国内

日米安保破棄唱える共産党以外は集団的自衛権にNOと言えない

 安全保障法制の見直しをめぐる論議はなぜ迷走しているのか。憲法学者が違憲と断じたと言っても、それは安倍晋三政権が昨年7月に安保法制見直しの閣議決定をしたときから出ていた話だ。国民から見たら、同じ話の蒸し返しでまったくつまらない。

 そこで、今回はもっと根本的な話を書く。日本は集団的自衛権を認めてこなかったのか。そんなことはない。実はとっくの昔から認めていた。どういうことかといえば、そもそも日米安保条約は集団的自衛権を前提にしているのだ。最初に結ばれた1951年の条約前文にこうある。

「日本は主権国として集団的安全保障取極を締結する権利を有し、国連憲章はすべての国が個別的および集団的自衛の固有の権利を有することを承認している。これらの権利の行使として、日本は日本国内に米国が軍隊を維持することを希望する(要約)」

 1960年に改定された現在の条約も同様に前文で、日米両国が「個別的および集団的自衛の固有の権利」を確認したうえで、日本が米国の基地使用を認めている。

 つまり、日本は米国に基地を使わせることで国を守ってもらっている。これは集団的自衛の構造そのものだ。条約を改定した岸信介元首相は国会で「他国に基地を貸して自国のそれと協同して自国を守るようなことは従来、集団的自衛権として解釈されており、日本として持っている」と述べている。

 それどころか、米国は日本だけでなく極東(韓国、台湾、フィリピン)も守っている。朝鮮半島危機が起きれば、米軍は韓国防衛のために沖縄や横田の基地から出撃する。けっして遠いハワイやグアムからではない。

 そのとき日本は米国と事前協議するが、あくまで建前にすぎない。2010年に暴露された外務省の密約文書によれば、米国は日本と事前協議しなくても韓国に出撃できる約束になっていた。当時は民主党政権(*注)だったから、民主党は事情を知っているはずだ。

【*注:鳩山内閣が設置した「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」が2010年3月に調査報告書を公表した。それまで公然の秘密だった「日米密約」の存在を政府が認めた】

関連記事

トピックス

宮家は5つになる(左から彬子さま、信子さま=時事通信フォト)
三笠宮家「彬子さまが当主」で発生する巨額税金問題 「皇族費が3050万円に増額」「住居費に13億円計上」…“独立しなければ発生しなかった費用”をどう考えるか
週刊ポスト
畠山愛理と鈴木誠也(本人のinstagram/時事通信)
《愛妻・畠山愛理がピッタリと隣に》鈴木誠也がファミリーで訪れた“シカゴの牛角” 居合わせた客が驚いた「庶民派ディナー」の様子
NEWSポストセブン
米倉涼子(時事通信フォト)
「何か大変なことが起きているのでは…」米倉涼子、違約金の可能性を承知で自らアンバサダー就任のキャンセルを申し出か…関係者に広がる不安がる声
NEWSポストセブン
ドイツのニュルンベルクで開催されたナチ党大会でのヒトラー。1939年9月1日、ナチ・ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発した(C)NHK
NHK『映像の世紀』が解き明かした第二次世界大戦の真実 高精細カラー化されたプロパガンダ映像に映る国民の本音、老いて弱りゆく独裁者の姿
週刊ポスト
大阪・関西万博を視察された天皇皇后両陛下(2025年10月6日、撮影/JMPA)
《2回目の万博で魅せた》皇后雅子さまの気品を感じさせるロイヤルブルーコーデ ホワイトと組み合わせて重厚感を軽減
群馬県前橋市の小川晶市長(共同通信社)
「ドデカいタケノコを満面の笑顔で抱えて」「両手に立派な赤ダイコン」前橋・小川晶市長の農産物への“並々ならぬ愛”《父親が農民運動のリーダー》
NEWSポストセブン
萩生田光一元政調会長が幹事長代行へ起用(時事通信フォト)
《SNSで非難轟々》“裏金議員”萩生田光一氏が党執行部入りの背景 永田町関係者が明かす“総裁選での暗闘”と「香水がとてもいい香り」の珍評価
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(共同通信)
《やる気スイッチ講師がわいせつ再逮捕》元同僚が証言、石田親一容疑者が10年前から見せていた“事件の兆候”「お気に入りの女子生徒と連絡先を交換」「担当は女子ばかり」
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月7日、撮影/JMPA)
《再販後完売》佳子さま、ブラジルで着用された5万9400円ワンピをお召しに エレガントな絵柄に優しいカラーで”交流”にぴったりな一着
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷が“即帰宅”した理由とは
《ベイビーを連れて観戦》「同僚も驚く即帰宅」真美子さんが奥様会の“お祝い写真”に映らなかった理由…大谷翔平が見計らう“愛娘お披露目のタイミング”
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《山瀬まみが7ヶ月間のリハビリ生活》休養前に目撃した“スタッフに荷物を手伝われるホッソリ姿”…がん手術後に脳梗塞発症でICUに
NEWSポストセブン
京都を訪問された天皇皇后両陛下(2025年10月4日、撮影/JMPA)
《一枚で雰囲気がガラリ》「目を奪われる」皇后雅子さまの花柄スカーフが話題に 植物園にぴったりの装い
NEWSポストセブン