愛犬の「ボビー」と近藤誠氏

 一方、飼い主とともに年齢を重ねていくペットたちが、病を患うことも多くなってくる。それこそ人間と同じく“がん”で亡くなる犬猫も増えている。しかし、ペットのがん治療の現実はあまりいいものではないようだ。

「ペットのがん治療は一種の無法地帯です。人間のがん治療もインチキが横行していますが、ペットはもっとひどい。単に『人間と同じでいいだろう』というアバウトな考えの動物病院も多いです」(近藤氏)

 医療ミスが起きても、人間の場合は致死罪に問われることがあるが、ペットであれば器物損壊罪にしかならない。また、健康保険が適用されないので費用がかかるうえ、人間とは違ってペットはじっとしていられないので、治療や検査のたびに全身麻酔をかける必要があり、麻酔で死ぬリスクも高まるという。

「最近はペットの医療もサギ的になっていて。人間の医療と同じで、『愛するこの子のために、できることはなんでもしてやりたい』という、飼い主の気持ちにつけこんでいます。抗がん剤とか免疫療法とか、なんの効果もないのに、100万円ぐらいすぐ飛んじゃう」(近藤氏)

 ペットの医療という点では、狂犬病のワクチンや混合ワクチンも大きな問題を含んでいる。

「今、(注釈:狂犬病ワクチンの)接種率は40%ぐらいだから年間、何百万匹も打たれていて、農水省に届け出があるだけで、狂犬病ワクチンで毎年10匹ぐらい、犬が死んでますよ。人間の医療と同じで、実際はその何倍も、届け出られてない件数があるわけで」(近藤氏)

 さらに、ワクチンががんの原因にもなっているという。

「狂犬病でも混合でも『ワクチン関連がん』といって、ワクチンを打ったところに、がんの一種、肉腫ができる。それもけっこう頻度が高い。犬でも出ますが、猫の方が頻度が高いようです」(近藤氏)

 そもそも狂犬病については、現在日本ではほとんど確認されておらず、ワクチンの必要性について疑問視する声もある。そのうえがんの原因になるというのだから、一体なんのために接種するのかわからなくなってくる。ペットの医療も、時代と飼い主のニーズに合わせて、もっと変革していくべきだろう。

 医師ならではの視点からペット医療・介護を語り尽くす『ねこバカ いぬバカ』。愛するペットとの大切な時間を、より一層豊かなものにするためのヒントを与えてくれるはずだ。

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