を雇用しており、彼女たちが感染したことで、帰国できなくなる可能性も出るなどのさまざまな影響を懸念しているのではないか。いずれにしても丹東市政府と北朝鮮総領事館が情報を隠蔽していることは確かだ」と語っているという。 また、別の情報筋によると、丹東市では工場労働者だけでなく、北朝鮮レストランやバー、ホテルなどで働く複数の北朝鮮女性が感染しているとの情報もあり、それらの場所で飲食をした市民がレストランなどに対して抗議するといったトラブルがあった。現在、感染した北朝鮮女性は市当局によって隔離施設に入れられているという。 RFAは「丹東市でのコロナ感染者が増えるにつれて、北朝鮮労働者を抱える企業の生産量は激減している。感染状況が悪化する前に、資材を購入していた企業は北朝鮮労働者を無理やり出勤させており、彼女たちの間で感染が拡大しているという悪循環を生んでいる」と指摘している。 また、丹東市など国境地帯の都市のロックダウンが広がるにつれて、今年に入ってほぼ2年ぶりに再開されていた中朝間の鉄道による国境貿易も5月1日、再び完全に中断している。
2022.05.09 07:00
NEWSポストセブン
ロシア経済の凋落で、プーチン政権も窮地に陥る可能性(写真/EPA=時事)
ロシアのウクライナ侵攻「侵略の成功」か「核使用」か…2つの最悪シナリオ
「ウクライナ戦争の転換点になる」と言われてきた5月9日──ロシアにとって重要な対独戦勝記念日を迎え、プーチン大統領の暴走はどこへ向かうのか。新たなステージに突入した戦争の展開について、小泉悠氏(東京大学先端科学技術研究センター専任講師)に話を聞いた。 * * * 第二次世界大戦でドイツに勝利した5月9日は、現代のロシアで「第2の建国記念日」のように位置づけられている。“特別な日”にしたのは、プーチン大統領だ。 大統領就任後は毎年、大規模な軍事パレードを実施。大国・ロシアには様々な人種が混在し、宗教も多様だ。国家をまとめるために、「我々はナチスを倒した仲間だ」という物語が必要だった。 ただ、首都キーウは落とせず、ロシア軍の旗色はよくない。当初は5月9日に“勝利宣言”をするとみられていたが、むしろウクライナ侵略を「特殊軍事作戦」としてきたプーチン氏が、「これからが本当の戦争だ」と言い出してより巨大な兵力を動かすことが危惧される。 東部でロシア軍の本格的な攻勢が始まれば、真っ平らな地形のため大規模な部隊同士の衝突になる。第二次大戦の独ソ戦で「史上最大の戦車戦」と呼ばれた1943年のクルスクの戦いも、この地域で展開された。ウクライナ側の抵抗も激しくなり、完全な力比べになる。 西側諸国がウクライナに大砲や対戦車兵器を提供し始めたのは、ロシアが東部の戦闘に集中すると言ったのとほぼ同時。つまり、西側も強大な火力を提供しないと、ロシア軍に完全に打ち負かされてしまうと考えている。ここで敗れれば、ウクライナはドニエプル川の東側の国土を失いかねない。 プーチン氏の戦争宣言の結果、ロシアの侵略が成功してしまうこと。それが、今後の最悪シナリオのひとつだ。 そしてもうひとつがロシアの核兵器使用だろう。 ロシアの核使用基準は2つの公式文書で明らかにされている。2014年版の軍事ドクトリンと2020年の「核抑止政策の基礎」だが、共通するのが“核で攻撃されたら核で反撃する”とあること、そして通常兵器による攻撃でもロシアの国家安全保障が危機に晒された場合は先に核を使うと記している。 核兵器を使った場合の西側諸国の反応はプーチン氏にも大きなリスクであり、簡単に使用するとは考えにくい。ただし、東部のドンバス地方での大規模戦闘でロシア軍が負けることがあれば、核使用の可能性は否定できない。単純に戦況をひっくり返すために使うというより、ウクライナが西側陣営の一翼に組み込まれることを阻止したいという考えが読み取れる。 4月27日にプーチン氏は、西側のウクライナ支援について「我々にとって受け入れがたい戦略的脅威」と発言。核使用の示唆だと受け止められた。では、具体的に「戦略的脅威」とは何を指すのか。ロシア西部のベルゴロドやブリャンスクの軍事施設をウクライナ軍が攻撃したと報じられているが、そうしたことが「戦略的脅威だ」とプーチン氏が言い出した時、事態の推移は予断を許さない。(談)【プロフィール】小泉悠(こいずみ・ゆう)/1982年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員などを経て現職。※週刊ポスト2022年5月20日号
2022.05.09 06:00
週刊ポスト
空母を6隻体制にする目的は?
新型コロナ感染拡大が続く中国 1億6000万人がロックダウン下に
 中国では新型コロナウイルスの感染が拡大しており、上海市ではすでに全面的なロックダウン(都市封鎖)態勢がとられている。また、首都・北京でも一部地域でロックダウンに入っているなど、中国全土の20以上の都市でロックダウンが拡大し、経済成長率が下降するなどの影響が出ている。 今後もこのような深刻な事態が続けば、秋に予定されている第20回中国共産党全国代表大会(党大会)の延期などの政治スケジュールの変更にもつながりかねないとの懸念が広がっている。一方、上海では感染者数が徐々に減りつつあるが、当面は厳重な監禁状態が続きそうだ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 中国の政治の中心地である北京では、数百万人の住民が1カ月以上にわたって厳重な監禁状態にある上海のようになるのを避けるため、1日で約2000万人の市民のPCR検査が続けられている。 市政府はさらに、これ以上の感染を防ぐため、5月4日から全体の10%に当たる40以上の地下鉄駅を封鎖したのに加えて、市全域の158のバス路線を閉鎖した。 また、北京の学校はオンライン授業に切り替わっており、5月11日まで継続する方針だ。 上海市では5月に入って感染者数が減少しているものの、4日には4982人の感染が報告。確定感染者数は58万人以上となっており、当面は全市域のロックダウンを継続せざるをない状況だ。 中国メディア「財新」によると、中国では3月以降、これまでに上海市、吉林省長春市、河北省邯鄲市、福建省泉州市、江蘇省昆山市など多数の大都市がロックダウンに入り、影響を受けた市民は中国全土の22の都市または地区の合計1億6000万人を超えるなど、今後も深刻な状況は続きそうだ。
2022.05.08 07:00
NEWSポストセブン
作家・皆神龍太郎氏(左)とオカルト研究家・山口敏太郎氏が対談(撮影/藤岡雅樹)
【対談】皆神龍太郎氏×山口敏太郎氏「UFOについて我々はどう考えるべきか」
 アメリカ当局が昨年、軍の調査報告を開示したことで、再び注目が集まっているUFO(未確認飛行物体)。識者・研究者の間での最新常識を作家・皆神龍太郎氏とオカルト研究家・山口敏太郎氏が語り合った──。皆神:UFO問題でいま最もホットなのは、やはり4月5日に公開された1500ページ以上に及ぶ米当局の「UAP(未確認空中現象)」報告でしょう。「UFOが人体に及ぼす生理的影響」などファンタジックな内容も含まれているけど、米政府公認の新情報の登場は興味深い。山口:ペンタゴンが認めたのだから「じゃあ正体は?」という話になりますが、皆神さんはどう思いますか?皆神:正体はあくまで「未確認」です。「UFO」という単語も元は、「未確認飛行物体」という中立的な意味合いの単語として米軍が採用した軍事用語でした。でもそれが、いつの間にか「宇宙人の乗り物」という意味にされてしまった。そこで未確認空中現象という原義の立場を貫くため、米軍が新たに今回採用した用語がUAPだったわけです。山口:なるほど。でも、UAPについては米海軍パイロットが撮影した映像も出回りましたよね。皆神:UAPの画像の周りに見える計器の数値を元にしてUAPの動きを改めて計算してみたのですが、私はバルーンや飛行機の可能性が高いと踏んでいます。山口:では、ペンタゴンがわざわざ発表した真意は?皆神:この問題に熱心な共和党議員から圧力があったのと、軍の予算獲得が背景にあると思います。山口さんには申し訳ないけど、UAPの報告が出たから「米政府が宇宙人の存在を認めた」とはなりません(笑)。山口:いやいや、私も宇宙人はいてほしいけど、妄信的になるのは危険と考えます。一方で、UFO問題をヒステリックに否定する科学者にも違和感を覚えますが。社会情勢、人間の心理、軍事的な問題皆神:遠い星から物理的に地球に到達できないと判断されているだけで宇宙人の存在自体を否定する科学者はむしろ少数派です。電波による宇宙人探査(SETI)では、宇宙人発見時の発表手順まで決められています。山口さんはUFO=エイリアンクラフト(異星人の乗り物)派ですか?山口:世間で言われるエイリアンクラフト説は無理があると思っていて、私はタイムトラベルしてきた地球人の子孫の可能性があるかと考えているんです。一方で、UFOはわれわれが思うような物質的存在ではないのかもしれないとも。皆神:というと?山口:「地球が危ない、人類が危ない」という危機感や不安から、「第三の敵」としてUFO、宇宙人を心の中で創造してしまうこともあると思うんです。皆神:例えば、太平洋戦争中に「ロサンゼルスの戦い」というUFO事件が起きた。開戦後の1942年2月、米ロサンゼルス上空に輝く謎の飛行物体が突如現われ、驚いた米軍が一斉に攻撃したのです。ですが、実際の飛行物体は確認されませんでした。実は、その数日前に日本軍の伊号潜水艦がロス北西を砲撃しており、その“恐怖”がパール・ハーバーの悪夢とも重なって、米軍のパニックを誘発したとされています。山口:大戦中や東西冷戦の重要な局面で、UFOブームが起きているのは事実です。終戦直後のロズウェル事件に端を発し、ケネディ暗殺からアポロ計画、レーガン大統領のスターウォーズ計画まで。世界の危機的状況や転換期には、それにリンクする形でUFO問題がクローズアップされます。皆神:UFO問題は社会情勢や人間の心理、軍事的な問題が絡んでくるのでしょう。有名なロズウェルの墜落事件は、旧ソ連の原爆実験を観測するための高高度気球だったことがわかっています。でもその後、米政府と宇宙人の密約「MJ-12」とか、さまざまなストーリーが加わって半世紀以上にわたり語り継がれてきました。山口:ただし、すべてを絵空事と片付けるのは無理があると思うんです。宇宙人との密約については、アイゼンハワーの孫が後に証言しているし、まるっきりのウソとも言い切れない。私は、宇宙人が人類の子孫であると踏んでいますが。皆神:ケネディ暗殺の陰謀説には面白い話があって、当時暗殺現場にいた重要参考人の一人が、以前UFOに遭遇しその際に、UFOの“真実”を知った人のもとに現われるという黒ずくめの男たち(MIB)から、何も話すなと口封じされたと証言していたのです。そのMIBも最近は話題にもなりませんけどね(笑)。山口:日本での報告はあります。静岡や茨城で「UFOを見た」と証言する人の家をMIBがピンポンして回っているらしい(笑)。取材して証言も取りましたが、すべてが妄想と言えないところもある。人間の探究心こそが重要皆神:ただ単に「妄想」と片付けることも問題です。原義の未確認飛行物体という意味でいいのなら、私も小学校の頃から3回ほどUFOを見ていますから。山口:同じですね。私も小学校の複数のクラスメイトと目撃したことがきっかけでした。慌てて教師を呼んだけど、彼女は「見えない」と言う。幼少期の「フェイクメモリー」かと思っていましたが、40年後の同窓会でみんな同じことを話していたんですね。皆神:長年、UFO問題を調査・研究していると「いる」「いない」の次元を超えた不思議な現象はわんさか出てくるんです。陰謀論と結び付けられたりしますが、不思議なこと、説明できないことを徹底的に調べる、そんな知的探求心が大切なのではないでしょうか。山口:そのとおりですね。人間の探究心が薄れることこそが心配です。昭和の時代は「分からない」ことをUFOなどのオカルト現象と結びつけていたけど、いまは時代遅れ。「Qアノン」の陰謀論はウケても、UFOに興味を持つ人は少ない。皆神:私は「犬に襲われる間抜けな宇宙人」とか「女性のストッキングを奪う宇宙人」といった訳のわからない行動をする宇宙人の話が好きなんですよ。目を吊り上げてUFOを肯定、否定するのではなく、楽しみながら真相に迫りたい。山口:まったくですね。ただ、昔ながらのトーンで語られるUFOは“オワコン”になりつつあると思います。米政府のUAP報告で少し延命されたかもしれないけど(苦笑)。極論ですが、面白ければ、いる、いないはどちらでもいいんです。人々の知的好奇心を刺激するのが私の仕事ですから!【プロフィール】皆神龍太郎(みなかみ・りゅうたろう)/1958年、東京都出身。東京工業大学応用物理学科大学院修了。朝日新聞記者を経て、作家、疑似科学ウォッチャーとして活動。群馬大学医学部、和光大学非常勤講師。『UFO学入門 伝説と真相』(楽工社)など、著書、共著多数。山口敏太郎(やまぐち・びんたろう)/1966年、徳島県出身。神奈川大学経済学部卒業。放送大学大学院文化科学研究科修士課程修了。会社員生活を経て、1990年代後半に作家・マンガ原作者として活動を開始。超常現象全般に造詣が深く、著書は170冊を超える。※週刊ポスト2022年5月6・13日号
