このドラマは、直接そういったことを視聴者にお説教するわけでもなく、身近にある社会問題としての気づきを促す。社会派の「啓蒙ドラマ」として成功している。ただし、肝心なところがちょっとアレなのだ。
基本的にいいドラマだから躊躇するのだけれども、やはりはっきり書こう。深田恭子が主演というのは、あまりいただけない。彼女が絵になりすぎてしまっている。それも可憐なアイドルとして。
なんでもリアルであるべきだとは思わないが、支援対象者が重大なセリフを口にしたときに必ず見せる、ぽわーんとした天然リアクション。それこそが深キョンワールドの真骨頂だとはいえ、「制度の狭間で救われずに苦しむ孤立や貧困、その声にもならないSOSを見つけ出」すCSW役としての配役には、どうしても首を傾げざるを得ない。
それと、彼女が演じる里美涼というCSWのキャラクター設定。苦しんでいる人がどんな相手だろうが、状況が厳しかろうが、「人は変わることができる」という信念のもとで諦めずにしつこく問題解決に当たる。なぜそこまで身を捧げることができるのか。それは少女時代に体験した阪神大震災での辛い過去が……という理由づけが、逆に安っぽい。
リアルとアナザーワールド、説得力とずっこけ感が、極端に入り混じっているのがこのドラマだったりするのである。付記しておくと、エンディングテーマのPerfumeの曲調がものすごくポップだ。ドラマのトーンとの落差に、私の耳はまだ慣れない。
とか、絶賛し切れないので、このコラムで取り上げようかどうか迷っているうちに、6回分も見てしまった。全9回の連続ドラマだから、あと3回(前日深夜に前回の再放送があるので、あと4回視聴可能)だ。
まだの方。「違うよ。深キョンだから、重い題材でも耐えられるドラマに仕上がっているんだ!」と思うかもしれないし、ぜひお見逃しなく。