国際情報

フォークランド紛争時のサッチャーのような覚悟は安倍にない

 これまで幾人もの世界のリーダーたちへインタビュー取材をしてきた作家の落合信彦氏は、優れた指導者は、強さと人間臭さを併せ持つと言う。故レーガン米大統領と故サッチャー英首相の人となりを思い出しながら、オバマ大統領と安倍晋三首相の指導者としての在り方について、落合氏が論じる。

 * * *
 オバマが「戦後最悪の大統領」に選ばれたアメリカのキニピアック大学世論調査研究所が7月に発表した全米世論調査において「戦後最高の大統領」と認められたレーガンは、親のコンプレックスを克服した政治家だった。

 彼の父親は靴の行商セールスマンでめったに家には帰らず、たまに帰れば酒を飲み暴れ回ってレーガンの母親を殴った。レーガンの母親は私のオイルマン時代の大先輩、ジョン・シャヒーンの家でメイドをしており、レーガンとは幼なじみだったため、その頃の話を詳しく聞いている。

 そんなレーガンをシャヒーンはこう評した。

「家庭生活は決してよくはなかったが、環境に負けるような男ではなかった。どんないやなことがあっても明るさで吹っ飛ばしてしまう。そして何をするにもリーダーシップを発揮していた。ケンカをしている者がいたら諫め、弱い者がいじめられるとその子をかばう。私など何度も助けられたものだ」

 1986年、当時反米姿勢をむき出しにしていた独裁者カダフィ率いるリビアに対し、アメリカは空爆を行なった。カダフィが背後で動いていたとされるテロ事件が頻発するなか、西ベルリンのアメリカ兵の集まるディスコ、ラ・ベルにおいて爆弾テロが発生し、アメリカ兵1人が死亡、その後もう1人が病院で死亡した。

 レーガンが激怒したのは言うまでもない。フランスやスペインがカダフィの報復を恐れ、アメリカの攻撃に際し自国の領空を使わせないなか、同盟国としての国益を考え、ただイギリスのサッチャーだけが、この決断を支持し、アメリカにイギリスの空軍基地を提供した。

 サッチャーの協力なくては空爆そのものが難しかったはずだが、両者の連携によってリビアの首都トリポリとベンガジの空爆に成功。カダフィは縮み上がったという。以来、カダフィはテロから手を引いた。

 この一件を見ると、いまの指導者たちとの落差に愕然とする。

関連キーワード

トピックス

実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン