DVD制作を行ったフジテレビ担当者に、制作秘話を聞いた。

「まず制作にあたって、フジテレビ系列局が持つ羽生選手の幼い頃から現在までの素材を、ほぼ全て確認しました。そのなかで感じた彼の凄さとは“持続された邁進力”です。幼い頃に抱いた『オリンピックで金メダル』という夢に向かって、一年一年、その時の彼の信じる精一杯の努力と決断で、夢を現実に変えていく。もちろんその過程には、様々な悩みや葛藤があったことは想像に難くありません。震災もありました。彼が乗り越えてきたすべてを、彼の言葉でストレートに、DVDを観てくれる方に伝えたいと思いました。

 そのために、まずノーナレーショという演出をとりました。これには羽生選手の映画を観ているような世界観を作りあげるという狙いもありました。もう一つ、できるだけ多くのプログラムを使用することが必要でした。一つ一つの大会の著作権や使用楽曲の著作権など多くのハードルや条件などがありましたが、最大限、羽生選手のアスリートとしての成長を伝えられるよう目指しました。

 羽生選手はインタビューの中で『同じプログラムでも自分にとっては違う』と話しています。同じプログラムでも一つ一つの大会が羽生選手にとって自分自身への挑戦であり、成長の軌跡であると感じ、同じプログラムであっても複数収録するような今回のような演出になったのです」

 フィギュアスケート選手のDVDは、トリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香さんはじめ、浅田真央選手や高橋大輔選手などの作品も高い人気を博してきた。高橋選手の新作はすでに今秋の発売が予定されている。選手の人気だけに頼らない、目の肥えたファンをうならせる作品を今後も期待したい。

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