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自殺した恋人の兄に告白された32才女性 その心の葛藤を語る

 涙にはストレス解消の効果があるという──。32才の女性が、壊れかけていた心を癒してくれた男性のエピソードを告白します。

 * * *
 当時つきあっていた彼は、医学部の6年生。ある夏の日、彼に呼び出されてマンションに行くと、知らない男性が彼の部屋の呼び鈴を鳴らしていました。男性は彼の兄でした。初めて会う彼の身内に、緊張しつつも挨拶をして、合鍵でドアを開けました。先にお兄さんが入り、その後に続いて私も部屋に入ろうとすると、すぐに「入ってはだめだ!!」とお兄さんの厳しい声が。でも、私には見えました。首を吊っている彼の姿が…。

 その後の記憶は曖昧なのですが、警察が来て話を聞かれました。お兄さんはずっと傍にいてくれました。遺書はありませんでしたが、自殺だと判断されたようです。私は無気力になり、仕事も休職することに。

 3日前に会った時には、なんの変わりもありませんでした。もうすぐ医者になれると喜んでいて、悩みがあるようには見えませんでした。私が鈍感だったのでしょうか。彼のSOSに気づいてあげていれば防げたのでしょうか。

 ふさぎ込んでいる私の見舞いに、お兄さんが頻繁に来てくれるようになりました。食事を作ってくれたり、ただ黙って傍にいてくれたり…。お兄さんがいなければ、私の心は壊れていたかもしれません。私はお兄さんに癒されていくと同時に、惹かれていきました。

 彼が亡くなり、そのお兄さんを好きになるなんて…。彼への最大の裏切りです。私はそんな自分が許せず、お兄さんに、もう二度と来ないでほしいとお願いしました。すると、お兄さんは、「きみと会う日にぼくが呼ばれたのは偶然じゃない。弟は、きみをぼくに託したかったんだと思う」と、私を抱きしめながら告白してくれました。

 大切な人が突然消えた恐怖は消えません。だからこそ、今そばにある手を、今度こそしっかりと握っていきたいと思っています。

※女性セブン2014年7月3日号

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