その芸能リポーターたちが、系列局以外の局でレギュラーを持つのも、ここ数年の傾向だ。たとえばテレビ朝日の契約であっても、関西テレビ(フジテレビ系列)、RKB毎日放送(TBS系列)のワイドショーに出演している芸能リポーターがいる。昔なら考えられないことだが、在京局のワイドショーに芸能コーナーがないので、「なのに、縛ることはできない」「どうぞ(他系列でも)出てください」ということらしい。芸能リポーターさんたちにも“生活”がある。それは仕方がないことなのかもしれない。
しかし、それで困るのは、東京の現場である。昨今、かなりの大物芸能人が登壇するイベントや会見の“囲み”でさえ、芸能リポーターが一人もいない…という光景が見られる。
また、突発的な大ネタが飛び込んで来たとしても、昔のように芸能リポーターが長時間、張り込みをしたり、直撃をしたり…という映像も全くといっていいほど見られなくなった。有名芸能リポーターたちはみな、地方局にレギュラー出演しているからなのである。
というワケで、現場は本当に寂しいことになっている。華やかでネームバリューもあるスターが中央に立っているのに、マイクを持って囲んでいるのは、とてもではないがオシャレとはいえない男性たちばかり。彼らは、芸能コーナーの現場を任されたディレクターたちなのである。
なかには、そういう現場が多すぎて、まるで芸能リポーターのようにトークが上手になった人もいれば、芸能人にとっても視聴者にとっても顔なじみになっている人もいたりする。でも、大半は地味だし、これといった気の利いた質問をするでもなく、全く使いどころがない=盛り上がりに欠ける仕上がりなのだ。これでは、ワイドショーにおいて長尺で使われるハズがない。
そんな状態であるから、芸能リポーターを目指す若い人も皆無で、私が知る限り、芸能を専門にやっているいちばんの若手は、かつて現場で怖い物知らずの質問を連発し、“爆弾娘”と呼ばれていた菊池真由子さん、来年40才だ。
実は『ZIP!』(日本テレビ系)が始まってからというもの、たとえばジャニーズのアーティストが登壇する場合などに、日本テレビの女子アナや出演するモデル風タレントが来てマイクを持つ場合もある。しかし、そういうときは、芸能リポーター界の“タッキー&翼”、駒井千佳子さんと山崎寛代さんという“ジャニ担”の独壇場であり、声を発するのはこの二人だけ…という状態。
しかも、件の女子アナやモデル風タレントが「将来、芸能を専門にやっていきたい」などとは思っているハズもなく、彼女たちが芸能リポーターとして育っていくことは全く考えられないのである。
晩年、梨元勝さんがお嘆きになった「芸能サポーター」であっても、この際いいと思う。どこかに芸能リポーター志望の若者はいないだろうか。そうでないと、芸能の“現場”は終わってしまいかねない…。