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2014.09.03 16:00  週刊ポスト

元原子炉設計者の大前研一氏「原発対応組織を官邸に置くべき」

 九電によると、川内原発ではハード面の対策として国の指示に基づく緊急安全対策(電源の確保、冷却水を送るポンプなどの確保、冷却水の確保)を実施し、地震や津波で通常の冷却設備が使えなくなった場合でも、原子炉や使用済み燃料貯蔵プール内の燃料を継続的に冷却できるようにした。

 原子力規制委員会は、九電が想定する地震の最大の揺れ「基準地震動」を従来の540ガルから620ガルに、想定する最大の津波の高さ「基準津波」を約4メートルから約6メートルに引き上げたことを妥当とし、対策についても認めた。

 たしかに川内原発は、技術的な安全対策では新基準をクリアしている。しかしそれを運用する人間的・組織的な安全対策はまったく進んでいないから、もし事故が起きたら福島と同じ悲劇を招く可能性が高い。

 とくにひどいのが政治の無責任体制だ。

 そもそも政府内にも自民党内にも原発事故対応を担当する組織がない。そのことをなぜもっと問題にしないのか、私は不思議に思う。

 それは経産省でも原子力規制委員会でもできない仕事だ。経産省は原発再稼働を推進する立場だし、規制委員会は新基準に適合しているかどうかを判断する独立した組織だからだ。

 もし規制委員会に事故対応させたら、自分たちが認めた原発なのだから自己正当化に走るだろう。福島の事故で、原子力安全委員会の班目春樹・委員長(当時)が事態を過小評価して見誤ったのと同じ構図になる。

 実際、原子力規制委員会の田中俊一・委員長は「(川内原発は)基準に適合していても、『安全』とは申し上げない」と、はなから責任逃れの発言をしている。つまり、現状では最終的な責任者が政府内に存在しないのだ。

 私は、原発事故対応を担当する組織は首相官邸に置くしかないと思う。

 トップは首相ではなく、原子力について確かな知識のある人間でなければならない。無知な首相が指揮を執ったら、ヒステリックにわめいて現場を大混乱させた菅直人・元首相の二の舞を演じるだけである。

※週刊ポスト2014年9月12日号

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