ビジネス

韓国サムスンがカリスマ会長の手術で激震 3代目の手腕は?

 韓国“サムスン帝国”の屋台骨が揺らいでいる。

 4月29日に発表した主力企業、サムスン電子の2014年1~3月期決算は、売り上げの7割を稼ぎ出していたスマートフォン事業が失速。営業利益は2四半期連続のマイナスとなる8兆4900億ウォン(約8490億円)にとどまった。

 そんな苦境に追い打ちをかけているのが後継者問題だ、創業家の2代目でこれまで27年にもわたって巨大な財閥の実権を握ってきた李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長(72)が、5月10日に急性心筋梗塞で手術。容体は安定しているようだが、カリスマ不在が今後の経営にどんな影響を及ぼすのか、懸念する向きも少なくない。

 産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏がいう。

「李会長は1999年に肺がん手術を受けた経験もあり、健康不安は常につきまとっていました。最近は腕を支えられながらでないと歩けないほどでしたからね。だからこそ、早くから長男の在鎔(ジェヨン)氏(46)に帝王学を学ばせ、2012年12月に副会長に昇進させました。

 つまり、後継者は息子で決まりなのですが、在鎔氏の経営手腕は未知数といえます。父親は日本メーカーも躊躇していた半導体事業に巨額な集中投資をしたり、成長分野の医療やバイオ、生命工学分野のM&Aに積極的だったりと、決断力と将来を見通す目がありましたが、そんな図体の大きなグループ全体を在鎔氏ひとりで見られるのかは疑問です」

 経営の陣頭指揮をとるのが時期尚早というのであれば、日本のファミリー企業のように、“若殿”に優秀な参謀役をつければいい。しかし、韓国の財閥企業はそれを極端に嫌う。

「2007年にサムスングループの元顧問弁護士が、同社の政界や官界に対する不正なロビー工作を暴露したように、いくら高給で重要ポストを与えてもいつ企業秘密をバラされるか分からない。身内や家族以外には極度の不信感を持っていたので、他人を経営の中枢には絶対に入れないのです」(前出・黒田氏)

 まさに北朝鮮並みの権力支配が韓国財閥にも罷り通っている。李健熙会長が徹底した実績主義を敷いてきたのもそのためだ。不振事業の幹部を大量に更迭するなど「信賞必罰」の人事制度は、創業家の影響力を衰えさせないための“恐怖政治”といえるだろう。

 では、後継者の在鎔氏も父親の経営スタイルを踏襲するのだろうか。東アジア総合研究所理事長で、拓殖大学客員教授(専攻は韓国経済論)の姜英之氏が話す。

「健熙氏は50代でサムスン王国を束ねる総帥に指名されて以降、危機意識の足りないグループ企業の組織を革命的に刷新しました。<量>の経営から<質>の経営に転換し、人事面でも自分の経営方針に反発する社員はたとえ秘書室長でもクビを切るくらいの独裁的なリーダーシップを発揮しました。

 一方の在鎔氏はエリートタイプではありますが、性格的には優しくて厳しさが足りない。いくら親のDNAを引き継いでいたとしても健熙氏を乗り越えるほどの気迫やカリスマ性は感じません。サムスン王国を引き続き発展させるためには、思い切った改革をやり遂げることが求められます」

 また、韓国在住のジャーナリストはこんな指摘もする。

「在鎔氏は女性スキャンダルで離婚問題を報じられるなど、脇の甘さも目立つ。思わぬところで足をすくわれれば、創業者の遺産相続で揉めた健熙氏の兄弟や、グループ内にいる在鎔氏の姉など家族との権力争いに発展しかねない」

トピックス

お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」とは
《「ととのった〜!」誕生秘話》『サ道』作者・タナカカツキ氏が語る「日本のサウナ60年」と「ブームの変遷」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
連敗中でも大谷翔平は4試合連続本塁打を放つなど打撃好調だが…(時事通信フォト)
大谷翔平が4試合連続HRもロバーツ監督が辛辣コメントの理由 ドジャース「地区2位転落」で補強敢行のパドレスと厳しい争いのなか「ここで手綱を締めたい狙い」との指摘
NEWSポストセブン
伊豆急下田駅に到着された両陛下と愛子さま(時事通信フォト)
《しゃがめってマジで!》“撮り鉄”たちが天皇皇后両陛下のお召し列車に殺到…駅構内は厳戒態勢に JR東日本「トラブルや混乱が発生したとの情報はありません」
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン