国内

93歳旧陸軍歩兵中隊上等兵 戦時中の慰安婦達の実態を語る

 太平洋戦争の終戦から68年。戦争を直接知る者は年々減り、当時の実態を証言できる者は限られてきた。元日本軍兵士たちの肉声は貴重な証言だ。その一人、和田明氏(仮名)は93歳。旧陸軍歩兵中隊の上等兵として昭和16~18年、中国戦線に参加し、その後は南洋の守備に当たって南大東島で終戦を迎えた。同部隊は南京占領作戦にも参加した。

 以下のインタビューは2007年にSAPIO誌で行なったものである。現在、和田氏は健在であるものの体調が優れず、今回は当時のインタビューのなかから、現代に生きる日本人が知っておくべき「慰安婦」に関する証言を再構成して掲載する。

 * * *
 慰安婦というのは、どこの国の軍隊にもあったもので、日本軍でも軍と慰安所は表裏一体でした。ですが、今、批判を受けているような、無理やり女性たちを連れて来て奴隷のように扱ったということは全くありません。

 慰安婦たちは、私が知る限りでは朝鮮の人が多く、内地の日本人もいました。南方戦線では内地の人が多かったと聞いています。あと、南方では慰安所がなくて、松竹だとか宝塚から歌劇団が慰問に行ったりもしていました。私も見たことがありましたが、なにしろ女性なんてずって見ていない兵士たちですから、ものすごく興奮したものです。

 慰安婦たちは、経済的に苦しいとか、職がなくてその仕事を選んだ人たちです。というより、日本軍が高い給料を提示して集めたという方が当たっているかもしれません。なぜなら、慰安婦たちは結構優雅な生活をしていて、仕事以外でもうっすらと化粧をして買い物に出たり、おしゃべりしたりしていました。

 私たちの部隊は厳しい戦線にいましたから、いつも慰安所で遊べるような境遇ではありませんでした。ですから、慰安所に行ける時には皆こぞって行ったものです。

 慰安所には女性たちの写真が並んでいて、写真の裏には、「一重丸」「二重丸」「三重丸」が書いてありました。それは慰安婦たちの値段なのです。“これは美人だ”と思ってめくると必ず三重丸が書いてある。それだけ人気なんですね。ですが、私などはそうした機会はめったにありませんでしたから、気に入った三重丸の慰安婦を指名したものです。うろ覚えですが、1円か2円くらいのカネを払ったように記憶しています。

 慰安婦といえば、私はむしろアメリカ兵のことを思い出します。私は南大東島で終戦を迎えましたが、上官は、なかなか部下に敗戦したと言わない。もし事実が伝われば、それまで私的制裁をしてきた仕返しをされるかもしれませんし、何が起きるかわからないからでしょう。

 敗戦直後、軍の中で、どうも何か変だという話が広がってくると、上官が突然「停戦合意ができた」と言う。はあ、戦争は終わったのかと思っていると、米軍が飛行機で降りてきて、身体検査をされて武装解除される。そのあたりでようやく、どうやらこの戦争は負けたらしいと気付いたわけです。

 で、アメリカ軍がやって来て最初に言った言葉が「慰安所はどこにある」でしたから。ははあ、アメリカさんはずいぶん助平なもんだと思ったものです。そして、慰安所の女性をみんな連れて沖縄に飛んで行ってしまいましたよ。

●レポート/ベンジャミン・フルフォード(ジャーナリスト)

※SAPIO2013年9月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉県の工場でアルバイトをしていた
【ホテルで11歳年下の彼を刺殺】「事件1か月前に『同棲しようと思っているの』と嬉しそうに…」浅香真美容疑者(32)がはしゃいでいた「ネパール人青年との交際」を同僚女性が証言
NEWSポストセブン
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン