スポーツ

6度の盗塁王に輝いた柴田勲氏 「99.9%はサインで走った」

 読売巨人軍が9年連続してプロ野球日本シリーズを制覇した1965年から1973年までは、V9時代として今も語り継がれている。俊足巧打の1番打者としてV9を支え、6回も盗塁王を獲得した柴田勲氏が、当時のタイトル獲得の秘話を語った。

 * * *
 1番の僕は何でもいいから塁に出て足で相手を攪乱し、2番の土井(正三)は送りバント、エンドラン、空振りで盗塁をアシストする。柴田が出ていない時は、何とか土井が出塁してОN(王貞治、長嶋茂雄)につなげる……。今でこそ当たり前に聞こえますが、当時はこの「ドジャース戦法」は先進的なものでした。

 王さん、長嶋さんに対する指示はなく、いつもフリー。ご自由にどうぞという感じでした。反対に1、2番にはものすごく制約がありましたね。

 僕はノーストライク・2ボールで「待て」、ノーストライク・3ボールでも「待て」。いつ打たせてくれるんだと思っていましたよ。ボールが先行しているうちは必ず「待て」。とにかく、四球でもエラーでも、死球でも何でもいいから塁に出ろといわれていた。自由には打たせてもらえませんでした。

 盗塁にしても、99.9%はサインで走っていました。ノーサインで走ることはありませんでしたね。70盗塁を記録した1967年だって、自分の意思で走ったことは一度もありません。

 理由は僕が走って一塁が空くと王さんが歩かされるから。王さんが打席にいる時は「走るな」です。ノーサインで走っていいのは、6回以降で大量リードしている時ぐらい。「自由に走っていい」というサインが年間に2回出たとすれば、「走るな」は15回以上は出ていましたね。

 ノーサインで走らせてくれれば、もっと盗塁できていた? そうかもしれないけど、当時、特に巨人の選手は個人記録をそれほど気にしていませんでした。川上哲治監督も個人の記録にこだわることを許しませんでしたから。自分が現役の時は自分勝手にやっていたのにね(笑い)。

※週刊ポスト2014年8月29日号

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン