国際情報

「日韓併合に賛成派の韓国人も少なからずいた」井沢元彦氏が解説

 8月16日、菅直人総理が日韓併合百年に関して、総理談話を出したが、その中にこういう文言がある。「当時の韓国の人々は、その意に反して行なわれた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました」この文言の中には、真実もあれば誤りもあると、作家の井沢元彦氏は指摘する。以下、井沢氏の解説である。

 誤りの第一は「その意に反して」という部分だ。もちろん、日韓併合反対派が多数いたことは間違いない。しかし、賛成派も少なからずいたのだ。

 韓国人の中には、こう言うとすぐに頭に血を昇らせる人がいるが、ここは冷静に考えてもらいたい。今の韓国で一般に信じられているように「国民ことごとくが反対」していたならば、そもそも併合条約調印など出来るはずがないし、仮に「少数の裏切り者がいたからだ」とするなら、そのあと三十五年もその体制が続いたことが説明できないではないか。韓国人(当時は日本人)の中には大日本帝国陸軍の将校となり、中将や大佐になった人もいた。国民の大多数が反対ならば、こういう人々はことごとく反乱を起こしていてもよさそうなものだが、そんな話は聞かない。

 これも韓国人は認めたがらないが、近代以前の韓国いや朝鮮半島の国家は実質的に中国の植民地であった。植民地という言い方が正確でないと言うならば、中国人に頭が上がらない国家といってもいいが、近代になって日本が中国に勝った(日清戦争)によって、韓国人の中には日本と一緒になれば中国人と対等以上になれると考えた人もいた。そういう人は当然、併合賛成派に回る。

 それが歴史の真実である。

 もっとも、念のために言うが、私は「だから日韓併合は正しかったのだ」と正当化するつもりはない。なぜなら菅談話にもある通り、これが韓民族の「国と文化を奪」うものであったことは、間違いないからだ。

※週刊ポスト2010年9月10日号

関連記事

トピックス

公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン