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台湾の故宮博物院展で露呈したメディアの中国への過度な配慮

 台湾の「國立故宮博物院」に所蔵される銘品が東京国立博物館の特別展「台北 國立故宮博物院―神品至宝―」で展示され、多くの来場者で賑わっている。だが、6月24日の開幕直前、騒動が持ち上がった。

 特別展の宣伝ポスターやチケット、ホームページでの名称表記が「台北 故宮博物院」となっていたことが大問題となったのである。正式名称にある「國立」の文字が削除されていたことに対して台湾総統府が抗議声明を発表。猛抗議を受け、国立博物館のスタッフらが総出で、ポスターに「國立」の文字の入ったシールを貼る作業を行ない、なんとか開催にこぎつけた。

 だが、ポスターから「國立」の文字を削除したのは、同じく主催者であるNHK、読売新聞、産経新聞、フジテレビ、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞という大メディアだったのだ。

 日本の大メディアはこれまでも意味不明の自主規制を繰り返してきた。毎日新聞(2011年4月15日付)は、東日本大震災で海外からの支援チームの活動内容を各国の国旗とともに紹介したが、台湾については中華民国の国旗ではなく、IOCが五輪の際に使わせる五輪マーク入りのチャイニーズタイペイ旗を掲載。善意を踏みにじった。

 NHKも2009年4月に放送した『NHKスペシャル/シリーズ・JAPANデビュー』の第1回「アジアの“一等国”」で、老世代の台湾人にインタビューし、その発言を都合よく取捨選択して、まるで台湾が韓国のような反日国家との印象を与える番組に仕立てた。その後、NHKの取材を受けた台湾人らが1万人以上の視聴者とともに、番組の内容に精神的苦痛を受けたとして集団訴訟を起こした。

 中台問題の取材を重ねてきたジャーナリストの井上和彦氏が解説する。

「一審では原告が敗訴しましたが、昨年11月に東京高等裁判所は『取材協力者の好意を土足で踏みにじるような結果を招いた』として、NHKに対し100万円の損害賠償を命じる判決を出した。『日本統治時代が台湾人を苦しめたのではなく、このような報道が台湾人を苦しめている』と、判決文は指摘しています」

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