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液状化被害 沿岸部以外では内陸の大河川周辺でも注意が必要

 東日本大震災の液状化被害は、東京湾沿岸部だけで東京ドーム900個分に匹敵する4200ヘクタールに達し、住宅被害は関東地方だけでおよそ1万7000棟。まさに世界最大規模の被害だった。関東学院大学工学部の若松加寿江教授がいう。

「今回の大震災では、液状化は関東から東北にかけての東日本で起こっています。しかし、過去の地震を見ると、それ以外の地域でも起こっていたことがわかります。1995年の阪神・淡路大震災では神戸を中心に広範囲で液状化が発生しました。木曽三川が流れる濃尾平野でも、1944年の東南海地震の際に液状化が起きています」(若松教授)

 液状化というと浦安のような埋め立て地をイメージする人が多いが、実際には内陸でも頻発しているという。

「例えば、大河川の周辺。かつて頻繁に氾濫が起こっていた土地はたとえ内陸であっても液状化が起こっています。氾濫が起きるたびに、周辺には土砂が堆積するので、地盤が非常に緩くなっているんです。また、河川周辺は地下水脈があり、水位が浅い。液状化が起こりやすい条件が揃っています」(若松教授)

 自分の住む土地に液状化の危険性がある場合、事前に家庭でできる予防策はあるのだろうか。

 家屋を建てる前ならば、ふたつの方法がある。ひとつは地盤改良工事。地盤に砂の杭を打ち込み、それを圧縮して締め固める「サンドコンパクション法」や、地下水をくみ出して地盤を安定化させる「地下水位低下工法」などが代表的だ。しかし、工事を行う際は、地区ごとに地盤を改良することになり、その費用も億単位かかるため、個人のレベルでできる対策ではない。

 もうひとつは、家屋の基礎部分を補強する方法。基礎の底面を砕石などで固めたり、基礎の下に杭を深く打ち込んでおくことで、液状化被害にあっても傾きにくい家屋にすることができる。

 また、すでに家屋が建っている場合でも、さまざまな方法が検討されている。そのひとつ、実験段階ではあるが、手軽な液状化予防策として注目を集めているのが、「地中に壁を作る工法」だ。発案者は早稲田大学理工学部の濱田政則教授。

「私が提案しているのは、家のまわりの地中を鉄の壁で囲い、家の下の土の流出を防ぐ方法です。この工法では、厚さ5mm程度で波形になっている鉄の板を立てて、家の基礎になっている部分を囲うように地中に埋めます。深さは4~5m程度。費用は500万円以下ですみます。昨年10月から浦安の戸建て住宅をモデルに実験を行っていますが、効果は期待できます」(濱田教授)

※女性セブン2012年3月1日号

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