高市氏も「他人に子どもを預けた人の方が一方的に優遇される制度ではだめだ」と共稼ぎ夫婦を優遇する政策に異論を唱えており、山谷氏は第一次安倍政権当時の教育再生会議で「子守歌を聞かせ、母乳で育児」「授乳中はテレビをつけない」という親学の緊急提言をまとめようと奔走した。安倍氏を含め、懐古的保守派にありがちな「女は家を守り、子供を育てるべき」という思想が見て取れる。
トドメを刺すのは安倍首相が改造後の会見で女性活用の象徴としてわざわざ名前を挙げ、政策決定に強い影響力を持つ政調会長に抜擢した稲田朋美氏(前行革相)だ。
稲田氏はこれまでに子育て支援策を「保育所増設の政策を見ていると、『ほんとに母乳を飲んでいる赤ちゃんを預けてまで働きたいと思っているのかな』と疑問に思う」と働く女性を批判し、小泉政権時代に策定された男女共同参画基本計画(第二次)の数値目標をこう一刀両断していた。
〈女性国家公務員の登用についての数値目標(30%)、国立大学女性教員の数値目標(20%)などの記載がある。これは15年度の男女共同参画推進本部の決定に基づくものらしいが、おいおい気は確かなの? と問いたくなる。
そもそも本来の男女平等は、性別に関係なく、能力に応じて平等に登用されるということであって、女性の割合を上げるために能力が劣っていても登用するなどというのはクレージー以外の何ものでもない〉(『健全な男女共同参画社会をめざす会』のニュースレター。平成19年9月1日付)
実は安倍政権の「女性が輝く」政策は、稲田氏が批判してきた小泉政権時代の政策の丸パクリ。
その政策を「女性枠」で起用した当人から「気は確かなの?」「クレージー」と評されているのだから形無しである。
※週刊ポスト2014年10月31日号