芸能

ワイドショー中のドラマの番宣にどこの局もなぜか四苦八苦

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、ワイドショーの中でのドラマの番宣問題に突っ込む。

 * * *
 一般的にテレビ局内で、制作と営業は仲が悪いと言われている。

 民放局の場合、スポンサーさんあっての自分たちだということを制作サイドも重々わかってはいるものの、スポンサーと直に向き合っている営業マンたちがスポンサーに喜んでいただくために持って来た、いわゆる“営業物件”は、制作サイドからは、「そのまんまじゃないか」「(営業要請が)バレバレじゃないか」=何のアイディアもないと、嫌われてしまうことが多いのである。

 しかし、それよりもっと不仲なのは制作と宣伝ではないだろうか。たとえば朝帯や昼帯の生番組に入れられることが多い同局のドラマの番宣コーナー。初回オンエア日には、“電波ジャック”といって早朝から夕方まで、主演俳優や女優が何チャンスも生出演することが各局で“お約束”となっている。

 一見、華やかだし、ありがたいようにも見えるこの番宣コーナーが、実はたいてい視聴率の分計を下げる元凶となるケースが多いのだ。

 私が知る限り、上がるのは米倉涼子ぐらいだろうか。彼女の場合は、ドラマの設定と同じキャラクターを演じてくれたり、早朝でも昼間でも、ドラマと同じ際どい衣装で生番組のスタジオにやってきて、MCやコメンテーター一人一人に挨拶をし、番組サイドが用意した企画に何の躊躇もなく挑戦。カットインというカンジでやりきり、終了後、またMCやコメンテーター一人一人に大きな声で挨拶をしてスタジオを去るのである。

 というワケで、米倉が去った後も、スタジオは熱のあるまま、「ホントにキレイ」「カッコイイ」「今夜のドラマが楽しみ」という会話になる。これが視聴者にも伝わるのだろう。

 また、スポーツ紙に強いと言われているのはテレビ朝日の番組宣伝部だ。いまでこそ、同局のドラマ視聴率は主にF3、M3(50才以上の女性と男性)を味方につけ、調子がいいが、10年以上前は苦戦が続いていた。

 スポーツ紙のデスク曰く、「テレ朝さんは、この俳優や女優でこんな話ができますよ、こんなことがやれますよ…と具体的なアイディアを豊富に出してくれる」とのこと。同局のドラマの記事がいつもスポーツ紙で大きく取り上げられているのにはそういう企業努力があったのである。

 しかし、これが番組となると、テレビ朝日でさえ苦労しているように思う。

 制作サイドは、営業要請を嫌うのと同じく、宣伝部要請の番宣を「ノーアイディア」と小馬鹿にしているようなフシがあるのだ。だから…と、制作サイドで何かしら企画を用意し、それを宣伝サイドにあてるのだが、「〇〇さんの事務所がOKしてくれるかどうか…」という返事が来ることもしばしば。よほどベテランの宣伝マン、宣伝ウーマンでない限り、俳優や女優の所属事務所とスムーズに会話ができていない場合があり、「そんなこと、とても聞けません」と言われて、制作側も出したアイディアを引っ込めざるを得ないこともあったりするのだ。

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