ライフ

昭和天皇 科学者として伊勢湾台風・植物北限分析でお怒りに

 昭和天皇の生涯を記録した『昭和天皇実録』が9月9日に公表された。24年5か月にも及ぶ編纂作業を経て完成したこの「実録」により、改めて昭和天皇とその時代がクローズアップされている。昭和天皇は、われわれ一般国民とどのように接してこられたのか。陛下と時代を共にした皇室ジャーナリストの神田秀一氏が科学者としての昭和天皇の逸話を明かす。

 * * *
  テレビ局の宮内庁担当記者だった当時、陛下が御用邸に滞在される時は年に一度、宮内庁記者会と懇談の場が設けられました。御用邸の玄関横などで陛下と報道陣が直に懇談できる大らかな時代でした。

 そんな時代の伊豆・須崎御用邸に陛下が滞在されたある日のこと。朝7時ごろ、私は御用邸からほど近い浜辺・三井浜の様子を調べて戻る途中、山中で側近をお連れの陛下とばったり遭遇しました。

 恐縮しつつ名前と社名を述べると陛下は「ご苦労」とお声掛けくださり、続けてこう仰られたのです。 「どこへ行ってきたのか? そうか、三井浜か。きれいな海岸だったろう。でも、この辺りはクマやヘビが出るから注意するように」

 私は緊張で固まっていましたが、これは陛下独特のユーモアでした。

 陛下には厳しい一面もありました。1980年ごろ、天皇皇后両陛下が1959年の伊勢湾台風で被害を受けた地域の排水ポンプ場を視察中のことです。「このポンプは素晴らしく、伊勢湾級の台風が来ても絶対に大丈夫です」と自信満々に説明した場長に対し、陛下は「そんなことはないだろう」といった表情でこう仰りました。

「台風、地震、雷など自然というのは人の力をはるかに超えて起こるものだ。計算どおりいかないのが自然だ。洪水にはならないとどうして言えるのか。絶対大丈夫と言えるはずがない!」

 普段、温厚な陛下がお怒りになるときは、冷静ながらも声のトーンがやや高くなり、表情は緊張気味で目が引きつる感じになります。この時は、周囲に緊張の糸が張りました。

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン