そうした空気をなんとか打破しようと、MCが頑張りすぎて失敗することもある。忘れられないのは、あるドラマがスタートする前、主演俳優と相手役の女優に交際報道が出てしまったときのこと。宣伝サイドから「そのことは絶対に聞かないでください」と制作にお達しがあり、ディレクターたちは了承していたのだが、大物男性司会者が、最後の最後に、「みなさん! この二人、付き合ってるらしいですよ~~~」と叫んでしまい、コーナーが終わってしまったのである。
当然現場は大わらわ。同番組が電波ジャックの最初だったことから、「昼の番組以降には、ウチは出ません」と女優側の事務所が言いだした。その後、ドラマ班のスタッフや責任者、さらには宣伝も制作も、そして昼ワイドのMC(男性タレント)までもが彼らの楽屋を訪ね、頭を下げる…という“事件”、いや“大事件”だった。
結果、なんとかなだめすかして(!)二人は予定どおり、昼も夕方も揃って生番組に出演してくれたのだが、こういうことがあると、制作側はますます「番宣はめんどくさい」「どうせ数字獲れないんだし」と頑なになってしまう。
しかし地方局は別だ。在京キー局制作のドラマはもちろん、自局が制作したドラマなんかがあろうものなら、生番組でも収録番組でも全面協力で宣伝しまくる。制作と宣伝の不仲にそう変わりはないのだが、地方局の生番組制作者のほうが番宣に積極的で、なんとか番組もドラマも“ウィン・ウィン”となるようにアイディアを出しまくっているように見える。
日頃、そうは会えない有名俳優や有名女優に対する“おもてなし”の精神が地方局では強いのかもしれない。フリップを用意したりするのは当たり前だし、その俳優や女優の好物を揃えてみたり、街頭インタビューをしてみたり…と、お金をかける。
本当なら、在京局の宣伝部にもこうした努力が必要だし、実際、宣伝部からこうしたアイディアが出てきたとき、制作サイドは広い心で対応すべきではないかと思うのだ。
4月期は、人気俳優主演のドラマや話題作が多いと言われながら、中盤に入り、15%超えが1作もないことが“話題”だ。
見るに堪える番宣コーナーや番宣VTRを作れば、コーナー自体の視聴率が上がることはもちろん、ちゃんと宣伝効果が出て、ドラマの視聴率も上がっていくことは間違いない。
テレビ離れに歯止めがかからない昨今、制作サイドと宣伝はもっとうまくやるべきだと思う…。