芸能

尾野真千子は「夫婦善哉」で淡島千景の透明感を超えられるか

 尾野真千子がいま、最も旬な女優の一人であることは論をまたない。彼女が挑む新ドラマは名作のリバイバル。作家で五感生活研究所の山下柚実氏も興味津々だという。

 * * *
 個性的なドラマが話題を集める夏。8月24日(土)にまた一つ、注目のドラマが始まります。『夫婦善哉』(NHK午後9時 連続4回)。 今年は織田作之助生誕100年にあたる年。『夫婦善哉』の連続ドラマ化は初の試みとか。

 映画『夫婦善哉』は、あまりにも有名です。昭和30年、豊田四郎監督によって森繁久彌と淡島千景主演で制作されました。その世界を今回敢えてドラマ化するわけですから、前作品と比べられるのは覚悟の上のことでしょう。

 通称「オダサク」、小説家・織田作之助が描き出した大阪道頓堀・法善寺横丁界わい。路地の匂いまで漂ってくるような世界。大正から昭和の時代、大阪のど真ん中で生きた男と女の話です。

 主人公は船場の化粧問屋の勘当息子・柳吉と、そのダメ男に惚れ込んだ芸者の蝶子。二人の生き様、波乱万丈のストーリー。今回は、森繁久彌が演じた柳吉役を森山未來が、淡島千景演じた蝶子役を尾野真千子が演じるとあって、はてさて見物です。

 柳吉は、だらしのない、甲斐性の無い男。でも、森繁久彌の柳吉は、甘えん坊でどこか少年じみて可愛く、憎めない男でした。一方、淡島千景が演じた芸者・蝶子は、男扱いにも長けているはずなのに、ピュアで透明感があって、それが哀しくてきれいだった。ただの強気な女ではなく、ふと見せる「か細さ」が実に愛らしかった。

 つまり、「どうしようもない男」の柳吉も、「バカ男に惚れた芸者」の蝶子も、ただの「ボンボン」「芸者」ではなかったのです。

 人間がそれぞれ持っている「意外性」や「複雑さ」を、名優の二人が実にうまく表現していました。だからこそ映画『夫婦善哉』は、味わい深く哀しく立ち上がってきたのでしょう。

 では、今回はそのあたり、どんな仕上がりになっているでしょうか? といった視点でドラマ『夫婦善哉』を見てみたら、新たな発見があるかもしれません。あるいは注文が出てくるでしょうか。

 もちろん、森繁と淡島の『夫婦善哉』が絶対ではありません。いかに森山&尾野が、別の解釈や別の世界を見せてくれるのか。この二人にしかできない夫婦像をどれくらい形にして、味わい深く楽しませてくれるのか。ただのドタバタ喜劇にならないことを期待しつつ、興味津々です。

 映画は高い人気を博し、続編『新・夫婦善哉』も作られました。このドラマも続編が待たれるような結果になるのかどうか、注目しましょう。

関連記事

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン