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津波到来時の注意点 東京では地下、大阪では淀川の津波逆流

全国の至る所で地震が頻発している。東日本大震災以降、日本人の地震に対する恐怖心は高まる一方だ。3.11で思い知らされたのは、地震そのものよりも津波の破壊力だった。

想定以上に波が高くなるリアス式海岸が多い三重県南部や和歌山県の沿岸部、また地盤沈下の危険のある高知県などに対し、日本の心臓部である東京や大阪は外洋から半島によって守られているため、10mを超えるほどの高い津波の心配はないとされている。

しかし、海抜が低いことから大きな被害が発生すると名古屋大学大学院工学研究科准教授の川崎浩司氏は警鐘を鳴らす。

「たしかに、東京湾の入り口は狭くなっていますので、たとえ津波がきたとしても海水が湾にはいる段階で波の高さや速度は小さくなります。東海地震であれば、満潮時であっても2.5mくらいの高さにとどまるでしょう。

とはいえ、東京や千葉は海抜が低い上に、船橋の三番瀬のような防波堤のない干潟も存在する。江戸川区、江東区、墨田区では1m未満の浸水、千葉や神奈川の埋め立て地では3mもの浸水被害が考えられるでしょう」

東京は海抜0mの地域もある上、地下鉄や地下街も多く存在するため、予想外の被害も考えられる。まして、東日本大震災の際に直面したように、交通網は災害に弱く、緊急の避難はより難しいものになるだろう。

一方、心配なのは、東京以上に海抜が低い大阪だ。震源からは大きく離れていたとしても、その被害は首都圏を大きく上回ると川崎氏は続ける。

「大阪は、津波が逆流しやすい大型河川の淀川が存在します。東南海地震が起きたときの津波の高さは、東京よりも高く4mほど。もしそのくらいの高さの津波が来ることになれば、淀川沿いは海から5kmくらいまで、高さ4mほどの浸水被害が考えられるでしょう」

これまで、東京湾や大阪湾においては、大きな津波が想定されてこなかったため、ハザードマップが存在しなかった。しかし3.11以降の新たな調査では問題点が続々と発覚していることから、新たな指針を求める声が高まっている。

※女性セブン2012年1月19・26日号

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