国際情報一覧/3ページ

国際情報を集めたページです。韓国、北朝鮮、中国などの最新動向や、世界各国のニュースの背景を深く分析。国際社会における日本の今が見えてきます。

侵攻間もない3月9日、首都キーウでは軍事演習が行なわれていた(写真=Reuters/AFLO)
ロシアによるウクライナ侵攻 「出口なき戦争」の現在地、その被害と損失戦力
 2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、3か月を経ても先が見えず泥沼化の様相を呈している。圧倒的な戦力差で襲いかかったロシアは、ウクライナの反抗に苦戦を強いられている。両国の損失戦力とウクライナの被害の全容とは──。 ロシアによるウクライナ侵攻は、東部を中心に激しい攻防が続いている。ハルキウ州の6つの集落など、ウクライナはこれまで1000以上の集落を奪還。ロシアに対し、大規模な反撃を展開している。「ロシアの戦力は4分の1以上が失われています。散らばった兵力を再編成していますが、弱体化していることは間違いありません」(軍事評論家・黒井文太郎氏) 軍備で大きく劣るウクライナだが、西側諸国からの兵器供与は拡大している。なかでも米国から5500基以上供与された対戦車ミサイル「ジャベリン」は、ロシアの戦車部隊撃退に大きな威力を発揮している。「しかし、ロシアを追い出せるほど戦力に差があるわけではありません。プーチンが負けを認めない限り停戦は見込めず、戦いは長期化するでしょう」(黒井氏) 大国ロシアによる侵略戦争は、先の見えない消耗戦となって世界を揺るがす。ロシアのウクライナの侵略3か月●3月上旬 ハルキウ州イジューム 集合住宅44人死亡/砲撃を受けた5階建て集合住宅のがれきの中から民間人44人の遺体が発見された。住民たちは砲撃から逃れるため地下に隠れていたという。●3月9日 マリウポリ 小児科・産婦人科の病院17人負傷/ロシア軍の空爆で少なくとも17人の職員が負傷。ドネツク州知事の発表によれば、子どもの負傷者はなく死者も出ていない。●3月16日 マリウポリ劇場「ドネツク・アカデミック・リージョナル・ドラマシアター」約600人死亡/多数の民間人が避難し、建物の前に大きくロシア語で「子どもたち」と描いていたが、建物が完全に破壊されるほどの攻撃を受けた。●4月8日 ドネツク州 クラマトルスクの鉄道駅52人死亡/女性や子どもなど約4000人の避難民でごった返していた鉄道駅に弾道ミサイルが撃ち込まれ、少なくとも52人が犠牲になったと見られる。●4月14日 黒海 ミサイル巡洋艦「モスクワ」沈没1人死亡、27人行方不明/黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル2発によって沈没。ロシア側は当初、弾薬の爆発による損傷と発表していた。●4月18日 リビウ軍事施設や自動車整備工場7人死亡、11人負傷/4発の着弾で7人が死亡。ロシア側によれば、軍事物資の補給輸送センターへの誘導ミサイルの攻撃で、欧米から支援された兵器を大量に破壊した。●5月7日 ルガンスク州 ビロホリフカ村 学校約60人死亡/約90人が避難していた学校が空爆され、約60人が死亡。ゼレンスキー大統領は「ナチスが欧州にもたらした悪の再現」と強く非難した。●5月11日 マリウポリ アゾフスタル製鉄所死傷者数不明/製鉄所に立てこもるウクライナ軍は、5月11日、「過去24時間の間に38回の空爆があった」と発表した6日後に撤退を開始。ロシア軍のマリウポリ制圧が現実味を帯びる。ロシアとウクライナの通常戦力と損失戦力●ロシア通常戦力 兵力/85万人、戦車/1万2420両、装甲車両/3万122両、自走砲/6574基、多連装ロケット砲/3391両、戦闘機/772機、攻撃機/739機、ヘリコプター/1543機、攻撃ヘリコプター/544機、航空母艦/1艦、駆逐艦/15艦、フリゲート艦/11艦、コルベット/86艦、潜水艦/70艦、巡視船/59隻(「GLOBAL FIREPOWER 2022」より)●ロシア損失戦力 戦車/671両、装甲戦闘車両/365両、歩兵戦闘車/721両、装甲兵員輸送車/108両、耐地雷・伏撃防護車両/26両、歩兵機動車/109両(写真【1】)、指揮通信車両 /74両、工兵・支援車両/141両(写真【2】)、自走式対戦車ミサイルシステム/14、重迫撃砲/13基、牽引砲/61基、自走砲/113基、多連装ロケット砲/66基、対空砲/6基、自走対空機関砲/15基、地対空ミサイルシステム/59、レーダー/10、電子妨害・攪乱システム/8、航空機/26機【3】、ヘリコプター/41機、無人航空機/61機、艦艇/9艦、軍用物資補給列車/2両、トラック・ジープ・各種車両/957両(「Oryx」より)●ウクライナ通常戦力 兵力/20万人、戦車/2596両、装甲車両/1万2303両、自走砲/1067基、多連装ロケット砲/490基、戦闘機/69機、攻撃機/29機、ヘリコプター/112機、攻撃ヘリコプター/34機、フリゲート艦/1艦、コルベット/1艦、巡視船/13隻(「GLOBAL FIREPOWER 2022」より)●ウクライナ損失戦力 戦車/163両、装甲戦闘車両/80両、歩兵戦闘車/117両、装甲兵員輸送車/67両、歩兵機動車/93両、指揮通信車両/2両、工兵・支援車両/13両、自走式対戦車ミサイルシステム/10、牽引砲/26基、自走砲/31基(写真【4】)、多連装ロケット砲/17基(写真【5】)、対空砲/3基、自走対空機関砲/2基、地対空ミサイルシステム/43、レーダー類/23、航空機/20機(写真【6】)、ヘリコプター/7機、無人航空機/22機、艦艇/17艦、トラック・ジープ・各種車両/290両(「Oryx」より)●NATO陣営がウクライナに提供した主な兵器自爆型ドローン「スイッチブレード」700機以上攻撃型ドローン「フェニックスゴースト」121機対戦車ミサイル「ジャベリン」 5500基以上装甲兵員輸送車「M113」200両155ミリりゅう弾砲 90門(弾薬 約20万5000発)地対空ミサイル「スティンガー」1400基以上対戦車ミサイル「NLAW」3615基取材・文/小野雅彦※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.25 16:00
週刊ポスト
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
中国の李克強首相が地方をノーマスク視察 ゼロコロナ政策との矛盾に注目
 中国の李克強首相が5月中旬、中国内陸部雲南省の政府機関や大学、民間企業や少数民族の家庭などを視察した。習近平国家主席ら他の中国共産党の最高幹部とは違い、視察中ずっとマスクをつけないで市民らと対話しており、李氏を取り巻く聴衆もノーマスクだったことが関心を集めている。 李氏は習氏とは政治的なライバルであり、水面下で激しい権力闘争をしているとの見方があるなか、李氏が衆人環視の中でマスクをつけなかったのは、新型コロナウイルスの感染防止のため、習氏が主張する「ゼロコロナ」政策への当てつけではないかとの指摘も出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 李氏が訪問したのは雲南省の省都、昆明市とその周辺の少数民族居住地で、昆明市では最初に民営の運送会社の社長の自宅を訪問。李氏は最近の運送業の状況について尋ねると、社長は「新型コロナウイルスの感染防止対策で、他の省に出ることが難しく、雲南の新鮮な野菜や果物を全国に届けることができない。収入が少なくなっている」と答えた。 李氏は「私は必ずあなた方が困難を乗り越えるのを助ける。特に運送業界の問題を解決して、この野菜と果物を全国の家庭に届けることを決意した」と社長を激励したという。 李氏は雲南省東部の観光地である曲靖市の少数民族の村でも、市民に生活状態を質問。彼らは「コロナ対策で観光客が来ないので生活が苦しい」などと口々に訴えた。李氏は「観光客が来ないため、借金が返せないのは大変だ。私はこのような苦しい時期を乗り切ることができるように、しっかりと努力する」と答えている。 また、李氏は雲南大学を視察し、学生らと懇談し、リラックスした調子で「雲南大学はやはり注目に値する。将来、雲南大学は君たちを誇りに思うようになるだろう」と述べると、学生たちは「総理、ありがとうございます」などと語り、大きな拍手が巻き起こった。 この1泊2日の視察の間、李氏一行はマスクをはずしており、また雲南大学などの視察先の人々もマスクをつけていなかった。一方、習近平国家主席は5月5日の党政治局常務委員会で、「常に冷静な思考を保ち、動的ゼロコロナという全体方針を常に揺るがず堅持する必要がある。堅持こそが勝利だ」と述べている。習氏のゼロコロナ政策と矛盾する李氏一行の視察時の行動には、いったいどんな意図があったのだろうか。
2022.05.25 07:00
NEWSポストセブン
プーチン大統領の体調に様々な指摘が(Getty Images=共同)
「プーチン氏の後継者」に浮上、36歳大富豪の子息・コヴァリョフ氏の素顔
 ロシアの平均寿命は欧米先進国の平均より10歳以上低く、2020年のデータで男性は67.3歳(世界銀行、国連調べ)。プーチン大統領は現在69歳であり、すでにロシアの平均寿命を超えている。 実際、プーチン氏には深刻な健康不安説も囁かれており、いつ来るか分からないXデーに備えて、その後継者が誰になるか、世界中が注視している。 これまで名前が挙がっていたのはセルゲイ・ショイグ国防相だったが、ここにきてダークホースと呼べる人物が急浮上している。きっかけは、ウクライナ出身のレーシングドライバー、イゴール・スシュコ氏が、5月10日にある動画をツイッターで公開したことだ。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう話す。「背の高い30代くらいの男性とプーチンが、赤の広場を歩きながら熱心に話し込んでいる姿を録画したもので、プーチン氏が男性を手招きし、40秒ほど話しながら歩いたあと、ショイグ国防相が2人の間に割って入ったところで終わる。スシュコ氏は『プーチンの手駒ではないかと噂されている』とツイートしています」 ツイッターで公開されると、その男性はまたたくまに特定され、大統領府の局長クラスとされるドミトリー・コヴァリョフ氏であることが判明した。国際関係アナリストの北野幸伯氏が説明する。「オムスク州出身の36歳で、ロシアのメディアは『大統領府の局長』と報じていましたが、ロシア連邦保安庁(FSB:前身はKGB)に勤務していて、プーチン氏から直接秘密指令を受ける『大統領の副官だ』とする報道もあります。ロシアの石油最大手ロスネフチのアイスホッケーチームでプレーしていて、プーチン氏とは共通の趣味を通じて緊密になったといわれています。コヴァリョフ氏の父親は、国営ガス会社ガスプロムの子会社の代表取締役だともいわれています」 大富豪の子息で、背が高くイケメン―確かに見栄えはいいが、36歳という年齢は若すぎる感がある。なぜ急にこのコヴァリョフ氏が後継者として浮上してきたのか。「ウクライナ侵攻前まで、最有力候補はショイグ国防相でしたが、侵攻が長引き苦戦を強いられているため、その線は消えたといわれている。 プーチン氏は、後継者にするなら、政権基盤が弱く操りやすい人物を選ぶでしょう。要するに院政を敷きたいわけです。彼は2008年に大統領の座をメドベージェフ氏に譲りましたが、それも操りやすい人物だったからです。もう一人の候補とされるパトルシェフ安全保障会議書記は影の実力者ですが、力が強すぎる。そういう意味で、若くて基盤のないコヴァリョフ氏は、後継者候補として有力だと考えられます」(北野氏) 院政を敷くために、若くて政治力のないコヴァリョフ氏を後継者に選ぶ可能性があるというのだ。プーチンイズムにどっぷり コヴァリョフ氏が後任の大統領に就いた場合、ロシアはどうなっていくのか。戦争は終結に向かうのか。それは、プーチン氏が健在かどうかによるという。「プーチン氏が健在なままコヴァリョフ氏が後継者になる場合、プーチン氏の院政になるので、ロシアは現状維持のままですし戦争は終わらないでしょう。しかし、プーチン氏が亡くなった場合は、コヴァリョフ氏はある程度の自由を手に入れるので、戦争終結に向かう可能性が出てきます」(北野氏) 一方、コヴァリョフ氏が後継者になれば、むしろ今よりさらに過激化するという見方もある。ロシア情勢に詳しい筑波大学名誉教授の中村逸郎氏はこう分析する。「プーチン政権は22年目になります。36歳のコヴァリョフ氏は、落ち目だったロシアが、プーチン政権になって強いロシアに変貌し、その変化を多感な時期にまざまざと見てきた世代なんです。2014年のクリミア侵攻は、20代後半の血気盛んな頃で、彼らにとって成功体験にもなっている」 プーチン氏は側近たちとアイスホッケーのチームを組んでおり、コヴァリョフ氏もそのメンバー。そこにも大きな意味があるという。「メドベージェフ首相の後任に抜擢されたミハイル・ミシュスチン氏もチームメイトで、後継候補はここから出てくることが多い。そのグループに属するメンバーたちはプーチンイズムにどっぷり浸かり、プーチン政策の忠実な推進者であることは間違いない。 プーチン氏亡き後は、もっと強硬に事を推し進めれば、さらに強いロシアが実現すると思うようになるかもしれません。彼が大統領になれば、今以上に過激になる可能性もあり得ると思います」(同前) プーチン時代のほうが良かったと嘆く時代がやってこないことを祈るばかりだ。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.24 11:00
週刊ポスト
薬局を視察する金正恩(写真/EPA=時事)
北朝鮮・金正恩がコロナ感染拡大を公表 「防疫部門は無能」発言に党幹部震え上がる
 北朝鮮で新型コロナが急拡大している。5月18日には新たに26万人の発熱者が確認され、4月末からの累計発熱者は197万8200人、死者は63人となった。「PCR検査が整備されていない北朝鮮では、正確な感染者数を把握しきれず、『発熱者』という言葉を使っています」(在韓ジャーナリスト) これまで金正恩政権は「コロナ清浄国」を謳い、感染者ゼロをアピールしてきた。ここにきて感染拡大を公表したのはなぜか。朝鮮半島情勢に精通する大韓金融新聞東京支局長の金賢氏が語る。「過去にも感染が疑われる事例はありましたが、当該者を徹底的に隔離して“隠蔽”してきたのが実態です。ただ、今回は数が多すぎるのと、感染者の動線が指導部と近すぎたのが問題でした。 金正恩は5月1日に人民軍の閲兵式に参加し、平壌市内の大学生らと写真撮影に臨んでおり、その学生のなかからも複数の発熱者が出た。このまま隠蔽を続けるのは限界だと判断したのでしょう。また公表して国際社会から支援を受けることで、ゼロコロナからウィズコロナに転換する目的もあったのではないか」 北朝鮮は国民のワクチン接種率がゼロと言われており、中央日報(5月16日)は今後死者が10万人を超えるという専門家の見立てを紹介している。「現在、北朝鮮は田植えの時期です。機械化が遅れ、人の手に頼る北朝鮮の農業で感染拡大による人手不足は生産量の減少に直結する。対策を誤れば食料危機が加速する可能性がある」(金氏) 未曾有のパンデミックに収束の見通しは立っていない。5月15日には医薬品が国民に届いていない現状について、金正恩は自身の常備薬を提供すると同時に、「保健当局を叱責した」と朝鮮中央通信が報じた。また「防疫部門は無能」と幹部を糾弾したとの報道もある。 こうした金正恩の言動に党幹部が震え上がっているというのは、別の在韓ジャーナリストだ。「2020年8月、咸鏡北道の穏城郡で中国への脱北者が秘密裏に再入国した事件で、防疫ルールを破ったとして国境警備隊や保衛指導員らが処刑されました。当時はコロナ対策で中朝国境を封鎖しており、感染拡大を招く重罪とされたのです。彼らは数百発の銃弾を浴び、人体の原形を留めないほどだったと言われています。 しかもこの処刑は当該地域を管轄する幹部らに公開され、あまりの光景に気絶する人が続出したとも。今回の感染拡大でも、不手際が発覚すれば責任者が処刑される可能性は否定できません」 金正恩政権では、コロナより粛清の方が恐ろしいようだ。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.24 07:00
週刊ポスト
プーチン大統領の体調に様々な指摘が(Getty Images=共同)
プーチン大統領の「健康不安説」 足を引きずって歩いている様子も確認
 ロシアによるウクライナ侵攻が混沌とするなか、プーチン大統領の「健康不安説」が取り沙汰されている。 報じたのはテレビ朝日。ウクライナ国防省のブダノフ情報局長にインタビューし、「プーチン大統領は精神的、肉体的に非常に悪い状態にあることが確認できます。彼は重い病気です。同時に様々な病気を患っていて、そのひとつが、がんです」と語る映像をANNニュース(5月15日)で流した。 ウクライナ当局からの情報なので、鵜呑みにはできないが、同様の分析は海外のメディアからも出ている。 米誌「ニューラインズ・マガジン」(オンライン版5月12日付)は、欧米のベンチャーキャピタルが3月中旬にクレムリンに近いオリガルヒ(ロシアの新興財閥)に接触し、「プーチンは血液のがんで重病だ」と話している会話の録音ファイルを入手したと報じた。そのオリガルヒの名は明かせないとした上で、情報当局に照会し、プーチン氏に近い「20~30人の親しい輪」の一人と確認したという。「『血液のがん』説に信憑性を与えているのは、プーチン氏の顔の変化です。以前と比べて、明らかに顔がむくんでいますが、抗がん剤と併用するステロイドには顔のむくみが副作用として起きることが知られているからです」(外務省関係者) これまでもプーチン氏の健康状態を巡っては、様々な憶測が飛び交ってきた。 プーチン氏は6年ほど前からパーキンソン病を患っている可能性が指摘され、今年4月21日のセルゲイ・ショイグ国防相との会談で、右手でテーブルの端を強く握り続けていたのも、手の震えを抑えるためではないかと疑われてきた。3月18日にモスクワで開かれた戦争支持派の大規模な集会でも、プーチン氏が足をひきずって歩いている様子が確認されている。 パーキンソン病は、脳の神経細胞が死滅して、体をコントロールできなくなる病気だ。手足の震えや筋肉のこわばり、歩行障害など運動障害が現われ、認知症の原因にもなるといわれる。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう言う。「すべて憶測の域を出ませんが、過去4年に腫瘍専門家と35回会ったとか、昨年秋に甲状腺の手術を受けたため9月はずっと表に出てこなかったとか、イギリスに亡命した元KGBのスパイが、『プーチンはパーキンソン病に加え、認知症も発症している』と証言したとか、様々な説が飛び交っています」 プーチン氏のカルテを見られる人物は限られているので、確認する術はないという。 ただ、もし本当に何らかの病気が進行しているとしたら、時間の経過とともに事実が明らかになるはずである。国際関係アナリストの北野幸伯氏はこう言う。「プーチン氏が患っているのは、パーキンソン病の他、血液のがん、認知症、パラノイア(偏執病)といわれていますが、私はすべて事実だと思います。海外のメディアでは、プーチン氏はがんの手術を受けるため、しばらくパトルシェフ安全保障会議書記が事実上の大統領代行を務めると報じられています。もし本当にそうなれば、病気が事実だったことになります」 しばらく状況を見守る必要がある。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.23 16:00
週刊ポスト
住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
連日20万人以上の発熱者でロックダウンの北朝鮮 食糧難で餓死者増の危機
 北朝鮮では新型コロナウイルス感染が疑われる発熱者数が連日20万人以上にのぼっている。しかし、北朝鮮国内には感染防止のためのマスクや防護服などの医療用品や、肝心のワクチンや薬品が不足しているため、北朝鮮政府は、中国政府に支援を要請して、大量の医療物資を空路で輸入していたことが明らかになった。さらに、5月16日にも追加の物資を大量に搬入している。 事態を重視した韓国や米国も北朝鮮に対して支援を申し出ているが、北朝鮮側からの返答はないという。一方、市民はロックダウンで食糧不足に陥っており、不満が高まっていると米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」が報じた。 北朝鮮は5月12日、金正恩朝鮮労働党総書記が党政治局会議を開催し、首都平壌で初めて新型コロナの感染を認め、「建国以来の大動乱」と表現し、強い危機感を示した。その後、当局は北朝鮮全土の都市にロックダウンを指示している。 しかし、北朝鮮の情報筋はVOAに対して、北朝鮮が先月末から中国東北部で解熱剤、酸素マスク、体温計、防護服など新型コロナウイルスの感染防止のための医療用品を大量に発注し始めていたことを明らかにしており、金総書記が感染拡大を発表する2週間以上も前に、すでに北朝鮮国内では感染が拡大し収拾が付かない状態になっていたとみられる。 世界保健機関(WHO)は「北朝鮮はまだワクチン接種を開始していない2カ国のうちの1つであり、すでに感染が拡大していることから、北朝鮮の医療システムが崩壊していることを示している」と指摘している。 北朝鮮当局は事態を打開するため、各地に駐屯している軍隊や警察部隊に警戒を強化し、道(県に相当)から道、また道内でも人の移動を完全に禁止するよう命令した。しかし、それと同時に各地域への物資の搬入もストップしており、市場には食料品など物資がほとんど入荷しないため、市民は極端な食糧不足に陥っているという。 咸鏡北道の情報筋は「市民はすでに餓死寸前で、新型コロナウイルスによる被害よりも、食糧不足による餓死の心配の方が深刻だ」などと語っている。
2022.05.23 07:00
週刊ポスト
空母を6隻体制にする目的は?
北京大学の学生らが抗議集会「教員と学生の寮に突然の柵設置は差別的措置」
 中国では、新型コロナウイルスの感染防止対策のため、北京の複数の大学で極端な隔離処置がなされている。これに対して学生らがデモや集会などの抗議行動を行い、大学当局と対立、警察が動員されるなど一触即発の状態に陥っている。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」などが報じた。 北京大学の学生と職員の居住区「北京大万柳公寓区」では、学生ら3000人が寮から出られず、食事にも事欠く生活を強いられているのに対して、職員らは自由に移動できるとの差別待遇に学生の怒りが爆発。5月15日夜に学生の一部が暴徒化して、警察が出動する騒ぎがあった。 その発端はこうだ。学生エリアと教員エリアを物理的に分けようと中央の庭に柵を建設している作業員をある学生が問いただしたところ、大学当局からの指示であることが分かった。この事実は学生の間にすぐに広まり、学生ら数千人が現場に集まった。 これに対して、北京大学の陳宝健・副学長兼中国共産党北京大委員会副書記が説得に当たったが、学生らは納得せず、警官隊が出動。その後、陳氏は各寮を訪ねて、希望を聞くことを約束したため、事態はようやく収まったという。 一方、北京第2外国語大学でも新型コロナウイルス感染防止のため、大学当局は学生らの校外への出入りを制限。やはり生活居住区を柵で囲うとの措置をとった。 しかし、これらの対応策について、事前に学生側に通知がなかったため、学生ら数百人が集まり、大学当局を批判する集会を開いた。これに対して警官隊が出動し、一時は騒然とした雰囲気に包まれた。しかし、同大でも大学の当局者が学生側と相談することで、学生側も納得したという。 北京では大学など教育機関が集中する海淀区やビジネス街である朝陽区などで、新型コロナウイルスの感染が拡大し、事実上のロックダウン状態に陥っている。とくに、学生街である海淀区では、学生らがSNSなどで、「学生を差別している」などとの不満を訴えている。
2022.05.22 07:00
NEWSポストセブン
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
中国がエベレスト8830m地点に自動気象観測機器を設置 軍事利用の懸念も
 中国科学調査隊が5月初旬、世界最高峰のエベレスト(チョモランマ=標高8849m)の登頂に成功し、同山北側斜面の標高8830mの地点に重さ50kgの自動気象観測機器を設置したことが分かった。気象観測機器の設置地点としては、世界でもっと高い標高となる。これまで世界で最も高い観測所は2019年に英国と米国の科学者が設置した標高8430mで、その記録が塗り替えられた。中国共産党機関紙「人民日報」が報じた。 13人で編成され中国科学調査隊は、5月4日午後0時46分ごろ、チョモランマ登頂に成功。頂上部分から20m下の8830m地点に自動観測機器を設置し、世界で初めてチョモランマ北側斜面の気温、湿度、風速、風向き、太陽放射などのデータがリアルタイムで地上の観測基地に伝送された。また、調査隊はチョモランマ頂上で、世界で初めて山頂の氷雪の厚さを計測した。 調査隊は昨年も、標高5200~8300mのチョモランマ北側斜面に7カ所の自動気象観測機器を設置しており、今回が8か所目となる。 同紙は「これによって、得られた実測データがチョモランマの超高層気象記録の空白を埋めると同時に、中国のチョモランマ気象観測体制がほぼ完成したことをも意味する」と指摘している。 調査隊は今後、9000m地点に「飛行船型大気観測機器」も投入する予定で、これが成功すれば科学機器の設置地点としては世界記録を更新することになる。 しかし、インド紙「ヒンドゥスタン・タイムズ」は「これらのデータがチョモランマの科学調査だけに使われる保証はない。ミサイルや戦闘機の飛行などに活用される可能性もある。実際、中国はチベット自治区などで軍事基地を建設する際、学術調査隊が観測・収集したデータを利用してきたこともある」などと指摘している。
2022.05.21 07:00
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
「危ない環境」に置かれる日本 核保有国に囲まれ、戦場になるリスク
 ウクライナ戦争が始まって、まもなく3か月が経つ。しかし、アメリカの調査機関などから長期戦を示唆する分析結果も出始め、いまだ終息の兆しが見えていない。 ロシア軍に包囲されたウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所では、ウクライナ部隊2000人以上が兵糧攻めにされたうえ砲撃を受けるなど苦しい戦いを強いられていたが16日以降、ウクライナ兵の退避が続いている。一方、ロシア軍の撤退の動きが伝えられている北東部ハルキウでは、住民の帰還が始まった。 一進一退が続くなか、ロシアのプーチン大統領の暴走が心配される。4月15日、ウクライナのゼレンスキー大統領は米CNNのインタビューでこう述べた。「ロシアが核兵器や化学兵器を使う可能性がある。彼(プーチン大統領)らにとって人々の命などなんでもない。覚悟を決めるのです。これはウクライナだけでなく、全世界の問題なのです」 世界に向けて核戦争に備えるよう警告したのだ。さらに翌日、ゼレンスキー大統領は公開した動画でこう追言した。「ロシアが核兵器を使うのをただ待つべきではない。世界各国はシェルターなどさまざまな方法で備える必要がある。ロシアが核兵器使用の考えを起こさないよう、交渉を行うとともに経済に圧力をかけるべきだ。ロシアはどんな兵器でも使いかねない国で、絶対に信用してはならない」 侵攻を受ける国の若きリーダーの悲痛な叫び──しかし、その脅威について日本はまだ“対岸の火事”という考えが強い。都内在住の60代主婦が言う。「ウクライナ戦争のニュースを見るたび胸が苦しくなりますが、日本で同じようなことが起きるとは、正直、想像できません。日本は戦争しないんですよね? 核シェルターまで、本当に必要なんでしょうか」 戦地となったウクライナから地理的に遠いこともあり、日本全体として危機感の共有ができていないのは事実だろう。それでも専門家の話を聞けば自分たちが置かれている「危ない環境」が理解できる。元自衛隊陸将の福山隆さんが指摘する。「日本は中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれている。それなのに自国は核を保有せず、アメリカの“核の傘”の下に守られることになっている。それをしっかり認識すべき。このままではウクライナ同様、日本が戦場になるリスクがあるのです」 どういうことか。福山さんが続ける。「中国やロシア、北朝鮮の大陸間弾道ミサイルは、すでにアメリカ本土を射程としているといわれますが、彼らとて軍事大国のアメリカを刺激したり、敵に回したくはない。そうなると“戦場になるのはアメリカではなく、日本”ということになるのです」 まず心配なのは、いま暴走しているロシアであることは間違いない。同国にとって、ウクライナは領土の西側の端にあたる位置にある。では東側の端といえば、それは日本だ。ウクライナはロシアとの間にクリミア半島の領有権という領土問題を抱えていたが、同じく日本も北方四島の不法占拠という領土問題が存在し、長年にわたり未解決のまま。ウクライナと日本は、とても近い境遇にあるのだ。 実際、ロシアも日本を目障りな存在と思っているようだ。ロシア国防省は4月14日と5月6日に相次いでミサイル発射演習を行ったと発表。いずれも正確な発射位置や着弾地点は未確認だが、ロシア側は「日本海」でのことだと主張している。これは経済制裁などを強める日本やアメリカなど西側諸国をけん制するほか、日本を威嚇する目的があるとみられる。 同じく「北朝鮮からミサイル発射」というニュース速報を目にする機会も増えている。こちらも活発な核開発が予想され、アメリカのサキ大統領報道官(当時)は5月12日、「北朝鮮が早ければ月内にも核実験の準備を完了させる可能性がある」と述べた。 中国も油断ならない。ストックホルム国際平和研究所の調査ではアメリカ、ロシア、イギリス、フランスに続く大量の核を保有。しかも、その数は年々増加している。改めて見回せば、日本は複数の周辺国から銃口をつきつけられている状態にあるのだ。※女性セブン2022年6月2日号
2022.05.20 19:00
女性セブン
韓国大統領・尹錫悦氏は大通りで通勤(写真/AFP=時事)
尹錫悦・韓国大統領へ北のテロ・襲撃懸念 公邸の移転で「大通り通勤」にリスク指摘
 5月10日、第20代韓国大統領に就任した尹錫悦氏(61)。就任直後の世論調査では支持率が50%を超え、検事出身の新たな大統領に期待を寄せる声が集まった。肯定的な評価として目立ったのが、韓国大統領府「青瓦台」の機能移転と一般開放だが、取材を進めるとそこに懸念を抱く声も聞こえてきた。 青瓦台は日本統治時代の1939年に朝鮮総督官邸として建設された。1948年の韓国建国後は大統領府として利用されてきたが、尹氏は「(青瓦台は)権力の象徴」と指摘。大統領選で、青瓦台に置かれた公邸と執務室をそれぞれソウル市内の別の場所に移転させることを公約としていた。韓国紙記者が語る。「大統領選での公約を速やかに実行した点は国民に評価されているが、当局は移転で警備上の新たな問題を抱えることになった。大統領の新公邸、執務室は約4km離れており、目抜き通りの『梨泰院路』を通る最短ルートの利用でも片道20分はかかる。この道は片側2車線で常に渋滞が激しく、周辺には商業ビルや飲食店、さまざまな店舗が立ち並び、人の往来も多い。移動が敷地内で済んでいた今までに比べ、警備が難しくなるのは明らかだ」 元徳島県警察警部で警視庁への出向経験がある秋山博康氏もこう指摘する。「車での移動は停止した時が最も危険とされます。白バイや警護車が先導し、すべての信号を青にしても、道路状況次第では低速走行や停車することもあり得るはず。その隙を突いて不審者が攻撃を仕掛けてくる可能性も捨てきれません。移動のたびに、沿道に立ち並ぶ建物や往来する人々を厳しくチェックすることも、現実的には不可能と思われます」 新公邸の立地にも不安材料はある。公邸はこれまで韓国外交部長公館だった建物をリノベーションしたもので、敷地総面積は約4000坪。敷地の大部分は雑木林に囲まれているが、わずか200m先には20階を超える高層マンションや中低層の住宅が乱立し、公邸の様子が見渡せる建物もある。「朴正煕政権下の1968年、北朝鮮特殊部隊による『青瓦台襲撃未遂事件』が発生すると、韓国当局は周辺道路の一般通行や、青瓦台を背景とした写真撮影を禁じるなど、長らく厳重な警備体制を敷いてきた。前大統領の文在寅氏によって警備体制は大幅に緩和されたが、青瓦台内外郭では韓国警察の最精鋭部隊『101警備団』をはじめ、約3000名の警察・軍兵力が警備に当たっていた。移転で人員が分散すれば、警備は手薄にならざるを得ない」(前出の記者) 前出・秋山氏も懸念を示す。「付近の高層ビルから敷地内が見えてしまう状況はセキュリティ上、大きな問題があります。要人をターゲットとするテロ事件では、車の乗降時が最も狙われやすい。特殊訓練を受けたスナイパーであれば、ビルの高層階から200m先のターゲットを狙うことは難しくありません。また、これからは複数のドローンを使った薬品の散布など、空からの攻撃も想定しなければならない」 尹氏は北朝鮮に対して融和的だった前政権と違って、就任式の演説でも核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対して「実質的な非核化」を求めるなど、厳しい姿勢を見せていく構えだ。国際社会の常識に照らして当然の姿勢だが、それだけに国際ルールを無視する北朝鮮側の反発を買うことが懸念される。目下、大統領新公邸はリフォーム中。尹氏の入居は約1か月先になるという。建物のセキュリティ対策も強化することで、万全を期さなくてはならないだろう。
2022.05.18 16:00
NEWSポストセブン
住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
北朝鮮の青年同盟が資本主義ファッション取り締まり運動 社会的なパージも
 北朝鮮の朝鮮労働党直属の「社会主義愛国青年同盟」は4月末、全国規模の大会を開催し、「外国のファッションやヘアスタイルをまねる行為は『資本主義的傾向』であり、『反社会主義的慣習』だ」と定義した。これを受けて、青年同盟のパトロール隊は、長髪の若者や、髪を茶色などに染めている者、また英語や漢字など外国の文字を印刷したTシャツを着ている者やジーンズなどをはいている者について、男女を問わず厳しく取り締まっていく方針を決めた。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 社会主義愛国青年同盟は、10代から20代前半の若者グループであるソ連の「コムソモール」や「中国共産主義青年団」をモデルとしている。今年1月には創設76周年の記念大会を開催し、金正恩総書記や主体思想に忠誠を誓う決議などを発表している。 北朝鮮では今年の4月15日は金日成主席の生誕110周年記念日で、25日は朝鮮人民革命軍創建90周年の記念日で、この2つの重要な記念日を祝って大規模な閲兵式が実施された。青年同盟の資本主義ファッション取り締まり運動はこれを受けたもので、金総書記に忠誠を誓い、社会主義社会を実現していくために必要だとの理念に基づいているという。 北朝鮮の情報筋がRFAに明らかにしたところでは、今回の取り締まりは、主に20代から30代を対象にしており、パトロール隊が、韓国などの外国の映画やテレビに出てくるような外見や服装をした者の身柄を拘束し、地区の青年団事務所に連行。罪を告白する手紙を書かされて、家族に引き渡される。 その後、「有罪」となれば、勤めている会社や社会主義愛国青年同盟の本部に通知。厳しい批判集会を経て、罪状がテレビニュースなど公表され、社会的にパージされることになるという。 しかし、若者たちは画一的な社会主義的価値観に不満で、携帯電話などで韓国の映画や音楽などに触れ、資本主義国の若者の文化に憧れを募らせており、中国などで売られているTシャツやジーンズなどを秘かに入手しているという。 RFAは「この背景には、北朝鮮では大学に入学できるのは特権階級の親族か、あるいはとびぬけて優秀なものに限られており、若者の大半は中学や高校を卒業すると、工場や軍隊などに入らなければならず、その後も出世や富には無縁な生活を送らなければならないからだ」と指摘している。
2022.05.18 07:00
NEWSポストセブン
空爆で一部が倒壊したアパート。7階に住んでいたオレグさん(53)は部屋が粉々に破壊され、頭部に大怪我を負った。「額から大量の血を流し、病院に1週間入院しました」【チェルニーヒウ】
ウクライナ現地レポート ミサイル飛び交う街で生きる人たち
 今も夜間の外出禁止が続き、空襲警報が鳴り響くなか、怯えながらも明日の平和を信じて前を向く多くの人々がいる。長期化するロシアによるウクライナ侵攻を、現地で取材を続けるノンフィクションライター・水谷竹秀氏が戦禍の街を伝える。 * * * 戦火のウクライナに入ったのは3月末、ちょうどロシア軍が首都キーウ近郊から撤退し始めた時期だった。ポーランドを経由したため、まず西部の都市リヴィウでウクライナ軍兵士の葬儀を取材した。墓地で泣き崩れる妻の姿が思い出されるが、その記憶が随分昔のように感じられるのは、これまでの日々が非日常的で、濃密だったからだろう。 キーウ近郊にある“虐殺の町”ブチャでは、道端に転がる頭部のない遺体に遭遇し、夫を射殺された妻の嘆き声に耳を傾けた。空爆されたボロディアンカでは、アパートが黒こげになり倒壊し、瓦礫の下から約40人の遺体が見つかった。それらの現場を目の当たりにするたび、戦争の恐ろしさもさることながら、自国を守ろうとする人々の信念や逞しさに心を揺さぶられた。 キーウでは今も警報が鳴り響く。夜間外出禁止令も継続中だ。それでも日中は人々の姿が増え始め、日常を取り戻しつつある。 一方でウクライナ東部は現在も激しい戦闘が続き、街にはミサイルが飛び交う。5月9日の戦勝記念日でプーチン大統領は“戦争宣言”こそしなかったものの、「我々はいまだドンバスのために、ロシアの安全のために戦っている」と強調、状況は依然として予断を許さない。「Slava Ukraini!(ウクライナに栄光あれ!)」。取材中、何度も口にした合言葉が今も耳に響く。【プロフィール】水谷竹秀(みずたに・たけひで)/1975年生まれ。上智大学外国語学部卒業。2011年『日本を捨てた男たち』で開高健ノンフィクション賞を受賞。現在ウクライナで取材中。※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.16 19:00
週刊ポスト
尹錫悦・大統領(右)の対日協調路線は、李在明氏の影響で…(写真=AA/時事、AFP=時事)
韓国・尹錫悦大統領、ライバル・李在明氏の国政進出で早くも反日転向か
 5月10日、韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が大統領に就任した。特使として訪韓した林芳正外相と面会し、「岸田首相と日韓関係の改善のために一緒に努力していきたい」と発言したものの、就任演説では日韓関係への言及を避けた。 大統領選では、日韓関係の修復をしきりに訴えてきた尹大統領のトーンダウン。影響を与えたとされるのが、就任直前に起きた一件だった。「大統領選で戦った『共に民主党』の李在明氏が、6月の国会議員補欠選挙に出馬表明しました。韓国では、大統領選で敗北した候補は、しばらく政界から身を引くのが通例で、続けて選挙に出るのは極めて異例です」(在韓ジャーナリスト) 李氏は大統領選で「日本はまず謝罪を」と訴え、厳しい反日政策を掲げた。選挙に敗れたものの得票差はわずか0.7ポイントと接戦だった。元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が語る。「互いのスキャンダル合戦で勝敗が決まった感があり、尹大統領の対日協調路線が国民から支持されたとは言えません。就任演説で、対日政策に触れなかったのは、直前に李氏が補選への出馬を表明したことが影響したと見られています。日韓関係に踏み込んだ発言をして世論の反発を招くと、李氏への追い風となる」 韓国国会は「共に民主党」が議席の約6割を占め、この勢力図は2024年まで変わらない。「李氏が出馬する仁川は、弁護士として労働争議に関わってきた地盤とも言える地域で、李氏有利と見られています。李氏が国政に進出すると、国会が大統領選の延長戦になるでしょう。尹大統領は少数与党体制で政策を履行するため、野党に譲歩した政権運営を行なわなければならない。今回の補選の結果次第では尹大統領の対日融和路線は早々に方向転換を迫られることになる」(前川氏) これまで何度も繰り返してきた韓国大統領の「反日転向」。不穏な空気がすでに漂っている。※週刊ポスト2022年5月27日号
2022.05.16 11:00
週刊ポスト
空母を6隻体制にする目的は?
ゼロコロナ推し進める中国 出国者を厳格管理、パスポート無効化も
 中国政府は新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、空港などからの出入国者について規制を強化する方針を決定した。旅行書類やビザを厳しく審査する一方で、国民に対して、「絶対に必要な場合以外は国外に出ないようにすべきだ」と呼びかけている。とくに、パスポートコントロールでは出国者に対して、どのような目的で海外に渡航するのかなどをしつこく質問し、不要不急ではない場合、パスポートを没収したり、パスポートの角をハサミで切り取って無効にしたりするなどの厳しい措置がとられている。 中国国家移民局は5月初旬、出入国管理部門が「最高レベルの予防と管理を続けている」とし、国境や空港での入国者の感染確認対策を厳格に遂行するとともに、出国者数を「低レベル」に抑えるように指導していることを明らかにした。 また、国境警備を担当している中国国家安全省も「近隣諸国の法執行機関と密接に協力して、違法な出入国活動を厳しく取り締まっている。中国内でも陸・海・空の検問所の国境警備隊が現地の状況や事情に応じた措置をとっている」などとしている。 ネット上の書き込みによると、広東省広州の空港では、バンコクから中国南方航空便で到着した中国人が入国管理官から「どのような目的で海外に出たのか。なぜ中国に戻ってきたのか。再び出国する予定があるのか」などとしつこく質問されたとのこと。乗客の中にはパスポートの角を切り落とされ、今後、海外渡航ができなくなった者もいたという。 また、中国から海外に留学する予定の人が飛行機に乗ろうとしたら、パスポートを切り取られたという事例や、パスポートを申請したら拒否されたという報告が、ソーシャルメディア上で相次いでいる。 このような事例について、南方週報(電子版)は「中国政府が出国する中国人の数を減らそうとしている。出国すれば、新型コロナ対策に関する世界の状況がわかってしまうからだ。また海外から戻ってきた人が再び海外に出ないようにパスポートを切ってしまうのもよくあることだ」と報じている。 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が10日、新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込める中国の「ゼロコロナ」政策について、「持続可能とは思えない」と批判したが、その翌日、中国のネット検閲当局は国内の各SNSなどに掲載されているテドロス氏の写真、講演、関連投稿を削除した、とロイター通信は伝えている。
2022.05.15 07:00
NEWSポストセブン
空母を6隻体制にする目的は?
ノーベル平和賞候補に投獄中の5人の香港民主化活動家「良心の囚人を選択」と推薦
 今年の秋に発表されるノーベル平和賞候補に、現在投獄されている香港のリンゴ日報創設者の黎智英氏や雨傘革命の黄之鋒氏ら民主化運動指導者ら5人がノミネートされていることが明らかになった。米国や中国など世界10カ国の著名な学者15人が共同で5人を推薦したもので、推薦理由として「この5人は、香港の市民社会を粉砕し、香港や北京の当局への批判を封じようとする香港国家安全維持法に反対した何百、何千もの香港人を代表する人々であり、彼ら5人は同法が香港にもたらした人権の圧殺と人間の尊厳に対する侮辱を受け入れるのではなく、『良心の囚人』になることを選んだのである」と説明している。米紙「ワシントンポスト」が報じた。 推薦人は、代表である中国研究者でカリフォルニア大学リバーサイド校のペリー・リンク教授や中国の反体制思想家で習近平中国国家主席を「マフィアのボス」などと呼んで、米国に亡命し中国共産党籍を剥奪された蔡霞・元中央党校教授ら。 推薦書に添えられた書簡の中で、教授らは香港の活動家たちを、ヒトラー批判のカール・フォン・オシエツキー氏(1935年受賞)、ソ連の反体制学者アンドレイ・サハロフ氏(1975年)、ポーランドの政治家レフ・ワレサ氏(1983年)、中国で拘束中に死亡した民主化指導者劉暁波氏(2010年)といった、これまでにノーベル平和賞を受賞した著名な反体制活動家や迫害された自由の闘士になぞらえて、「2022年に香港の良心の囚人に平和賞を授与することは、人類の最高の道徳的願望を強調することになる」と述べている。 黎氏ら5人に対する推薦状は今年1月31日にノーベル平和賞委員会に送られたが、これまで公表されていなかった。 5人のうち、学生指導者、黄之鋒氏(25歳)は「不法集会」の罪ですでに香港の刑務所内で1年1か月間、刑に服していたが、2021年1月に再逮捕され、新たな香港国家安全維持法によって「破壊工作」の罪に問われ終身刑となる可能性があるという。何桂藍氏は31歳の女性ジャーナリストで、2019年の民主化デモの際に政府の影響下にある組織がデモ参加者を殴打する状況を取材し報道。彼女も「破壊工作」の罪に問われ終身刑を言い渡される可能性があると伝えられる。 2021年には米国の超党派の議員グループが香港の民主化運動全体を推薦した。今年は、個人251人、団体92人の計343人がノミネートされている。
2022.05.14 07:00
NEWSポストセブン

トピックス

逮捕された「RYO&YUU」
公然わいせつ逮捕「RYO&YUU」、性的動画アップは「親公認」だった 22歳の女は愛知・香嵐渓で全裸に
NEWSポストセブン
ゴルフをする女性芸能人が増えている(左は小島、右は鷲見。ともに本人のインスタより)
タイトなウェア姿を投稿しまくりの小島瑠璃子と鷲見玲奈「ゴルフ女子」枠巡る熾烈な戦い
NEWSポストセブン
結婚を発表し、お相手を「建築会社」とした滝沢。「一般男性」とは言っていない
滝沢カレン結婚!「テラハ」出演“肉食系”ハーフモデルのどこに惹かれたのか
NEWSポストセブン
巨人に13.5ゲーム差でヤクルトが首位独走 「CS開催の必要あるのか」の指摘も
巨人に13.5ゲーム差でヤクルトが首位独走 「CS開催の必要あるのか」の指摘も
NEWSポストセブン
左から主演のオースティン・バトラー、妻役のオリヴィア・デヨング、バズ・ラーマン監督、トム・ハンクス(EPA=時事)
『トップガン』『エルヴィス』大ヒットが示すアメリカの“昭和ブーム”
NEWSポストセブン
TBS・安住紳一郎アナウンサーの魅力の源は?(時事通信フォト)
TBS安住紳一郎アナ、恩師や先輩アナが明かす“天才的なしゃべり”“のスキル
週刊ポスト
判決が出る前に謝罪動画をYouTubeに公開していた田中聖(公式YouTubeより)
出身地を隠さないアイドルだった田中聖 罪を償い寛解したなら帰る場所はある
NEWSポストセブン
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
メディアの前に久しぶりに姿を現したブラザートム(撮影/黒石あみ)
ブラザートムが不倫騒動・事務所独立からの今を語る「娘にはよくハガキを書いてあげるんです」
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん
小室圭さん妻・眞子さんがNYで行きつけのスーパーから見えてきた“妻の気遣い”「日本でいえば『成城石井』」 
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン