国際情報一覧/2ページ

国際情報を集めたページです。韓国、北朝鮮、中国などの最新動向や、世界各国のニュースの背景を深く分析。国際社会における日本の今が見えてきます。

住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
北朝鮮の地方農村部で深刻な医薬品不足 鹿の血の乾燥粉末も高額取引される
 北朝鮮では新型コロナウイルスの感染が、中国からワクチンや薬品などが提供され、一段落ついたと伝えられるが、これらの医薬品のほとんどは首都・平壌で使われており、地方の農村部では依然として薬不足などで深刻な状態が続いている。このため、地方では鹿の血を乾燥した粉末や他の漢方薬などを用いているという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は「6月初旬の朝鮮労働党政治局会議で、新型コロナウイルスの感染状況は全国的に制御・改善されていると発表された」と報じている。 しかし、地方の人々は満足な治療は受けられていないのが実態だ。北西部の平安北道の住民は「平壌と地方では大きな差があり人々は本当に不満を抱いている。国家非常防疫司令部が集中審議を行い、緊急事態に備え備蓄している医薬品を迅速に配布すると通知したことで期待は大きかったが、その医薬品は平壌の人々や軍に配られ大変失望した」と語っているという。 鴨緑江を挟んで中国と国境を接する新義州市では風邪薬として使われる漢方薬が置いてある薬局もあるが、郡レベルの薬局は完全に空っぽだ。薬局は政府の命令で、24時間営業を強制させられているが、肝心の薬がないのに、販売員や警備員が昼夜を問わず薬局に居座っているだけになっている。 北東部の咸鏡北道・崇仁市では、高熱と咳を訴える患者がいても薬がないので、闇市で鹿の血のようなものに頼るしかない状況だ。同市の住民はRFAに対して、「闇市で取引される鹿の血の乾燥血粉は、小さな瓶でも5000ウォンという高値で売られている。また、アスピリンやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤の偽造品も増えている」と語っている。
2022.06.13 07:00
NEWSポストセブン
空母を6隻体制にする目的は?
アイスの戦車を見せた中国インフルエンサーのライブ配信切断 天安門事件関係か
 若者を中心に約1億7000万人のフォロワーを持つ中国有数のインフルエンサー、李佳チー(チーは王編に奇)氏が6月3日、アリババの動画配信サービス「タオバオライブ(淘宝直播)」でナビスコの「オレオクッキー」の実演販売していた際、クッキーとアイスクリームを使った戦車のケーキを見せたところ、突然ライブ配信が中断、画面が真っ黒になり、その後、数日経っても李氏が姿をみせないという事件が起きた。 6月4日は1989年の天安門事件33周年に当たっており、当時、1人の学生が中国軍の戦車の前に立ちはだかり、戦車隊を止めた映像がいまでも出回っている。この学生は氏名不詳のため、「無名の反逆者」、「戦車男」(タンクマン)などのニックネームで呼ばれている。当局が李氏の戦車のケーキ作りを「政治的企み」と判断して、ライブを遮断したとの見方が強まっている。BBCなどが報じた。 1992年生まれの李氏はタオバオライブの出演者のなかでは中国有数の影響力をもつインターネットセレブ。ライブ配信ではスキンケア製品や乳児向け用品、宝飾品、化粧品などを販売してきた。ある時には1回のセッションで1万5000本の口紅を売り、「口紅一哥(口紅の王者)」というニックネームがついたほどだ。 フォロワーの多くは30歳以下の若者で、天安門事件で何が起きたかは教えらえていない世代だ。 そのようななか、ネットでは天安門事件当時の『タンク(戦車)マン』と呼ばれる学生のことが秘かに話題になり、フォロワーの若者たちも当時の「タンクマン」の存在を知るようになった。 李氏と親しい電子商取引企業社員はBBCなどに対して、「李さんは生放送で『濡れ衣』を着せられ、巨額の経済的損失を被った。しかし、そのおかげで、1億人以上のフォロワーが『6月4日天安門事件』の真実を知り、あるいは知りたいと願うようになった」と語っているという。 李氏のプロダクションはソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」のアカウントに「技術的な問題があっただけだ」と投稿しているが、その後も李氏は姿を消したままだ。
2022.06.12 07:00
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
エリザベス女王の即位70周年にロイヤルファミリー、セレブが集結 豪華な祝祭
 イギリスで現地時間の6月2日から5日に、エリザベス女王の即位70周年を祝う記念行事「プラチナ・ジュビリー」が行われた。1952年に即位し、イギリス史上もっとも在位期間の長い君主となったエリザベス2世のため、パレードやコンサートにはロイヤルファミリーやセレブたちが集結。豪華な祝祭となった。●くまのパディントンとお茶をする女王 4日に行われたコンサートの冒頭で上映された短編動画では、イギリス児童文学で有名な「くまのパディントン」とエリザベス女王がお茶をする姿が。ティーポットのお茶を一気に飲み干したり、お菓子を手で潰してしまうお茶目なパディントンを、女王は笑顔で見つめていた。●ウイリアム王子一家 左からキャサリン妃、ルイ王子、シャーロット王女、ジョージ王子、ウイリアム王子。バッキンガム宮殿でエリザベス女王と並んでパレードを見学した。●ウイリアム王子の子供たち プラチナ・ジュビリーのため、馬車に乗ってやってきた3人の子供たち。民衆に手を振る姿がかわいらしい。●カミラ夫人とキャサリン妃 ファッションにも注目が集まるキャサリン妃。昨年のG7サミットでも着用した白のブレザードレスに、故・ダイアナ元妃の婚約指輪と同じサファイアのイヤリングをエレガントに合わせた。●チャールズ皇太子と女王 母と息子のツーショット。4日のコンサートでは、チャールズ皇太子が女王に向けて「マミー、この70年間、あなたは私たちと笑い、泣き、そして何よりずっと一緒にいてくれました」と思いのこもった手紙を読み上げた。●ロイヤルファミリーが集結 最終日にはロイヤルファミリーが集結。バッキンガム宮殿のバルコニーから手を振り、集まった民衆たちから祝福を受けた。●ヘンリー王子とメーガンさん イギリス王室を離脱し、アメリカに移住しているヘンリー王子とメーガンさんも、3日の礼拝に出席。国民たちからは賛否両論の声が上がった。●黄金の馬車も登場 最終日に行われたパレードには、エリザベス女王が1953年の戴冠式の日に乗った黄金の馬車が登場。窓には笑顔で手を振る当時の女王の様子がホログラムで映し出された。 4日のコンサートに出演したロックバンドQueenのギタリスト、ブライアン・メイ。圧巻のギターパフォーマンスを披露した。コンサートの大トリを飾ったのは、15年ぶりにイギリスでライブパフォーマンスを行ったダイアナ・ロス。「このような記念すべき歴史的な機会にパフォーマンスの招待を受け、本当にうれしく思っています」と女王を祝福した。 5日のパレードでは、女王が即位した1952年から現在までの文化の変化が描かれた。1990年代を象徴するバスにはナオミ・キャンベルの姿が。ナオミ・キャンベルと同じバスには、スーパーモデルのケイト・モスの姿も。セレブたちも皆、エリザベス女王をお祝いした。写真/Getty Images、アフロ※女性セブン2022年6月23日号
2022.06.09 19:00
女性セブン
各地で自国第一主義が台頭(イメージ。Getty Images)
ボーダレス時代に「自国ファースト」が支持される理由 “国家の悪循環”を断ち切れ
 ロシアのウクライナ侵攻は、21世紀になってもなお政治・軍事上の要請が経済的な合理性を凌駕してしまう現実を象徴している。だが、その一方で、経済を無視しては人々の生活が立ち行かない以上、「力による現状変更」を企図した指導者はそのままでは生き残れない。世界的ベストセラー『ボーダレス・ワールド』の著者・大前研一氏は、“ウクライナ戦後”の世界においても、経済のボーダレス化は不可避かつ不可逆的なものだと主張する。 * * * 今回あらためてテーマとして取り上げたいのは、「21世紀国家の繁栄とは何か」という問題です。 我々は普通、国というと「国民国家」、いわゆるネーション・ステートというものを思い描きます。主に19世紀から20世紀にかけて世界各地に形成され、たとえば、いま世界196か国(2021年3月時点)と言った時の「国」がそれに当たります。国際連合(国連)というのは、その国民国家の集合体ということになります。 私は1990年代から、アメリカのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で公共政策学を教えています。そこでは「地域国家論」という講座を持ち、そのものずばり『地域国家論』(講談社/1995年刊)という本も出しました。英語版のタイトルは“The End of The Nation State”、すなわち「国民国家の終わり」です。「国民国家」とボーダレス経済 そもそも国民国家とは何か? それに答えることは意外に難しいです。まず、国家の定義としては、明確な国境があって、その領土の中に国民が居住し、その国民が主権者となって国の諸制度を決めていく。主権国家は憲法(国家の基本法)を持ち、国民を代表する政府が国防・外交・財政などを所管している──といった定義もできます。 また、歴史的な経緯から見ると、絶大な権力を誇っていた国王中心の絶対王制に対して、17世紀のイギリス市民革命やフランス革命(1789年〜)などが起き、国民中心の国家運営ということで、国民国家が形作られていきました。アメリカ(独立宣言は1776年)は、そのイギリスやフランスの市民革命のコピーでできあがった国家と言えます。 国民は、主権者としてさまざまな権利を与えられることになったと同時に、納税や兵役、教育などの義務を負うことになりました。また、国家の一員として帰属意識を高めるために国歌や国旗への敬礼、言語の標準化といった統制も受けました。 しかし、それらはすべて「国境が閉じている」という前提で成り立つことです。国境が閉じているからこそ、国民意識=ナショナリズムが重視され、国という枠組みの中で経済の成長も考えられてきました(図表1参照)。 しかし今、起きているのは経済のボーダレス化、グローバル化です。私は1990年に『ボーダレス・ワールド』という本を英語で出版しましたが、モノ、カネ、情報が軽々と国境を飛び越えるようになれば、ビジネスも国境を越えて発想していかなくてはなりません。ネット隆盛の時代に、国民国家という国境の中だけの枠組みで考えていたら、企業は死に絶えるしかない──というのが『ボーダレス・ワールド』の基本的な考え方です。 当初は世界中の経営者がこの本の主張にひっくり返りました。同書もまた、国民国家の限界というものを明確に指摘していたからです。 ボーダレス社会、ボーダレス・ワールドでは何が起きるのか? それまでの工業化社会の勝者が凋落し、経済格差がどんどん拡大していきます。さらに、非常に貧しい国や地域から移民・難民が国境を越えてやって来ます。となれば、異なる民族同士が争うようになり、民族紛争も起こります。 また、生活者の多くが現状に不満を持つようになります。当然、自国の政府や政治に対しても怒りの矛先を向けます。 そうなってくると今度は、政治家は票が欲しいために、「自国ファースト」「ポピュリズム(大衆迎合主義)」の政策を掲げるようになります。まさに古代ギリシャの末期に見られた「衆愚政治」の再現となるわけです。「国」にしがみつけば落ちぶれる 新刊『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』でも解説しましたが、ボーダレス化やグローバル化が進んだ今の世界では、「国家」の枠組みにしがみついて「あの国が我々の脅威だ」「移民・難民が仕事を奪う」と叫べば支持者が集まってくる、という状況が至るところで見られます。「自国ファースト主義」や「ポピュリズム」がはびこっているのが現状です(図表2参照)。 その筆頭は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領ですが、後任のジョー・バイデン大統領も「トランプイズム」からなかなか抜け出せずにいます。 それから、イギリスのボリス・ジョンソン首相。ブレグジット(イギリスのEU離脱)を主導して、返す刀でFTA(自由貿易協定)では「自国ファースト」を主張しています。この人物は、歴史的に最も愚かなイギリス首相として名を残すと思います。 それから、日本も安倍晋三元首相や菅義偉前首相はどんどん借金をしてツケを後に回すアベノミクスという経済政策を続けて大衆におもねり、自画自賛する「ミー・ファースト」の政治を続けてきました。岸田文雄首相も、それを継承しつつあります。新型コロナ対策では的外れの連続で、コロナ敗戦・ワクチン敗戦が続いていますが、異次元金融緩和と国債頼みで何とか“延命”し、ほかに代役がいないという理由で続投しています。 中国の習近平国家主席は独裁者ですが、ポピュリスト(大衆迎合主義者)であることは同様です。巨大IT企業や裕福な経営者に利益を還元するように圧力をかける「共同富裕(共に豊かになる)」のスローガンなどは、大衆迎合の典型です。また習近平の場合には、香港だけでなく、台湾も南シナ海・九段線まで自国領だと主張し、「中華民族の復興」「一帯一路」の新・植民地主義などで愛国心を?き立てます。 また、強権体制下でロックダウンをいち早く実施して、「ゼロコロナ」を標榜しています。もともと習近平1人に権力が集中することには懸念があったものの、結果的に、徹底的な汚職追放を含めて、国民の人気を得ています。 ほかにも、ハンガリーのオルバーン・ヴィクトル首相やポーランド与党「法と正義」党首のヤロスワフ・カチンスキ元首相は、EUや西側のリベラリズムに異を唱え、国内のナショナリズムを煽っているポピュリストですし、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領やベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領など独裁政権は枚挙にいとまがありません。 こうした「ミー・ファースト」の政治家はトランプ前大統領に象徴されるように、移民・難民の受け入れに反対して国民の愛国心を鼓舞することで支持を集めています。 現実を見れば、「ダイバーシティ(多様性)」が世界をリードしていて、国民国家という時代遅れの枠組みにこだわっていたら、富も人材も不足して、国が落ちぶれ、国民が貧しくなるだけなのですが、それと反対の甘いことを言ってくれるのが政治家の役割で、有権者はそういう人に投票する、という悪循環が続いています。 この悪循環を断ち切るにはどうしたらいいのか──ロシアのウクライナ侵攻後の世界に突きつけられているのは、そういう根源的な問いなのです。※大前研一『経済参謀 日本人の給料を上げる最後の処方箋』(小学館)より一部抜粋・再構成
2022.06.04 11:00
NEWSポストセブン
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
中国の大学生の就職は「超超氷河期」 北京大学博士課程修了者も警備員に
 中国では今年、大学の卒業生が1076万に達し、就職戦線は「超超氷河期」状態となり、「卒業即失業」という言葉が流行語になっている。 とくに今年は新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で経済が低迷しており、卒業生の大半は「無職」のまま社会に出ざるを得ない状況だ。北京各紙が報じた。 中国の就職情報専門サイト「智聯招聘」が5月17日に伝えたところでは、4月末現在の大学卒業予定者の内定率は男子学生が22%、女子学生は10%で、今年はこれまで20年間で最も厳しい状況だという。 これは中国の失業率が現在、高止まり状態であることも影響している。中国国家統計局が5月16日に発表したところでは、今年4月の中国の都市部の失業率は6.1%となり、2020年3月以来の高水準となっている。とくに16歳から24歳の失業率は18.2%と過去最高を記録した。 李克強首相は中国国務院(内閣)の会議で何回も「雇用の安定化」を強調、視察先の雲南省でも5月18日、雲南大学の卒業生のための就職説明会を訪れ、学生たちに「希望する仕事に就けるよう幸運を祈っている」と語ったほどで、李首相自ら中国における雇用問題を重視していることが分かる。 こうした状況をうけ、卒業予定者は都市部の公務員や大企業での就職を諦めており、「企業規模が100人以上、月給は6000元(約11万4000円)以上であれば、地方都市であっても、履歴書を提出するのが当たり前になっている」と「智聯招聘」は報じている。 海外企業が多く進出している北京市朝陽区政府はこのほど、2022年に公務員として採用するリストを発表したが、合格者の多くは中国や海外の名門大学の卒業生で、その3分の2は修士・博士号修了予定者であることを明らかにしている。その中には、中国の名門大学である北京大学の原子物理学の博士課程を修了した大学院生もおり、内定したのは警備担当だったという。
2022.06.04 07:00
NEWSポストセブン
ウクライナ軍と共に戦う外国人義勇軍「ジョージア部隊」に従軍する兵士たち(写真 横田徹/NSBT JAPAN)
ウクライナでロシア兵を狙撃する外国人義勇軍に密着 日本からの志願兵は3人