2022.05.07 07:00
週刊ポスト
マイヤー氏が撮影したという鮮明なUFO写真。画像解析でトリックが見破られた(写真/AFLO)
有名「UFO写真」のトリック アダムスキー、マイヤーに世界が騙された歴史
 昨年、アメリカ・国防総省がUFO(未確認飛行物体)について調査する組織を設置し、再びUFOへの関心が高まっている。冷戦時代から、米ソがその正体を解明しようと躍起になっていたのは事実だが、“真偽”が入り乱れるからUFO問題は複雑だ。UFOのイメージと言えば、円盤に3つの着陸ギアが付いた「アダムスキー型」を連想する人が多いだろう。名称の由来となったのは、ポーランド系米国人のジョージ・アダムスキー氏。 1950年代初頭、アダムスキー氏は「空飛ぶ円盤」との遭遇を主張。その後、「証拠」とするUFO写真を次々と公開し、世間の注目を浴びた。同氏はUFOに乗り地球に飛来した「金星人」とコンタクトしていることを明かし、次々とベストセラーを世に送り出した。 当時、米ソは宇宙開発競争に乗り出していたが、米探査機の「マリナー2号」が1962年に観測に成功するまで、金星は“未知の惑星”だった。太陽系に地球外知的生命体が存在する可能性を信じる人は少なくなかった。 だがその後、アダムスキー氏が撮影したとされるUFO写真やフィルムに多数のトリックが指摘された。同氏は確たる説明をしないまま1965年に死去している。 1970年代に入り、アダムスキー氏と同様に「宇宙人とのコンタクティ」を自称するスイス在住のビリー・マイヤー氏が注目を集めた。同氏は地球から約440光年離れた「プレアデス星人」との交流を主張。1000点以上に及ぶ鮮明なUFO写真・映像を公開した。こちらも同様に数々の偽造が指摘されているが、マイヤー氏は認めていない。 昭和、平成にかけ、数々のUFO番組を担当した民放テレビ関係者はこういう。「かつては視聴者などから持ち込まれた映像を見て、われわれプロが“すごい”“面白い”と思えば、そのまま番組で流していました。でも、現代は、素人でも簡単に画像や映像を加工できる。最近は、CGで作ったUFO映像を持ち込む人もいますし、見た時の驚きも薄れた。UFOはじめ、いわゆる“オカルト特集”がテレビで減っているのは、そうした事情もあるんです」 英国を中心に穀物畑に現われた「ミステリーサークル」も、異星人との関連を指摘されたが、その大半が「いたずら」だったことが判明している。※週刊ポスト2022年5月6・13日号
2022.05.06 07:00
週刊ポスト
キューバ危機を回避したケネディは、全世界に向けUFO情報の公開を検討していたとされる(写真/AFP)
UFO墜落のロズウェル事件、公式見解は「気球の落下物」だが消えぬ疑問の声
 UFO(未確認飛行物体)問題がいま再び注目されている。昨年6月、米当局が軍のUFO調査報告を開示。「説明不能」な現象が多数あるとし、ペンタゴン(米国防総省)が調査機関を設置することを明らかにした。振り返れば、第二次大戦以降、東西冷戦期を通じて、米ソ両国はUFO問題の解明を国防・軍事戦略の重要課題として位置づけていた歴史がある。 終戦後、最大の「UFO事件」とされるのが、いわゆる“ロズウェル事件”だ。1947年7月、米・ニューメキシコ州にUFOが墜落、異星人の死体が回収されたとみられる事件で、今日に至るまで論争が続いている。米当局の公式見解は「軍事調査気球の落下物」だが、疑問視する声も多い。UFO問題に詳しい科学ジャーナリスト・高野誠鮮氏が語る。「当時、当局の発表は二転三転しています。実はこの時、米国は回収したUFOのテクノロジーを分析し、いち早く実用化しようと考えたのではないか。そうした動きが、後に公開された各種公文書、関係者の証言からも読み取れるのです」 この一件により、米国民のUFOへの関心は高まる。