そもそも人物の写真を撮るにあたっては、陛下であろうともなかろうとも対象人物への配慮が求められるが、法的には問題はないのだろうか。肖像権に詳しい福井健策弁護士の解説。
「私的な旅行の最中であることや、ツイッターという第三者の目に触れるところにアップロードしたことなど判断の分かれる微妙な問題はあるものの、公人である天皇陛下が公の場で手を振っている写真を掲載したとしても肖像権の侵害にはならないと考えられます」
法的には問題がないとなると、マナーや陛下に対する礼節の問題になってくるだろう。皇室ジャーナリストの神田秀一氏はこう断じる。
「昔から行幸となれば、沿道に写真を撮る人が大勢出たものです。“国民とともに歩む皇室”を実践されている両陛下は、自動車のスピードを落としたり、窓を開けたりされて、その声に応えていた。
ただし、天皇陛下の写真に畏敬の念を持つのは大人の常識です。個人で保管するのはいいとしても、不特定多数に広まるインターネットに載せたのでは畏敬の念があると言い難い。自慢したいということだけの行動だったとしたら、軽率ではないでしょうか」
久能靖氏(皇室ジャーナリスト)も「周囲が気を遣うべき場面だった」と指摘する。
「今回は、ご多忙が続くおふたりにゆっくりしていただくために宮内庁が考えた旅行でした。つまりプライベートな旅行ですから、お見かけしても写真を撮ったりするべきではないんです。ご公務のときには手を振られたりしますが、それとは状況が違う。これはわれわれ国民の側がお気遣いして差し上げなければならないことでしょう」
※週刊ポスト2014年6月13日号