 激戦が続くウクライナのザポリージャとドネツクの中間にある東部の最前線──私はそこで、ウクライナ軍と共に戦う外国人義勇軍「ジョージア部隊」に従軍した。1991年のソ連崩壊時に独立したジョージアの国籍を持つ者を中心に約800人の兵士が在籍する。ジョージア人以外に米英仏などからの義勇兵が加わり、私が部隊と行動を共にした5月12~17日に顔を合わせることはなかったが、日本からも志願兵3人が参加しているという。 主に取材に答えた副司令官・レヴァンが指揮するチームは、かつてジョージア軍のスペツナズ(特殊任務部隊)だったという兵士で構成される。NATO(北大西洋条約機構)からウクライナ軍経由で提供された対戦車ミサイル「ジャベリン」や「NLAW」、対空ミサイルの「スティンガー」を扱い、チームの練度の高さが読み取れる。 今回の戦争では、激戦地を転戦。キーウ近郊の空港の奪還作戦にも投入され、現在はロシア軍陣地から2kmの距離まで近づいての作戦を遂行する。「小型ドローンで偵察し、砲撃でロシア兵に恐怖を与える。そして最後には突入して、殲滅するんだ」 不敵な笑いを浮かべ、レヴァンはそう語った。 このチームには、百戦錬磨のスナイパーも多数いる。彼らは草木に偽装したギリースーツに身を包み、ゆっくりと匍匐前進でロシア軍陣地に500mのところまで接近。相手陣地の状況を偵察し、チャンスがあれば狙撃する。使うライフルは、12.7mmの弾で1000mを超える先の標的を狙える「バレットM82」や、世界のトップクラスのスナイパーが愛用するアキュラシーインターナショナル「L96A3(338ラプアマグナム弾)」だ。 写真右のスナイパーは、前日にも2人のロシア兵を狙撃したという。 2月末からずっと戦い続けている彼に“たまには休暇を取ったほうがいいのでは?”と聞くと、「そんな必要ないよ。俺たちは戦争がしたくてここにいるんだから」と笑みを浮かべ答えた。彼らの戦いは、いつまで続くことになるのか。取材・文/横田徹(報道カメラマン)※週刊ポスト2022年6月10・17日号
2022.06.01 07:00
週刊ポスト
住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
北朝鮮 国境警備の兵士らに中国製ワクチン接種開始の一方で偽薬品出回る
 北朝鮮では新型コロナウイルス感染によるとみられる高熱患者が300万人を超えるなか、非常事態に対処するため結成された「国家非常事態検疫司令部」が、中国政府の協力を得て、中国が製造した「シノバック」製のワクチンを入手。金正恩朝鮮労働党総書記の指示により、最初にワクチンを接種したのは中朝国境を警備する第31国境警備局第1旅団だったことが分かった。 北朝鮮では人口が最も多い首都・平壌がロックダウンとなり、市民はワクチン接種を待っているが、やはり優先されたのは軍だった。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。 感染が急速に拡大するなか、北朝鮮政府は中国政府に緊急支援を要請。その後、国家緊急検疫司令部の代表団が、中国に派遣され、シノバック製のワクチンの供与を受けたという。 平壌の情報関係者はVOAに対して、中国からのワクチンは船で運ばれ、中国との国境地帯で軍務についている国境警備局のパトロール隊と国境に駐留する兵士が最初に接種を受けた。また、同時に同司令部メンバーにも接種されたという。 ワクチンは北朝鮮に無償で提供された可能性が高いが、約2600万人の国民全体に行きわたるにはかなりの時間が必要とみられる。 北朝鮮では、初期段階での感染者は4月の軍事パレードに参加した軍人が主だったため、軍医が中心になって、軍人へのワクチン接種が優先されている。 このため、市民は発熱しても市販の薬を買って服用している状態だが、薬が品薄状態でなかなか手に入らないという。ある関係者はこう語る。「時々、薬剤師や売人が風邪薬を売っていますが、そのほとんどは偽物。咸鏡北道の清津市では高熱を出した患者が平壌製薬工場で製造されたとする風邪薬を飲んでいたが死亡した。中国で製造された風邪薬はほとんどなくなり、偽造薬が製造されているようだ」 ある病院関係者は「新型コロナウイルスの患者が急増するにつれ、病院はすぐに手いっぱいになっている。症状を緩和するための薬も枯渇しているので、状況は厳しくなる一方だ」と語っている。
2022.06.01 07:00
NEWSポストセブン
空母を6隻体制にする目的は?
中国共産党が幹部や家族の海外資産保有禁止を通達 実態との乖離に批判も
 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」はこのほど、中国共産党中央委員会が閣僚級以上の高官やその配偶者、子弟など近親者が海外資産を保有することを禁止するとの内部文書を通達した、と伝えた。この理由について、ロシア軍のウクライナ侵攻に伴って、欧米諸国がロシアの高官に課したような制裁を防ぐため、あるいは、汚職撲滅のためなどとされている。 しかし、ネット上では「習近平の2人の姉夫婦や弟が海外に資産を持ったことを筆頭に、党高官親族の海外資産保有は周知の事実だ。まずは習近平自身が襟を正せ」との声が出ている。 WSJが入手した内部文書では、中国の閣僚級以上の高官の配偶者や子弟、親戚などの近親者は海外不動産や企業の株を所有してはならず、海外の金融機関に口座を開設することは許されていないという。 さらに、県(日本の市や郡)レベル以上の党・政府機関の幹部は自分自身や配偶者、子弟の国外での就業、預金・投資について報告しなければならないと規定。それ以前にも、1995年以降、共産党内には、副大臣(次官)クラス以上の幹部に対して、個人の収入、不動産や株などの所有、配偶者や子供の海外移住、配偶者や子供のビジネス取引などを毎年申告するよう求める文書が存在するという。 しかし、米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「博訊新聞網」は、読者の声として、習近平主席の近親者や、江沢民元主席や温家宝元首相、朱鎔基元首相の息子が米国の大学に留学後、海外の金融機関に就職したり、他の投資家と共に金融機関を創設したりして、莫大な利益をあげていることはよく知られているとの書き込みを掲載している。「本当に問題なのは、最高幹部の近親者がこれらの利益を得たとしても、共産党政権では取り締まることも罰することもできないことだ」と博訊新聞網は指摘している。
2022.05.31 07:00
NEWSポストセブン
住民の間では新型コロナウイルスの感染拡大や防疫措置などによる不満が高まっていたという
感染拡大続く北朝鮮 脆弱な医療体制で高齢者、妊婦、児童らにしわ寄せ
 新型コロナウイルス感染者が急増する北朝鮮の首都・平壌市では、医療従事者が不足しているため、医学生が動員されていることが明らかになった。しかし、医療技術が未熟なため、適切な治療が行えず、死者が増え続けているという。とくに、高齢者や高血圧や糖尿病などの慢性疾患を持つ人々が適切な治療を受けられずに死亡しているほか、妊婦なども満足な治療を受けられず、症状が悪化する例もあるようだ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮では5月初め、感染対策の指揮を執る「国家非常防疫司令部」が組織され毎日発熱者の統計をとっている。5月25日の時点で、約300万人の国民が発熱し、うち約100人が死亡、約150万人が回復し完治、150万人が治療中であると報告されている。しかし、この「完治」とは、新型コロナウイルスの完治ではなく、発熱症状が消失したことだけを意味する。 人口290万人の首都・平壌は人口が密集しているため、ロックダウン(都市封鎖)状態となり、メディアは「緊急事態を宣言し、市内の各病院から医師を動員し、医学生まで動員し始めた」と報じている。 市内の情報筋はRFAに対して、「平壌市民はすべて強制的に集中的な健康診断を受けている。毎日2回、体温をチェックし、異常な症状があれば報告しなければならない」と語っている。 非常事態となったことで、北朝鮮当局は戦争時のために備蓄していた緊急用医薬品を放出し始め、盗用を防ぐために薬局に軍人を配置しているという。 一方、北朝鮮の教育省は5月11日、平壌市内のすべての小中高校に対し、対面授業を中止し、オンライン学習に切り替えるよう命じた。しかし、自宅にパソコンを持っている児童は全体の2~3%にすぎないとされ、「この教育省の指示はまったく無意味だ」と情報筋は指摘している。 さらに、5月2日、牡丹峰地区の中学校で23人の生徒のうち5人が高熱と咳の症状を示したほか、別のクラスの他の生徒も同じように高熱と咳の症状を示したため、学校は直ちに授業を中止し、国家非常検疫司令部の指示の下、全生徒を帰宅させたという。 ある住民はRFAに対して、「最初に症状が出たのは、軍事パレードに観客として動員された中学生であることを(当局が)確認した 」と明らかにしている。その後、北朝鮮全土では小中学校の発熱者数は数千人規模で増えているという。 首都平壌の北にある平安南道安州市では、住民約200人が重症者としてホテルに隔離され、毎日2錠の鎮痛剤だけを与えられているというが、妊娠中の女性もおり、出産を控えた人が必要な適切な治療が受けられず、死産したケースもあったようだ。 いずれもしても、北朝鮮では病人や高齢者、児童、妊婦など社会的弱者ほど、悲惨な境遇に置かれている。
2022.05.29 07:00
NEWSポストセブン
空母を6隻体制にする目的は?
中国人民解放軍が下士官のモチベーション改革 実力主義の運用に
 中国人民解放軍は複雑化する国際環境での戦闘に対応し、より専門的な軍隊を育成するため、兵士の昇進、採用、訓練のあり方を見直し始めている。その改革の目玉としてこのほど「徴兵による下士官育成の改正に関する規定」を作成、軍内に配布し、軍幹部の評価基準は「戦闘能力が唯一かつ基本である」としていることが明らかになった。 この規則は、軍隊の水準を高めるために不可欠な措置とみなしており、敵対する米国や日本などに対抗する狙いとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 中国軍は2017年に30万人の軍人の削減が行われ、現在総員は約200万人となっている。 習近平・中国国家主席兼中央軍事委員会主席は2018年3月、軍の少数精鋭化を進めるために、軍隊の「背骨」である下士官の重要性を強調し、「下士官の安定は非常に重要だ。下士官のプロ意識を向上させ、離職率を減らさなければならない」と指摘して下士官に関するプロジェクトチームの立ち上げを指示した。 これを受けて、中国国防省は徴兵制度で軍に入った18歳から20歳までの兵士を対象に、兵役が終了する2年後も軍に残すため積極的に下士官に登用する方針に転換した。 軍では昨年から徴兵の受け入れを年1回から年2回に増やし、上半期は2月から、下半期は8月から開始するようになった。 解放軍は今後、これらの下士官の育成を軸にして、軍組織の近代化を進めると同時に、下士官を中心とした「戦闘力を高めるという緊急の必要性」に応えるための人材育成に力を注ぐことになった。 具体的には下士官のモチベーションを高めるため、兵役年数に基づく昇進制度を廃止し、能力や資格に基づく昇進に移行する予定だ。また、賃金や住居など、兵士の軍務と福利厚生の向上も実施される。 さらに、下士官は退役後の生活の心配をしなくても済むように、優先的に国営企業などへの再就職を斡旋されるという。
2022.05.28 07:00
NEWSポストセブン
侵攻間もない3月9日、首都キーウでは軍事演習が行なわれていた(写真=Reuters/AFLO)
ロシアによるウクライナ侵攻 「出口なき戦争」の現在地、その被害と損失戦力
 2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、3か月を経ても先が見えず泥沼化の様相を呈している。圧倒的な戦力差で襲いかかったロシアは、ウクライナの反抗に苦戦を強いられている。両国の損失戦力とウクライナの被害の全容とは──。 ロシアによるウクライナ侵攻は、東部を中心に激しい攻防が続いている。ハルキウ州の6つの集落など、ウクライナはこれまで1000以上の集落を奪還。ロシアに対し、大規模な反撃を展開している。「ロシアの戦力は4分の1以上が失われています。散らばった兵力を再編成していますが、弱体化していることは間違いありません」(軍事評論家・黒井文太郎氏) 軍備で大きく劣るウクライナだが、西側諸国からの兵器供与は拡大している。なかでも米国から5500基以上供与された対戦車ミサイル「ジャベリン」は、ロシアの戦車部隊撃退に大きな威力を発揮している。「しかし、ロシアを追い出せるほど戦力に差があるわけではありません。プーチンが負けを認めない限り停戦は見込めず、戦いは長期化するでしょう」(黒井氏) 大国ロシアによる侵略戦争は、先の見えない消耗戦となって世界を揺るがす。ロシアのウクライナの侵略3か月●3月上旬 ハルキウ州イジューム 集合住宅44人死亡/砲撃を受けた5階建て集合住宅のがれきの中から民間人44人の遺体が発見された。住民たちは砲撃から逃れるため地下に隠れていたという。●3月9日 マリウポリ 小児科・産婦人科の病院17人負傷/ロシア軍の空爆で少なくとも17人の職員が負傷。ドネツク州知事の発表によれば、子どもの負傷者はなく死者も出ていない。●3月16日 マリウポリ劇場「ドネツク・アカデミック・リージョナル・ドラマシアター」約600人死亡/多数の民間人が避難し、建物の前に大きくロシア語で「子どもたち」と描いていたが、建物が完全に破壊されるほどの攻撃を受けた。●4月8日 ドネツク州 クラマトルスクの鉄道駅52人死亡/女性や子どもなど約4000人の避難民でごった返していた鉄道駅に弾道ミサイルが撃ち込まれ、少なくとも52人が犠牲になったと見られる。●4月14日 黒海 ミサイル巡洋艦「モスクワ」沈没1人死亡、27人行方不明/黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル2発によって沈没。ロシア側は当初、弾薬の爆発による損傷と発表していた。●4月18日 リビウ軍事施設や自動車整備工場7人死亡、11人負傷/4発の着弾で7人が死亡。ロシア側によれば、軍事物資の補給輸送センターへの誘導ミサイルの攻撃で、欧米から支援された兵器を大量に破壊した。●5月7日 ルガンスク州 ビロホリフカ村 学校約60人死亡/約90人が避難していた学校が空爆され、約60人が死亡。ゼレンスキー大統領は「ナチスが欧州にもたらした悪の再現」と強く非難した。●5月11日 マリウポリ アゾフスタル製鉄所死傷者数不明/製鉄所に立てこもるウクライナ軍は、5月11日、「過去24時間の間に38回の空爆があった」と発表した6日後に撤退を開始。ロシア軍のマリウポリ制圧が現実味を帯びる。ロシアとウクライナの通常戦力と損失戦力●ロシア通常戦力 兵力/85万人、戦車/1万2420両、装甲車両/3万122両、自走砲/6574基、多連装ロケット砲/3391両、戦闘機/772機、攻撃機/739機、ヘリコプター/1543機、攻撃ヘリコプター/544機、航空母艦/1艦、駆逐艦/15艦、フリゲート艦/11艦、コルベット/86艦、潜水艦/70艦、巡視船/59隻(「GLOBAL FIREPOWER 2022」より)●ロシア損失戦力 戦車/671両、装甲戦闘車両/365両、歩兵戦闘車/721両、装甲兵員輸送車/108両、耐地雷・伏撃防護車両/26両、歩兵機動車/109両(写真【1】)、指揮通信車両 /74両、工兵・支援車両/141両(写真【2】)、自走式対戦車ミサイルシステム/14、重迫撃砲/13基、牽引砲/61基、自走砲/113基、多連装ロケット砲/66基、対空砲/6基、自走対空機関砲/15基、地対空ミサイルシステム/59、レーダー/10、電子妨害・攪乱システム/8、航空機/26機【3】、ヘリコプター/41機、無人航空機/61機、艦艇/9艦、軍用物資補給列車/2両、トラック・ジープ・各種車両/957両(「Oryx」より)●ウクライナ通常戦力 兵力/20万人、戦車/2596両、装甲車両/1万2303両、自走砲/1067基、多連装ロケット砲/490基、戦闘機/69機、攻撃機/29機、ヘリコプター/112機、攻撃ヘリコプター/34機、フリゲート艦/1艦、コルベット/1艦、巡視船/13隻(「GLOBAL FIREPOWER 2022」より)●ウクライナ損失戦力 戦車/163両、装甲戦闘車両/80両、歩兵戦闘車/117両、装甲兵員輸送車/67両、歩兵機動車/93両、指揮通信車両/2両、工兵・支援車両/13両、自走式対戦車ミサイルシステム/10、牽引砲/26基、自走砲/31基(写真【4】)、多連装ロケット砲/17基(写真【5】)、対空砲/3基、自走対空機関砲/2基、地対空ミサイルシステム/43、レーダー類/23、航空機/20機(写真【6】)、ヘリコプター/7機、無人航空機/22機、艦艇/17艦、トラック・ジープ・各種車両/290両(「Oryx」より)●NATO陣営がウクライナに提供した主な兵器自爆型ドローン「スイッチブレード」700機以上攻撃型ドローン「フェニックスゴースト」121機対戦車ミサイル「ジャベリン」 5500基以上装甲兵員輸送車「M113」200両155ミリりゅう弾砲 90門(弾薬 約20万5000発)地対空ミサイル「スティンガー」1400基以上対戦車ミサイル「NLAW」3615基取材・文/小野雅彦※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.25 16:00
週刊ポスト
中国国防省が弾道ミサイルの迎撃実験成功をHPで発表
中国の李克強首相が地方をノーマスク視察 ゼロコロナ政策との矛盾に注目
 中国の李克強首相が5月中旬、中国内陸部雲南省の政府機関や大学、民間企業や少数民族の家庭などを視察した。習近平国家主席ら他の中国共産党の最高幹部とは違い、視察中ずっとマスクをつけないで市民らと対話しており、李氏を取り巻く聴衆もノーマスクだったことが関心を集めている。 李氏は習氏とは政治的なライバルであり、水面下で激しい権力闘争をしているとの見方があるなか、李氏が衆人環視の中でマスクをつけなかったのは、新型コロナウイルスの感染防止のため、習氏が主張する「ゼロコロナ」政策への当てつけではないかとの指摘も出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 李氏が訪問したのは雲南省の省都、昆明市とその周辺の少数民族居住地で、昆明市では最初に民営の運送会社の社長の自宅を訪問。李氏は最近の運送業の状況について尋ねると、社長は「新型コロナウイルスの感染防止対策で、他の省に出ることが難しく、雲南の新鮮な野菜や果物を全国に届けることができない。収入が少なくなっている」と答えた。 李氏は「私は必ずあなた方が困難を乗り越えるのを助ける。特に運送業界の問題を解決して、この野菜と果物を全国の家庭に届けることを決意した」と社長を激励したという。 李氏は雲南省東部の観光地である曲靖市の少数民族の村でも、市民に生活状態を質問。彼らは「コロナ対策で観光客が来ないので生活が苦しい」などと口々に訴えた。李氏は「観光客が来ないため、借金が返せないのは大変だ。私はこのような苦しい時期を乗り切ることができるように、しっかりと努力する」と答えている。 また、李氏は雲南大学を視察し、学生らと懇談し、リラックスした調子で「雲南大学はやはり注目に値する。将来、雲南大学は君たちを誇りに思うようになるだろう」と述べると、学生たちは「総理、ありがとうございます」などと語り、大きな拍手が巻き起こった。 この1泊2日の視察の間、李氏一行はマスクをはずしており、また雲南大学などの視察先の人々もマスクをつけていなかった。一方、習近平国家主席は5月5日の党政治局常務委員会で、「常に冷静な思考を保ち、動的ゼロコロナという全体方針を常に揺るがず堅持する必要がある。堅持こそが勝利だ」と述べている。習氏のゼロコロナ政策と矛盾する李氏一行の視察時の行動には、いったいどんな意図があったのだろうか。
2022.05.25 07:00
NEWSポストセブン
プーチン大統領の体調に様々な指摘が(Getty Images=共同)
「プーチン氏の後継者」に浮上、36歳大富豪の子息・コヴァリョフ氏の素顔
 ロシアの平均寿命は欧米先進国の平均より10歳以上低く、2020年のデータで男性は67.3歳(世界銀行、国連調べ)。プーチン大統領は現在69歳であり、すでにロシアの平均寿命を超えている。 実際、プーチン氏には深刻な健康不安説も囁かれており、いつ来るか分からないXデーに備えて、その後継者が誰になるか、世界中が注視している。 これまで名前が挙がっていたのはセルゲイ・ショイグ国防相だったが、ここにきてダークホースと呼べる人物が急浮上している。きっかけは、ウクライナ出身のレーシングドライバー、イゴール・スシュコ氏が、5月10日にある動画をツイッターで公開したことだ。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう話す。「背の高い30代くらいの男性とプーチンが、赤の広場を歩きながら熱心に話し込んでいる姿を録画したもので、プーチン氏が男性を手招きし、40秒ほど話しながら歩いたあと、ショイグ国防相が2人の間に割って入ったところで終わる。スシュコ氏は『プーチンの手駒ではないかと噂されている』とツイートしています」 ツイッターで公開されると、その男性はまたたくまに特定され、大統領府の局長クラスとされるドミトリー・コヴァリョフ氏であることが判明した。国際関係アナリストの北野幸伯氏が説明する。「オムスク州出身の36歳で、ロシアのメディアは『大統領府の局長』と報じていましたが、ロシア連邦保安庁(FSB:前身はKGB)に勤務していて、プーチン氏から直接秘密指令を受ける『大統領の副官だ』とする報道もあります。ロシアの石油最大手ロスネフチのアイスホッケーチームでプレーしていて、プーチン氏とは共通の趣味を通じて緊密になったといわれています。コヴァリョフ氏の父親は、国営ガス会社ガスプロムの子会社の代表取締役だともいわれています」 大富豪の子息で、背が高くイケメン―確かに見栄えはいいが、36歳という年齢は若すぎる感がある。なぜ急にこのコヴァリョフ氏が後継者として浮上してきたのか。「ウクライナ侵攻前まで、最有力候補はショイグ国防相でしたが、侵攻が長引き苦戦を強いられているため、その線は消えたといわれている。 プーチン氏は、後継者にするなら、政権基盤が弱く操りやすい人物を選ぶでしょう。要するに院政を敷きたいわけです。彼は2008年に大統領の座をメドベージェフ氏に譲りましたが、それも操りやすい人物だったからです。もう一人の候補とされるパトルシェフ安全保障会議書記は影の実力者ですが、力が強すぎる。そういう意味で、若くて基盤のないコヴァリョフ氏は、後継者候補として有力だと考えられます」(北野氏) 院政を敷くために、若くて政治力のないコヴァリョフ氏を後継者に選ぶ可能性があるというのだ。プーチンイズムにどっぷり コヴァリョフ氏が後任の大統領に就いた場合、ロシアはどうなっていくのか。戦争は終結に向かうのか。それは、プーチン氏が健在かどうかによるという。「プーチン氏が健在なままコヴァリョフ氏が後継者になる場合、プーチン氏の院政になるので、ロシアは現状維持のままですし戦争は終わらないでしょう。しかし、プーチン氏が亡くなった場合は、コヴァリョフ氏はある程度の自由を手に入れるので、戦争終結に向かう可能性が出てきます」(北野氏) 一方、コヴァリョフ氏が後継者になれば、むしろ今よりさらに過激化するという見方もある。ロシア情勢に詳しい筑波大学名誉教授の中村逸郎氏はこう分析する。「プーチン政権は22年目になります。36歳のコヴァリョフ氏は、落ち目だったロシアが、プーチン政権になって強いロシアに変貌し、その変化を多感な時期にまざまざと見てきた世代なんです。2014年のクリミア侵攻は、20代後半の血気盛んな頃で、彼らにとって成功体験にもなっている」 プーチン氏は側近たちとアイスホッケーのチームを組んでおり、コヴァリョフ氏もそのメンバー。そこにも大きな意味があるという。「メドベージェフ首相の後任に抜擢されたミハイル・ミシュスチン氏もチームメイトで、後継候補はここから出てくることが多い。そのグループに属するメンバーたちはプーチンイズムにどっぷり浸かり、プーチン政策の忠実な推進者であることは間違いない。 プーチン氏亡き後は、もっと強硬に事を推し進めれば、さらに強いロシアが実現すると思うようになるかもしれません。彼が大統領になれば、今以上に過激になる可能性もあり得ると思います」(同前) プーチン時代のほうが良かったと嘆く時代がやってこないことを祈るばかりだ。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.24 11:00
週刊ポスト
薬局を視察する金正恩(写真/EPA=時事)
北朝鮮・金正恩がコロナ感染拡大を公表 「防疫部門は無能」発言に党幹部震え上がる
 北朝鮮で新型コロナが急拡大している。5月18日には新たに26万人の発熱者が確認され、4月末からの累計発熱者は197万8200人、死者は63人となった。「PCR検査が整備されていない北朝鮮では、正確な感染者数を把握しきれず、『発熱者』という言葉を使っています」(在韓ジャーナリスト) これまで金正恩政権は「コロナ清浄国」を謳い、感染者ゼロをアピールしてきた。ここにきて感染拡大を公表したのはなぜか。朝鮮半島情勢に精通する大韓金融新聞東京支局長の金賢氏が語る。「過去にも感染が疑われる事例はありましたが、当該者を徹底的に隔離して“隠蔽”してきたのが実態です。ただ、今回は数が多すぎるのと、感染者の動線が指導部と近すぎたのが問題でした。 金正恩は5月1日に人民軍の閲兵式に参加し、平壌市内の大学生らと写真撮影に臨んでおり、その学生のなかからも複数の発熱者が出た。このまま隠蔽を続けるのは限界だと判断したのでしょう。また公表して国際社会から支援を受けることで、ゼロコロナからウィズコロナに転換する目的もあったのではないか」 北朝鮮は国民のワクチン接種率がゼロと言われており、中央日報(5月16日)は今後死者が10万人を超えるという専門家の見立てを紹介している。「現在、北朝鮮は田植えの時期です。機械化が遅れ、人の手に頼る北朝鮮の農業で感染拡大による人手不足は生産量の減少に直結する。対策を誤れば食料危機が加速する可能性がある」(金氏) 未曾有のパンデミックに収束の見通しは立っていない。5月15日には医薬品が国民に届いていない現状について、金正恩は自身の常備薬を提供すると同時に、「保健当局を叱責した」と朝鮮中央通信が報じた。また「防疫部門は無能」と幹部を糾弾したとの報道もある。 こうした金正恩の言動に党幹部が震え上がっているというのは、別の在韓ジャーナリストだ。「2020年8月、咸鏡北道の穏城郡で中国への脱北者が秘密裏に再入国した事件で、防疫ルールを破ったとして国境警備隊や保衛指導員らが処刑されました。当時はコロナ対策で中朝国境を封鎖しており、感染拡大を招く重罪とされたのです。彼らは数百発の銃弾を浴び、人体の原形を留めないほどだったと言われています。 しかもこの処刑は当該地域を管轄する幹部らに公開され、あまりの光景に気絶する人が続出したとも。今回の感染拡大でも、不手際が発覚すれば責任者が処刑される可能性は否定できません」 金正恩政権では、コロナより粛清の方が恐ろしいようだ。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.24 07:00
週刊ポスト
プーチン大統領の体調に様々な指摘が(Getty Images=共同)
プーチン大統領の「健康不安説」 足を引きずって歩いている様子も確認
 ロシアによるウクライナ侵攻が混沌とするなか、プーチン大統領の「健康不安説」が取り沙汰されている。 報じたのはテレビ朝日。ウクライナ国防省のブダノフ情報局長にインタビューし、「プーチン大統領は精神的、肉体的に非常に悪い状態にあることが確認できます。彼は重い病気です。同時に様々な病気を患っていて、そのひとつが、がんです」と語る映像をANNニュース(5月15日)で流した。 ウクライナ当局からの情報なので、鵜呑みにはできないが、同様の分析は海外のメディアからも出ている。 米誌「ニューラインズ・マガジン」(オンライン版5月12日付)は、欧米のベンチャーキャピタルが3月中旬にクレムリンに近いオリガルヒ(ロシアの新興財閥)に接触し、「プーチンは血液のがんで重病だ」と話している会話の録音ファイルを入手したと報じた。そのオリガルヒの名は明かせないとした上で、情報当局に照会し、プーチン氏に近い「20~30人の親しい輪」の一人と確認したという。「『血液のがん』説に信憑性を与えているのは、プーチン氏の顔の変化です。以前と比べて、明らかに顔がむくんでいますが、抗がん剤と併用するステロイドには顔のむくみが副作用として起きることが知られているからです」(外務省関係者) これまでもプーチン氏の健康状態を巡っては、様々な憶測が飛び交ってきた。 プーチン氏は6年ほど前からパーキンソン病を患っている可能性が指摘され、今年4月21日のセルゲイ・ショイグ国防相との会談で、右手でテーブルの端を強く握り続けていたのも、手の震えを抑えるためではないかと疑われてきた。3月18日にモスクワで開かれた戦争支持派の大規模な集会でも、プーチン氏が足をひきずって歩いている様子が確認されている。 パーキンソン病は、脳の神経細胞が死滅して、体をコントロールできなくなる病気だ。手足の震えや筋肉のこわばり、歩行障害など運動障害が現われ、認知症の原因にもなるといわれる。国際ジャーナリストの山田敏弘氏はこう言う。「すべて憶測の域を出ませんが、過去4年に腫瘍専門家と35回会ったとか、昨年秋に甲状腺の手術を受けたため9月はずっと表に出てこなかったとか、イギリスに亡命した元KGBのスパイが、『プーチンはパーキンソン病に加え、認知症も発症している』と証言したとか、様々な説が飛び交っています」 プーチン氏のカルテを見られる人物は限られているので、確認する術はないという。 ただ、もし本当に何らかの病気が進行しているとしたら、時間の経過とともに事実が明らかになるはずである。国際関係アナリストの北野幸伯氏はこう言う。「プーチン氏が患っているのは、パーキンソン病の他、血液のがん、認知症、パラノイア(偏執病)といわれていますが、私はすべて事実だと思います。海外のメディアでは、プーチン氏はがんの手術を受けるため、しばらくパトルシェフ安全保障会議書記が事実上の大統領代行を務めると報じられています。もし本当にそうなれば、病気が事実だったことになります」 しばらく状況を見守る必要がある。※週刊ポスト2022年6月3日号
2022.05.23 16:00
週刊ポスト

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