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中国国内で急増中の赤ちゃんポスト「安全島」の内部を潜入撮

2年前に建てられた中国初の「安全島」(石家庄)

 ドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)の放送が議論を呼んでいる。「赤ちゃんポスト」に入れられて育った主人公が「ポスト」というあだ名で呼ばれる設定などが問題視されているのだが、海を渡った中国ではさらに深刻な事態となっていた。

 北京の南西260kmに位置する河北省の省都・石家庄市。その郊外に建つ児童養護施設(福利院)に、中国初の赤ちゃんポスト「安全島」ができたのは2年半前。中国メディアによるとこれまでに180人以上もの赤ちゃんが保護されたという。

 実際に現場に行ってみると、建物は一見レンガ造りのようだが、よく見るとレンガ風の薄いタイルを貼っているだけ。中にはベビーベッドのほか保育器とエアコンが設置されているが、河北省の気温はこの時期氷点下まで下がる。はたして大丈夫なのか。スタッフの女性が話す。

「昼間は誰も来ませんが、深夜0時を過ぎてスタッフの目がなくなってから、赤ちゃんはそっと置かれていきます」

 ゴミ箱に入って暖をとっていた子供5人が凍死する事件や、子供を誘拐した容疑者2749人の一斉逮捕などが大きく報じられた中国。こうした中、社会福祉を所管する民生部は昨年7月、「安全島」を全国各省に1~2か所ずつ設置するよう通知した。以来この半年間でポストが急増。南京市、西安市、天津市、ハルビン市など約10か所に「安全島」が新設され、遺棄する親たちが殺到しているのだ。

 日本で「赤ちゃんポスト」を設置する熊本・慈恵病院に2007年の設置から6年間で預けられた子供は計92人。その主な要因は予期せぬ出産や生活の困窮などで、障害児だという理由で預けられる子はほとんどいないという。

 大人だけではなく、子供に対する人権もが希薄な中国。「あだ名」どころじゃない現実がそこにある。

撮影・取材■西谷格

※週刊ポスト2014年2月21日号

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