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楽天・松井裕樹 田中将大の米移籍で観客減の危機を救えるか

 田中将大のメジャー移籍で、大きな柱を失った東北楽天ゴールデンイーグルス。エースの流出は、チームの戦力ダウンだけでなく、観客動員にも大きく影響する。

 1995年の野茂英雄(近鉄→ドジャース)を皮切りに、日本人エースが次から次へと海を渡っているが、ここでは移籍前の過去5年で、3度以上2ケタ勝利もしくは25セーブを記録した投手をエースと定義しよう。そのうえで過去のデータを検証すると、これまで、エースを流出させたのべ17チーム中12チームが、翌年の観客動員を減少させているのだ。

 1994年に観客動員113万3000人を集めた近鉄だったが、野茂が流出した翌年は100万人割れ。大魔神・佐々木主浩がFA(フリーエージェント)移籍した横浜は、前年と順位は変わらないのに、10万人減。松坂大輔をポスティング制度でメジャーに送り出した西武は、その資金で球場改修やファンサービスに力を入れるようになったが、客足は鈍り、10万人減。同じくダルビッシュ有をポスティングした日本ハムは、翌2012年に優勝したにもかかわらず、観客動員は10万人も落としている。

 もちろん、なかには観客動員を増やしているチームもあるが、微増のケースが多い。唯一の例外として、黒田を失った2008年の広島は対前年で約26万人増加したが、これは新スタジアムになった影響が大きいだろう。では、今年の楽天はどうなるのか。スポーツライターはこう予想する。

「岩隈久志が去った2012年の楽天の観客動員は1万人増。わずかとはいえ、アップさせています。同年も順位は5位から4位に上がっただけで、成績が大幅に上昇したわけではなく、これまでの各球団の例を見れば、下がってもおかしくないのに、逆にアップした。仙台の野球ファンには、県民性ゆえの我慢強さがあるのかもしれませんね。

 昨年の楽天は約128万人を集め、前年から約9万人もの観客が増えた。もちろん田中の活躍もあって優勝したことが一番の理由ですが、注目したいのは、高卒ルーキーで7勝を挙げた釜田佳直の存在です。この年、Kスタ宮城で行なわれた公式戦での最高の観客数は、釜田の先発した7月27日(金)の2万892人。これは、田中将大の投げた開幕戦である3月30日(金)の2万796 人よりも上でした。

 要するに、ファンは新しいスターの誕生を待ちわびている。今年の楽天には、高校時代に夏の甲子園で10連続奪三振を含む1試合22奪三振を達成した怪物ルーキーの松井裕樹がいる。彼が1年を通してローテーションに入り、2ケタ勝利を挙げるくらい活躍すれば、大幅な観客減には至らないと思いますよ」

 大エースの抜けた楽天に新たなスターが誕生すれば、観客動員が落ちることはないだろう。新たなスターとなるのは、松井か、それとも……?

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