スポーツ

元パリーグ広報部長パンチョ伊東 セへの対抗心で宝塚好きに

 今でこそプロ野球のセ・リーグとパ・リーグの人気差は縮まったが、かつては「人気のセ、実力のパ」と囁かれるほど、その人気には差があった。当時のパ・リーグで広報部長を務めていたのが“パンチョ伊東”こと伊東一雄氏だ。スポーツライターの永谷脩氏が、まだパ・リーグが不人気に悩んでいた当時のパンチョ伊東のエピソードを綴る。

 * * *
 イチロー(当時オリックス)に誘われて、一路真輝が主演した『エリザベート』を、東京宝塚劇場に観に行った時のこと。終演後、場内が明るくなった時、誰かに背中をポンと叩かれた。振り向くと、パ・リーグの広報部長だった伊東一雄が、フジテレビの西山喜久恵アナと一緒に来ていた。

 伊東は“パンチョ”の異名を持ち、メジャー通としても知られている。英語は戦後の極東放送を聞きながら独学で覚え、メジャー球団とのパイプも、個人で努力して作り上げていた。

 専属の媒体を持たない私が、初めてメジャーの取材に行くことになった時、伊東に相談したことがある。その時はドジャース・ロイヤルズ・ジャイアンツ・タイガースの4球団に紹介状を書いてくれたうえ、「ドジャースのオマリー夫人には香水を持って行け。旦那にはお土産はいいから」などと細かく指示をしてくれた。

 紹介状を渡すと、相手の外国人は必ず、「パンチョは元気か。彼はナイスガイで世話になったから」と、私のような若造にもよくしてくれたのを覚えている。その中の1人は後にブリュワーズに移り、メジャーに挑戦した江夏豊を、裏で支えてくれたりもした。メジャーでの信頼も非常に厚い男だった。

 さて、伊東の宝塚好きには理由があった。同時期にセ・リーグ広報部長を務めていた八木一郎が、松竹歌劇団(SKD)が好きだったからだ。伊東は「彼がSKDだから、パは宝塚だ」と冗談交じりに語っていたが、当時のパはセに追いつけ追い越せという時代、ここまでライバル視するかと思ったものだった。

※週刊ポスト2014年2月28日号

関連記事

トピックス

ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン