GMS市場のパイも奪いつつ攻勢をかけるドンキだが、今後の戦略でもっとも重点を置いているのが、東京五輪で期待が高まるインバウンド(訪日外国人)需要の取り込みだ。
昨年1000万人を超えた外国人観光客のうち、およそ550万人がドンキを訪れたとのデータもあり、すでに観光名所化している。同社はさらに外国人を呼び込み、2020年をめどに外国人向けの売り上げ比率を10%にまで高めたい意向をもっている。
「訪日客は時間がもったいないので、観光の後にお土産を買うのがベストだと考えています。ディナーが済んで添乗員の拘束も離れた夜10時以降にどこか買い物に行こうと思っても、たとえば秋葉原の電気街も閉まっていますしね。何でも揃うドンキが最適なんです。
さらなるインバウンド需要の高まりはドンキにとって千載一遇のチャンス。ほとんどの店で免税対応を進め、外国人スタッフを多く配置するなど強化策にぬかりはありません」(月泉氏)
金融処分品やバッタ品を扱う「泥棒市場」を商売のスタートに、一大ディスカウントチェーンを築き上げた創業者の安田隆夫氏(65)は、今年7月に社長職を後進に譲り、現場の第一線からは退いた。
「派手なイメージとは裏腹に、あくまで中小企業の精神で堅実経営も志向する経営者」(業界関係者)との評価がある中、安田氏は今後、会長兼CEOとしてドンキの成長軌道をどこまで描き続けることができるか。