米軍にも公的調査機関が設置されたが、確たる成果は得られなかった。ただし、それはあくまで「表向きの発表」だと高野氏は指摘する。「その後、米空軍士官学校の教科書に『実に不愉快だが、彼らは5万年以上前から地球に来ている。現時点で、少なくとも3~4種の異なったエイリアンが飛来している』と記述するようになった。UFOが正体不明の飛行物体ではなく、少なくとも米軍関係者には“エイリアンクラフト”として認識されるようになったのです。原水爆以上の国防機密と言えるのでしょう」 米ソが軍拡を推進して緊張が高まった時代でもあった。1962年、「キューバ危機」が発生し、「第三次世界大戦」勃発が現実味を帯びた。 時の米大統領はJ・F・ケネディ。キューバ危機回避後は、宿敵・旧ソ連との宇宙開発にもしのぎを削った。 米国は、1961年に有人宇宙飛行に成功した旧ソ連の後塵を拝したものの、ケネディ肝いりの「アポロ計画」で人類初の月面着陸に成功。1972年まで計6回の有人探査を行なった。ここで注目すべきは歴代宇宙飛行士の交信記録に残された、UFO・異星人との遭遇を連想させる肉声だ。〈月にはサンタクロースがいた〉〈また“訪問者”が来た〉〈奴らは、われわれを監視している〉──。「UFO情報」公開を進めようとしたともいわれるケネディは、月面着陸成功を待たず、暗殺されている。※週刊ポスト2022年5月6・13日号
2022.05.04 07:00
週刊ポスト
「フー・ファイター」とは何だったのか(イメージ。Getty Images)
大戦中に目撃された謎の飛行物体「フー・ファイター」正体解明は米ソの課題
 昨年、アメリカ・国防総省がUFO(未確認飛行物体)について調査する組織を設置し、再びUFOへの関心が高まっている。そうした中で注目されているのが、「フー・ファイター」の存在だ。第二次世界大戦中、連合国軍の戦闘機パイロットが欧州、太平洋上空で目撃した“正体不明の飛行物体”を指す用語である。当時の戦闘機では考えられない高速、不規則な動きで飛行、時には哨戒・迎撃にあたる戦闘機を追尾する動きもあり、連合国軍パイロットには「ナチス・ドイツの新兵器」を疑う声もあった。 開戦当初、ドイツの工業力、軍需産業は世界有数のレベルにあり、連合国軍のパイロットは“得体の知れない”フー・ファイターとの遭遇を最も恐れていたとされる。「フー・ファイターと呼ばれる飛行物体は、実は旧日本海軍のパイロットも目撃しています。通常の戦闘機・爆撃機とは明らかに違い、金属で覆われた球状の物体で、敵対行動や攻撃を仕掛けてくるわけでもない。『自機にまとわりつくように追尾し続けるが、こちらが戦闘行動に移ると急角度で方向転換、たちまち姿を消した』という証言もありました」(軍事ジャーナリスト) UFO問題に詳しい科学ジャーナリスト・高野誠鮮氏が語る。「ナチス・ドイツ政権下でV2ロケットの開発に携わったヘルマン・オーベルト博士にも話を聞きましたが、当時のドイツが連合国軍を脅かす軍事技術を持っていたことは明らかです。 フー・ファイターを米国の特殊兵器と考えたヒトラーが、『我が国でも同じ兵器を作れ』と命令したとの証言もあります。だが、水銀を使った技術で重力制御を行なう試作機は完成したものの、実戦投入には至らなかった。旧日本軍パイロットの証言などからも、人類がフー・ファイターを作ったとは考えにくい」 そうした中、米・カリフォルニア州で「ロサンゼルスの戦い」として語り継がれる事件が発生する。 1942年2月、ロス上空に数十機の未確認飛行物体が出現。米軍が対空砲で応戦したが、一機も墜落できず、謎の物体は飛び去ったという。日本軍の関与が否定されると、UFO襲来説が囁かれた。 こうした各種の証言、記録から、少なくとも第二次大戦時代には「未確認飛行物体」が各国に軍事的脅威として認識されていたことがわかる。 大戦後、米ソ両国に残された最大の課題のひとつは、「フー・ファイターの正体解明」にあった。それが、安全保障にかかわる問題と考えたからだろう。※週刊ポスト2022年5月6・13日号
2022.05.03 07:00
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